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召喚されたのに非戦闘職は不要と放り出されました。理不尽!  作者: 笠谷 柳斗
第一章 リンドウ家ファミリー牧場計画(仮)
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40 Good Luck

*読み難かったので文章を少し整えました。内容自体の変更はありません。

「何で〈偽の登録札(ギルドプレート)〉なんか造ったんだろうな? ウチの〈製造物〉は全部〈俺の魔力〉混ざってるから、ウチで依頼の手続きでもすりゃ一発でバレちまうぞ?」

「鉱石や〈魔鉱物〉の合成、魔力尽くで大量に出来るんはリューさんぐらいやろ。向こうは〈不測の事態〉なんと違う?」

「同じ事出来ても〈別物〉になるもんね~。製造過程が自動的に〈偽造防止加工〉なの超便利。それに、滅多に拠点に来ないレイくんは気が付かなかった訳だし。案外、他にもすり替えられてんじゃない?」

「多分、もうリューノが調べてんだろ。一応ウチの〈ギルドマスター〉だからな。登録札はアイツの管理下だ」

「そやし、レインくんに通信機貸したんやろね。登録札の通信、使えへん訳やし」

「つーか。研究目的かイヤガラセか知らないけど、向こうもよくやるよね~。……もしかして分離策? それとも、コッチから情報抜こうとした? リューさん、〈番号〉判る?」

「コイツは魔力が弱過ぎて、俺には探知出来なかった。元の番号は、マキに聞きゃ判るだろ」

「そんな事やと思うたわ。残りの欠片の探索隊、もう出動済みやよ~」

「流石シノちゃん。〈モフ女神〉様~」

「モフ女神は微妙やから嫌やて」


 リューさんも参加したら、本格的な〈幹部会議〉になりましたヨ。

 しかも、途中から〈ギルド関係者会議〉も混ざって来たし。


 コレ、おれが聞いてもいい話ナノデスカ?



 取りあえずの結論。

 レインさんが結界抜けられなかった原因は、リューさんが出した〈証拠品〉――〈革紐が付いた小さい金属片〉のようです。

 元は〈登録札〉ってヤツの一部で、結界に〈アウト判定〉されて弾け飛んだらしい。


 どうやら、〈G王国の誰か〉が造ってレインさんの同意を取らずに替えた〈偽造品(ニセモノ)〉だった所為みたい。

 素敵モフモフズがいつの間にか居なくなったと思ったら、レインさんの匂い憶えて残りの金属片探しに行ってるんだってさ。

 ご苦労様デス。


 それと。

 レインさんが登録札を手放すのは、依頼の手続きでギルドの受付に提出する時だけみたい。

 〈G王国の冒険者ギルド〉が関わってるのも確定で、ドコの町かも既に特定済みっぽい。名前とか言われてもおれには判らないから、聞いてないけどね。


 ただ。

 結界に弾かれた時のコトは、〈(ドラゴン)の飛行スピード〉が合わさって思った以上の『衝撃の事故!』になっちゃったカンジらしい。

 普通のスピードなら、そんなに吹っ飛ばなかった主張(アピール)が約一名。


 結局。

 偽造品が無かったら起きなかったし、悪意でレインさんが危ない目に遭ったのは事実だし。満場一致で『偽造品に関わったヤツ許さない』に決定したようデス。



 被害者本人(レインさん)置き去りでいいのかな?って思ったけど。〈暫定ウチの父親〉が関わっちゃったもんなぁ……。

 犯人の人たち、ホントご愁傷様デス。



**********



 今おれとレインさんは小上がりに並んで腰掛けて、魔導人形(ゴーレム)さんが配ってくれたお茶をゆっくり飲んでます。


 事情はどうでも、レインさんに意地悪したヤツなんか口利いてやんない!――って思ってマシタケドモ。

 本気で対応してる時の暫定父親は、少しだけカッコ良く見えちゃったよ。


 ちょっとだけ見直してもいいかな~?と思ったのは内緒デス。

 あの人、絶対調子に乗るもんな。


 取りあえず。

 幹部じゃないおれたちは、もう帰ってもいいんじゃないデショーカ?


 小さな欠伸(アクビ)混じりにそんなコト考えてた時でした。



「スズノ……最後までちゃんと護衛出来なくて、済まなかったな」

「へ――ッグ!?」


 レインさんが突然そんなコト言うから、空気の塊呑んじゃったよ。

 ノドがメッチャ痛いンダケド!?


「……最後、って?」


 もがいてたら、半透明のヒトデさんがおれのノドさすってくれて痛いの治まった。

 ありがとね。


「オレが請けた依頼は、『ナッキー・リンドにお前を無事に引き渡す』だ。完遂は出来なかったが、お前は今ナッキーの元に居る。依頼終了だろ?」

「終、了――?」



 あれ?


