表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

謎の自販機

 何が出るか分からない自販機がある。言葉通り、どんな飲み物が出てくるのか分からない、買い手に伏せられている自販機である。正確に言えば自販機そのものではなく、自販機のボタンの一つにそういうお遊びがあるといったほうが正しいが。


 俺の住んでいる家の近辺に、そういった自販機が設置された。ただしその自販機で販売しているものは飲み物ではなく、それこそ何が出てくるか分からない様々なものである。


 俺も一回利用したが、その時出てきたものは単3の乾電池であった。ある程度は常識的なものだったので、それ以降特に興味を持つことなく時は過ぎていった。


 しかし最近友人との間で、その自販機のことが話題に上がる。そして話を聞くには、その自販機からはもっと色々なもの、例えば靴やおもちゃ、さらには宝石の指輪などまで出るというではないか。驚く俺だったが、そこから話は不穏な方向に進んでいった。その自販機からは良い物だけではなく、おぞましい物も出てくるという噂話が広がっていると。なんでも、動物の剥製、透明な瓶に入れられた何かの目玉、そして毒薬なども出てきたなどという話だ。


 当然俺たちは馬鹿にする。出来損ないのホラー話など、ネタにして笑うのは日常茶飯事だ。


 だが好奇心旺盛な年頃の俺達だ。その自販機で再び何かを買ってみようという話になった。


 俺たち3人はその自販機の前に立ち、やや緊張しながら3人分のお金を入れる。そしてボタンを押す。そして出てきたものは--。


 出てきたものを見て、俺達は顔を見合わせ沈黙する。。 


 3回やったので出てきたものは3つ。一つ目は双眼鏡。2つ目は、初めて見るが恐らく銃弾、そして3つ目は、談笑している俺たちを遠くから撮ったであろう写真。


 誰も一言も喋らなかったが、表情は雄弁を物語る。困惑と恐怖。


 俺たちは脱兎のごとく逃げ出した。


 その後、俺たちの間でその自販機の話題をすることは二度と無かった。あの時出た3つの代物は、袋に仕舞われ、俺の家の倉庫の奥深くで眠っている。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 怪談新耳袋を見たような、短くも恐ろしいお話でした。 面白かったです。
[良い点] 後半はみんな殺されるかもと思って、ドキドキしながら読みました!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