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ABYSSーアビスー  作者: 日鏡ロイ
2/5

2話

 その『ナニカ』は人間だろうか。目を凝らしてもその素顔は見えない。ただ存在そのものがこの世から拒絶されているのか、その周辺の空気は揺らめき震えている。


「な、なんだこいつ……」


「知り合い?顔が見えないけど、何かの企画かなー?」


 目を見開く深に、不思議そうな結衣。『ナニカ』は体を揺らしながら歩いてくる。陽夏は何やらケータイで電話をかけようとしている。


「ちょっと!どっからどう見ても不審者でしょ!警察呼ぶわよこのやろー!」


「七ヶ瀬……やっとたどり着いた……お前もここで……」



(こいつの纏っている空気……まさかあの夢の……!)



「逃げろ2人とも!!!」


「え?」


「ど、どうしたのよ凄い顔に……深っ!」



さくっ



 深の背中から黒い剣先が飛び出していた。


「なっ、ぐ……あぁぁぁあっ!!」


 『ナニカ』の持つ黒い剣は霧のようになって消滅し、深は地面へと倒れ込む。その突然の出来事に結衣と陽夏は動く事ができない。


「七ヶ瀬君!血が……」


 我に帰り深へと駆け寄る結衣。彼を抱え込んだ結衣だが……


「出てない?」


「魂を消滅させるためだ。さあ、貴様らもここで消え去るが良い!」


『ナニカ』は黒い剣を作り出し結衣へと斬りかかる。


「させ……るがぁっ!!」


 無理やり体を動かし結衣を庇う。黒い斬撃は深を斜めに切り裂いた。



(ちくしょう……こんなとこで死ぬのか、俺は……)



 消えゆく意識の端で彼が見たのは、『ナニカ』の作り出した剣の鮮やかな刀身が、結衣を切り裂こうとする姿だった。





ーピシッーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 世界が止まった。

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