 終了って、終わっちゃうってコト?

 何が?

 護衛依頼が?



 え――?

 急に言われても、依頼が終わった後なんて考えて無かったよ。

 だって、そしたらレインさんとサヨナラで――これから、誰がおれの護衛(ほごしゃ)してくれるんだろ?って――……。


 ……ああ。

 八年ぶりに会う、あの暫定父親なのか。



「そ、か。お仕事、だったよね。うん。解った」


 ちゃんと立ってレインさんに向き直って、深々と頭を下げた。


「レインさん、ありがとうございました」


 錆びた機械みたいな動きだったけど、出来たよね?


「……ああ」


 サラッと頭を撫でられて、ソレで終わり。



 護衛されたの初めてだから、勘違いし掛かってた。

 目的地に着いたら全部終わりだよね。今までの立場も関係も、何もかも。


 せめて、『知り合いよりは友達に近い』ぐらいに思ってもらえてたらいいんだけどなぁ。


 でも。依頼通り連れて来てもらったおれに、感謝以外出来るコトは無い。

 おれの気持ちなんて関係無いし、押し付けたら迷惑になるよね。



 周り見る余裕も無くて、ポスンと元の位置に戻ると、ヒトデさんがポンッて膝に乗ってくれた。

 プニプニさせてくれて、励ましてくれてるみたい。



 ……あぁ、でも。


 また会いたいって。

 モフモフさせてって。

 言うぐらいは許される?


 ダメなら――依頼出そうかな?


「次の、依頼は?」

「一旦拠点に行って、登録札の再発行しないと請けられねぇだろうな」

「拠点? 遠い?」

「この国じゃ無ぇ。だから、行ったら当分戻って来れねぇと思う」

「そう、なんだ」

「ああ」



 膝の上の半透明なヒトデさんが、水溜まりみたいにボヤケてく。


 一生懸命手を伸ばして、おれの目元を冷やしてくれるの? ありがとう。

 依頼終了なら、君もサクラちゃんと一緒に帰っちゃうのか。


 何か……スッゴく寂しいなぁ。


 最後にワガママ、言ってみてもいいかなぁ?


「……レインさん。最後なら――今日、一緒に寝てもいい? モフモフさせて?」


 そしたらきっと、また頑張れるから。


「……心配させちまったからな。好きなだけモフモフしてイイぜ」


 優しい声がして、真っ赤なフサフサ尻尾がおれのお腹にくるんと巻き付く。

 会って二週間ぐらいなのに、この感触がスゴく落ち着いちゃう。


 困ったな。

 これからは、滅多に触れなくなるんだよ。

 無いコトに、早く慣れなきゃいけないのに……。


「いつか……おれが依頼出しても、請けてくれる?」

「ああ。いつでも請けてやる。指名しろ」


 ボフッて、いつもより強めの刺激が頭を覆って、ぐらぐら揺らされた。



*********



「あ~、今生の別れを邪魔するみたいで心苦しいんだが……ちょっと良いか?」

「「え?」」


 リューさんの苦み走った顔が、メッチャ苦くて不味い物食べたみたいになってた。

 その向こうでシノンさんも微妙な顔してて、暫定父親はメッチャ変な顔してる。

 レインさんは首傾げてるし、いったい何なの?


 リューさんが「コホン」と咳払いした。


「俺を含め、幹部連中は一応〈勇者の試練(もてなし)〉が終わるまでは構えねぇ。なので、当分の間〈レインがスズノ担当〉に決まった。異議とか文句は有るか?」



 ……聞こえたけど、意味が入って来ない。

 って言うかおれの頭、恥ずかし過ぎて理解を拒否してマスヨ!?


「イイのか? きちんと引き渡せなかったから、オレは護衛失格だろ? ナッキーが許してくれるとは、とても――」

「半分は夏喜(ナツキ)の所為だ。文句なんか言わせねぇよ。結界に入れねぇだけなら、その手前で引き渡せば済んでたぜ」

「せやね~。ウチがナッキー呼んで、恙無(つつがな)く完了しとったわ~。レインくんだけ通れへん原因、()ぐに究明し始めたやろけども」

「う~。リューさんの言う通り、威嚇だけにしとけば良かったよぉ……」


 後悔役立たず。


 じゃ無くて――『後悔()()立たず』だったね。

 でもあの人の行動、『ホントに後悔してた?』って思う時あるんだよなぁ。


「……スズノ。厭なら、そう言ってくれよ?」

「ふぁ――!? 違うよ! もっと早く聞きたかっただけだよ!」


 だってレインさんはソロの冒険者で自由だから、もうほぼ会えないと思って――だから最後のワガママのつもりで――……って。


 落ち着いて考えたら〈暫定父親(ほごしゃ)のクラン仲間〉だった!


