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第四十五話

アルフォート視点となります。

 今まで私が、必死にエレノーラをソーラスから離そうとしていたのは、全てこの時のためだった。

 侯爵家をこれだけの罪で潰せば、侯爵家に縁のある人間全てに被害が及ぶ。

 だからこそ私は、真っ先にソーラスがエレノーラを離縁させるよう仕向け、被害がエレノーラに及ばないようにしたのだ。


「……っ!」


 それを薄々勘づいたのか、ソーラスの隣にいるカーシャというメイド長の顔は、青ざめていた。

 どれだけ理解したのか分からないが、私が本気で侯爵家を潰そうとしていることは理解できたに違いない。


「は、はは。冗談が酷くはないでしょうか、公爵閣下?」


 ……が、一方でソーラスは未だ現実を受け入れられていなかった。


 侯爵家の犯罪を調べ尽くされた書類。

 それを見れば、侯爵家を本気で潰そうとしたことぐらい誰だって分かる。

 にもかかわらず、ソーラスは必死で現実から目を逸らそうとしていた。


「先程言っていたはずですよね? エレノーラと離縁すれば、全てを公爵家が免除すると。この書類もは、侯爵家で処分して良いと渡してくださったんですよね?」


 いままでと打って変わって、下手な態度で縋るような目を向けてくるソーラス。

 そんな姿に必死に笑いを堪えながら、私は口を開いた。


「ああ。別に構わない」


「……っ!」


 その瞬間、ソーラスの顔が希望で輝く。


「もう既に王家には、同様の書類を送っているからね」


「…………は?」


 が、間髪入れず私が告げた言葉に、ソーラスの顔から表情が消えた。

 そんなソーラスへと私は満面の笑みで告げる。


「妹にあれだけ無体を働き、高価な装飾品を壊した人間がいまさら何を言うのか。あれのお陰で、公爵家は今や金欠状態だ。──その上、恩人を傷つけた人間をどうして許せる?」


 その言葉に、ソーラスは呆然と呟く。


「……そんな、確かに免除すると」


 この期に及んで未だ状況が理解できていないソーラスに、私は呆れを覚えながらも口を開く。


「ああ、確かに言った。だが、私が免除すると言ったのは弁償額と慰謝料だけだ。この書類に関しては一切明言していない。そうだろう?」


「最初から? ……っ! まさか、お前私を騙して……」


 その瞬間、ソーラスの顔色が変わり私はようやくソーラスが最初からはめられていたのに気づいたことを悟る。


 そんなソーラスへと、私は満面の笑みで告げた。


「弁償額を免除してやっただけでも、十分な温情だろう? だから、安心して侯爵家と共に滅びてくれ」

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