表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚されたのに非戦闘職は不要と放り出されました。理不尽!  作者: 笠谷 柳斗
第一章 リンドウ家ファミリー牧場計画(仮)
17/56

09 探し物は何でした?

 レインのオッサンの背中、温か~い。

 フサフサ尻尾で、更にヌックヌク~。

 おれ、このまま寝ちゃいそう~。


 って言うか、もう寝てない?

 このぼんやり加減、夢っぽいんだよねー。


「封印の迷宮(ダンジョン)近くに〈避難所〉か。そんな発想は無かったぜ……」

「そうか。迷宮の場所ならギルド発行の地図見りゃ判るし、街道沿いの宿なら町より許可も出やすいよなぁ」

「絶対採算取れねーッスけど。商会立てるような商売人が、んなコトしますかね?」


 お兄さんズは夢の中でも会議続行?

 明日も日の出起きなのに、まだ寝ないの?


「いや、大当たりかも知れねぇぞ。他の宿泊所の場所も判るとイイんだが……」

「ギルド経由でエムエー商会に照会してみるか?」


 そんなシャレ言う前に、〈支配人さん〉に言えばいいよ?

 『困った時は支配人さん!』だよ~。


「シャレはともかく。ロビーの魔導人形(ゴーレム)に言ったら、何とかなるか?」


 だって、〈この宿のコト()()任せられてるヒト〉でしょ?

 近くの系列宿なら、きっと場所も行き方も知ってるよ。

 満員とか、何かあった時に困るもんね~。


「あ~、そう言えば。宿泊所の魔導人形同士で連絡取ってるって、聞いた事あったな」

洒落シャレたつもりは無かったんだが……まぁいいか」

「そう言やアイツら、コッチの言葉が解ってるみたいだよなぁ」

「でも、返事は決まってるぽいスよ。やり取り出来るッスか?」


 ん~? 『系列の宿の場所が判る地図見せて』って言ってもダメ?

 無くても、書いて教えてくれんじゃね?


「つまり、『他の簡易宿泊所の場所が判る地図を見たい』って言えばイイのか?」

「それは――この国全部とは言わんから、街道沿いだけでも判れば助かるな」

「言ってみる!」

「オレも行くッス!」


 お~。猫兄さんズ、意外と素早い。

 ヒュンって音した。ヒュンって。

 マンガみたいー。



「しかし、地図なんてかなり重要な品だろ。おいそれと見せてくれるか?」

「あ~、うん。〈この宿(ココ)〉は、〈この国の()()まかり通らねぇ場所〉だから。れば見せてくれるだろなぁ」

「見せても構わない、と?」

「〈温和おとなしく泊まる〉以外の選択肢が無ぇからな。魔導人形に有害認定されたら外に放り出されるし、その後は結界で弾かれて広場にも入れなくなるんだぞ?」

「ああ、〈対S(ランク)魔獣の結界〉か。そりゃあ何も出来んわなぁ……」


 ついでに。

 ココの商会関連の店全部で、出入り禁止になったりしそう~。

 情報共有ジョーホーキョーユーは基本だって、昔父親が言ってたもんねー。


「そうだな。一度〈有害者の名簿(ブラックリスト)〉に載ったら、エムエー商会が関わる全部の場所で出入り禁止になる。嬉々として管理してるのが居るんだよなぁ」

「……つくづく恐ろしい商会だな。絶対に敵には回したく無いぜ……」


 ウチの父親が関わってたら、当然そーなるよねー?

 でも、姉ちゃんよりはマシだと思う。

 いくら何でも、標準(デフォルト)で〈三倍返し〉はしないでしょ?


「スンマセン! 地図はあったけど、ロビーから持ち出し禁止ッス! 暖炉前のテーブルなら大丈夫らしいんで、今兄貴が並べてるッス!」

「一応、無対策では無いのか。解った、すぐ行く」

「スズノ、移動するぞ。担いでもイイか?」


 ムリー。

 夢でもお腹いっぱいー。

 戻る~。


「じゃあ……オレの首に腕回して、しがみ付け。落ちるなよ?」


 ふぉ~、おんぶなんて十年ぶり?

 夢で良かった。

 現実だと、流石に恥ずかしくてムリだもんねー。



 あ――テーブルに並んでんの、羊皮紙じゃ無いっぽい。

 お~?

 アレってパズル――じゃ無いね。〈江戸の切り絵図〉みたい!


 ……ぉお? 夢の中なのにクラクラして来た。

 ナンデ?


「あ――魔力が切れたな。後でベッドに運んでやるから、このまま寝てもイイぞ?」


 そっか、ラップが無くなったのか。

 夢の中で寝たら、やっぱり目が覚めちゃうのかなぁ?