 何ならすぐ連絡取れんじゃね!?

 おれメッタクソ恥ずかしいじゃんよ~~!


 思わず顔に両手やってしゃがみ込んじゃったら、懐かしい手つきで頭撫でられた。



「レイくん! スズちゃんは任せるけど、絶対に怪我させないでよ!」

「解ってる。スズノには絶対怪我なんかさせねぇ。命に代えても護ってみせる」


 ……うん、解ってた。

 懐かしいけど、今欲しいのは〈この手つき(コレ)〉じゃ無いんだよ。


 溜め息ついて、ジロッと見上げてやる。


「……〈ちゃん付け〉イヤだって言ったよね。聞いてなかった?」

「折角会えた息子が僕に冷た過ぎる~っ!」


 ワッて顔隠して泣き真似して、リューさんトコに逃げ込みやがった。

 リューさんは呆れた顔でヨシヨシしてやってるけど、甘やかし過ぎじゃね?


「スズノ? 大丈夫か?」


 一人分空けた距離から、少し遠慮気味の優しい低音が降って来た。


「ダイジョブだけど、レインさんも命に代えちゃダメ。おれ絶対泣くよ。泣かす気?」

「いや!? そんなつもりは無ぇよ!」


 じっと見てると、真っ赤な犬耳がわたわた焦り始める。

 最初の頃みたいなカンジ。


 何か遠いなぁ……。



 そうだ。


 せっかくだから、やり直そ。

 ちゃんと立って向き直って、精一杯キチンとご挨拶しよう。


「改めて。おれは右も左も解らないコトだらけで、色々ご迷惑をお掛けすると思いますけどゴメンなさい。なるべく足手まといにならないよう頑張りますので、どうかヨロシクお願いします」


 ペコリと頭下げると、いつか見た夢を思い出した。


「ああ。こちらこそヨロシクな、スズノ」


 じんわり胸が温かくなる声が聞こえて、頭をくしゃくしゃって撫でられる。


 そう、〈この手つき〉が欲しかったんだよ!

 何かスッゴい久しぶりな気がするよね~。



 離れようとした大きなゴツい手を捕まえて頭の上にキープしたら、リューさんの方から「レイくんだけズルい~!」ってアホな声が聞こえて来た。

 チラッと見たら、リューさんとシノンさんにスンゴい呆れた顔で溜め息つかれてる。


 うん。

 アレ、早く母に来てもらわないと暴走するかも。


 おれはレインさんだけで充分だから、構う時間なんか無いもんねー。



********



 レインさんに添い寝してもらうって言ったら、暫定父親がまた(ウルサ)く騒いだ。

 ベッド別だとモフモフし難いのに。


「レイくんだって〈立派な狼〉なんだから、気を付けなきゃ駄目だよ!」


 だって。


 レインさんの種族が〈狼〉でも〈狼男〉でも、おれにケガさせるワケ無いじゃんね。

 さっき『命に代えても護る』って言ったばかりの人だよ。自分でケガさせて命差し出すの?

 何その新しい形の自殺願望。


「スズくんはまだ十八歳で、この国では成人扱いでも日本では未成年なんだから! 後二年しないと成人じゃないんだよ! 父親(ぼく)の言う事聞きなさい!」


 また変なコト言い出したよ。


「日本でも数年前から〈十八歳で成人〉デスヨ? それにおれ、まだ十六歳だし」


 法律変わったのは知らなくてもしょうが無いけど、息子の年齢間違えるとか何?

 ――って思ってたら、リューさんたちも驚いてて、おれも驚いた。



 そして知る新事実。


 この世界の一年って〈三百日〉らしい!

 〈六十日〉が〈五カ月〉あって〈一年〉なんだってさ。


 一日は、地球と同じ二十四時間だったのにね……。


 ん?

 アゴヒゲ撫でてるリューさんがドコと無く嬉しそうなの、気の所為?



 でも結局、『おれの成人は二年後』ってのは変わらなかったね。

 それまでは保護者が必須だって。


 むしろ今一人で放り出されたら、おれ本気で困るからいいんだけど。


 今後二年以内に日本に帰れるか、この世界で生活出来るようになってるか。

 タイムリミットは――六百日?

 それとも日本時間に換算して、誕生日割り出すのかな? どうすんだろ。



 取りあえず大事なのは、明日も明後日もおれはこの世界で暮らさなきゃいけないってコトで、レインさんが居てくれるかどうかはおれの生活に直結するってコトだよ。

 おれはやっぱり、フサフサ尻尾が無いとまだ落ち着けないから。


「煩わしいだろうけど、レインさん、当分一緒に居て下さい」


 遠慮して上着の裾だけ掴んでお願いしたら、ナゼか全員に頭撫でくり回された。

 ()せぬ!


一章完結です。間に合った。

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