表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ABYSSーアビスー  作者: 日鏡ロイ
3/5

3話

 時が止まった。

これは比喩ではない。実際、深の目の前で全ての動きが止まったのだ。振り下ろされようとしていた鬼剣も、空を飛んでいた鳥も、雲の動きも。そして彼自身の動きさえも。瞬きさえできないなか、彼の意識だけが覚醒していくのを感じていた。


 そして世界が白く染まっていく。


(なんだ……これは。一体どうなってーーーー




『こんにちは、七ヶ瀬 深。貴方の運命は今日ここで終わるはずでした』



(これは……頭に直接響いてくるのか)


 微動だにできない中、柔らかな声音が頭の中に響いてくる。この何故か安心感のある声に、無意識に深の動揺はおさまっていった。


『時間がありません、手短にお伝えします。本来の運命では貴方はこの場所であの通り魔に切り裂かれ、そして一緒にいた榛名結衣と扇陽夏も殺されることになっていました』


 やはりそうか。深は『ナニカ』は自身でなく他の2人にも殺気を放っていることに気が付いていた。


『しかし、その運命は変えられます。2人を守りたければ、今から貴方達を送り込む世界【エンドワールド】、そこで先程の通り魔を見つけ出して倒すのです。さらにエンドワールドにおいて通り魔が転移してくる時間より前に送り込みます。』


 つまり、転移先で通り魔がこちらの世界へ移動するのを防げばいいということ。

 しかし問題も存在する。


『この世界の時間を止めておくのにも限界があります。エンドワールドとこちらの世界の時間の流れの違いと、私が世界を止めておける時間、それらを考慮しても貴方達がエンドワールドで行動できる時間は3ヶ月。それまでに通り魔を探し出すのです』


 そして世界が白に染まり切る。



『さあ、大切な人を守りなさい。七ヶ瀬 深、貴方にならできます。……難しいことではありません、魂にかけて違うならば運命は貴方に力を貸してくれます。では、ご武運を』


ーー3人の姿が世界から消えた。








『私にできる手助けはこれが限界よ、深。後は貴方が帰ってくるのを待っているとするわ』


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