 そう言えば。

 おれは目をつぶってるのに、何でテーブルの上が見えてんだろ。

 夢だからかな?


 あれ、急に真っ暗――……。



「スズノ? あちゃ~、また魔力漏れしちまってるよ。さっきまで安定してたのになぁ? しょうが無ぇ。後で文句言われたら、謝るか……」



**********



 目が覚めたら、ベッドでした。


 ハッキリ憶えてるのは――羊皮紙の地図見てて、注目浴びちゃったトコまで。

 その後で寝落ちしちゃったんだろうけど……。


 また岩盤浴してた気がするのはナゼだ?

 全体的にぼんやりしてるし、意味不明過ぎる。

 ……ドコまでが夢だろ。


「起きたのか、スズノ?」


 うん……レインのオッサンは通常運転だし、ダイジョブかな。


「……おはよーございます」

「ああ、お早う。調子はどうだ? まだクラクラするか?」

「ん~……大丈夫、もうしてない」

「そっか。支度はゆっくりでもイイけど、馬車を見送りたいなら急げよ?」

「え――今日も馬車じゃ無かった?」

「お前のおかげで、ココが避難所だってハッキリしたんだ。それで馬車のルートが変わって、オレたちの行き先から更に離れた。今日は歩くから、しっかり朝飯食うぞ」

「ふわぁ!?――って。歩くの、一日早まっただけだよね? 落ち着け、おれ。あ、お見送りはしたいです」

「解った。着替えは――コレか?」

「うん、ありがと」


 あれ――オッサン、朝風呂入ったの?

 髪がちょっとシットリしてるし、何となく柑橘系の香りするし、犬耳と尻尾も心なしかいつもよりフカフカな気がする。

 いいなー。おれも大浴場、行きたかったなー。


「――って。おれ昨日、寝間着に着替えたっけ?」

「ああ……ソレは昨夜ゆうべ、魔導人形が大挙して来てなぁ」

「はい?」

「お前を大浴場に連れてって、綺麗に湯浴みさせて返してくれたよ。誰の差し金か判るから、逆らえなくて……スマンな」

「えーと…………はい」


 オッサンの遠い目は、訊いちゃいけないコトがあるって意味だ。

 ゴーレムさんの足は車輪だから階段上れないし、どうやって行き来したのかは――うん、考えない方がいいよね?

 憶えてなくても、大浴場には行けたみたいだからヨシとしよう。そうしよう。


 おれは黙ったまま、急いで着替えと洗面を済ませました。


「そろそろ荷物を積み込んでる頃か。玄関前に急ぐぞ、スズノ」

「おー!」



*********



 うん、動くとホノカに柑橘が香ったよ。

 オッサンとお揃いだけど――犬系は、柑橘系ダイジョブなんだっけ?

 猫兄さんズは――普通ならアウトだけど、獣人じゅうじんだから平気かな?

 平気だといいなー。


 そんなコト考えてたのは、廊下に出てドアにカギ掛けた途端、オッサンの小脇に抱えられたから。

 階段はほぼ飛び下りてて諦めの境地だったけど、玄関出る前には降ろしてくれた。



 外に出たら、ホントに荷物積み込んでるトコだったよ。

 馬も繋いであるし、荷物の後に人が乗り込んだら即出発じゃね?

 オッサン、スゲー。

 ――じゃ無くて!


「えっと……おはようございます! 二日間お世話になりました。お気を付けて!」


 みんな馬車の周辺には居るみたいなので、全員に聞こえるといいなーと思いつつ大声で挨拶してみました。


 馬小屋の反対側に顔を向けない人が多いのは多分、〈デッカい何か〉が出現してる所為だよねー。

 どう見ても〈元・魔獣〉だけど、ゴーレムさんたちが大きなテントっぽいので大事そうに囲んでるから、きっと食材。

 夜明けに黒々と浮かぶデッカい姿は恐怖の対象だろうに、宿的には仕入れ……うん、〈現実味が無い(シュール)〉。


 興味津々なのは兎のちびっ子だけで、大人は〈見ないフリ〉だ。脳内処理に困るんだろね。

 おじさんが引きつった顔でちびっ子を抱っこしてるけど、ゴーレムさんたちが安全確認してるからダイジョブだよー。

 気が付いた二人が手を振ってくれたので、おれも振り返す。


「おう、お早う。で――アレ何してるんだと思う、赤毛の兄さん?」


 積み込みを猫兄さんズに丸投げした熊お兄さんが、オッサンの近くに来て言った。

 声がメッチャ呆れてるね。

 気持ちは解るよ。少しだけ。


「あ~……アレは、肉の補充だ。昨日、大量に消費したからなぁ」

「……そうか。あの人形は、本当に戦力なんだな……」


 オッサンはおれを馬小屋側に置いて頭をポンポンしてくれたけど、確実に遠い目だね。

 もしかしてアレ狩るの、オッサンも手伝った?

