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第二十六話

「……屑共が」


 憎悪に満ちたそんな言葉を私が漏らしたのは、ソーラス達と話していた客室を出た後、自室でのことだった。

 発散することの出来ない怒りが、胸を焼く。

 散々こき使った挙句、全ての罪をエレノーラに着せようとするソーラス達。

 その姿に、私は激しい憎悪と怒りを覚えずにはいられない。

 エレノーラという少女が、どれだけ必死になっていたかを知るからこそ。

 私の知る限り、あの侯爵家の人間達は愚劣な人間が多い。

 が、それでも今代は取り立てて愚劣だ。


 だが、今回ソーラスとの会談のおかげで、有益な情報を入手出来たのも、事実だった。


「……そうか、本当にエレノーラ様は侯爵家から逃げ出していたか」


 小さくそう告げた私は、机の引き出しを開き、その中から手紙を取り出し広げる。


 ──その手紙に書かれていたのは、エレノーラ様を保護したという内容だった。


 もう何度も読み返したその手紙を見ながら、私は小さく口を動かす。


「つまり、あの噂は本当に侯爵家が広めたもので良さそうだな」


 この手紙が届いた時、私はエレノーラが侯爵家から逃げ出したという噂は、この手紙の主が意図的に広めた噂である可能性も頭に入れていた。

 しかし、今回のソーラスの言葉でそれがただの考えすぎだったことがわかった。

 少なくとも、あくまで一部分においてだが、この手紙の主を信じたて良いだろう。

 そう判断した私は小さく呟く。


「公爵家の新当主のお手並み拝見というところか」


 そして私は、机の引き出しに手紙をなおす。

 とある疑問を私が抱いたのはその時だった。


「……それにしても何故、ソーラスは態々エレノーラ様の逃亡を他の貴族に明らかにしたのだろうか」


 その疑問の答えが分からず、私は首を傾げる。


「──エレノーラ様の逃亡をしれば、貴族達が離れていくことぐらい分からないわけ無いだろうに」

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