 そしたらロビーで支配人さんが敬礼したのも、朝風呂の説明もつくんだけどな。

 まぁ、何のお肉でも美味しければいいよ。美味しければ。



「昨夜の焼肉は、本当に旨かったな。二人が居なくなると、飯の時間が寂しくなるぜ。涎垂らして鍋見てくれたの、坊ちゃんだけだもんなあ」

「流石にヨダレは垂らしてないよ!?」


 御者のおじさん、いきなり現れて〈トンデモ爆弾〉落とさないで!?

 前科あるし、ちゃんと気を付けてるんだからね!


 ちょっ――マナーモードで笑うなよ、レインのオッサン!


「まあ、何だ。飯の事だけじゃなくて、色々と助かったよ。おかげで、安全に旅が出来そうだ」


 ナイス・フォロー!

 熊お兄さん、ありがとう!


「なぁ、もうちょっと乗ってったらどうだよ。あの森の近くなんて、坊主が歩けるのか?」


 シマ兄さんは、おれを心配してくれてるの?

 でもブチ兄さんが、メッチャイヤそ~な顔してるよ。気付いてる?


「歩けなきゃ、次の宿泊所で森が落ち着くのを待つさ。オレたちは〈辺境伯領〉に行きたいんだ」

「なら仕方無いやね。この馬車の目的地は〈王領北部の街ベイティーリール〉だから、この先はどうしたって辺境伯領からは遠ざかっちまう」

「そうだな。返金手続きも済んでるし、あんまり無理を言うもんじゃ無いぞ」

「そっか……森の近くを通らねぇと着かねぇんじゃ、しょうが無ぇな」


 耳と尻尾がスンゴいションボリしちゃったよ、シマ兄さん!

 モフモフして慰めたくなっちゃうんだけど!?


「……ウチの兄貴が、面倒掛けたッス」

「あ~、うん。まぁ、人生色々あるだろ。気にしてねぇよ」


 ブチ兄さんはオッサンに声を掛けたけど、おれからは距離を取ってる。

 ウズウズしてるの見て警戒したっぽい。

 猫ってそーゆートコあるよね。スンゲー納得した。

 むしろ、シマ兄さんは猫っぽく無いような気がするんだけど。ダイジョブかな?


「もっと詳しい話なら、エムエー商会の店員に『〈適性があれば自力で使える魔導具〉は無いか』ってく方がイイぞ。何かしら教えてくれんだろ」


 何の話だろ?

 シマ兄さんの耳と尻尾がピーンと元気になったから、当たりっぽいけど。


「王領にも店は在るが――〈ヴェルブレンド領〉か〈ヴェラクリスト領〉の支店の方が、親身に相談に乗ってくれるだろな。西のと南側の辺境伯領はヤメとけ。王都並みに獣人に厳しいぞ」

「北と東の辺境伯領が良いんだな。解った!」


 シマ兄さん、超必死なお返事。

 熊お兄さんとブチ兄さんは、生温かい目で見てるけど止めはしないんだね。

 兎のおじさんも『獣人に厳しい』って辺りでメッチャ頷いてたよ。

 みんな獣人さんだし、何かよっぽどのコトがあったのかな?


 え――兎のちびっ子がモコモコになってるよ?

 おれに抱っこして欲しいの?

 断るなんて滅相メッソウもないですとも!

 ギューしてモフモフさせてね!



「そろそろ出発するぞ~」


 御者さんの声で、商人さんが最初に馬車に乗った。


 抱っこしてた兎のちびっ子を、先に乗った兎のおじさんに手渡す。

 頭撫でたらニコッて笑って『バイバイ』って手を振ってくれた。

 このちびっ子、マジで天使だ! 癒される~!


 最後に護衛の三人が、〈おれの頭を撫でてから〉乗り込んだ。

 熊お兄さんとシマ兄さんはともかく、ブチ兄さんも!


 おれが何かの役に立ったのは、ホントだったらしいよ!

 自覚は全然無いんだけどね。おれ、何したんだろ?


「みんな、ご安全に~!」


 感動して思いっ切り手を振るおれに、オッサンが苦笑いで頭ポンポンしてくれた。


お待たせしました。

今日の夜、22時に次を投稿します。

元は一つだったんですよ、ええ…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