ギスギス3
生徒会の仕事が残っている鏡一郎とは廊下で別れ、天音は急ぎ足でA棟に戻った。
悠長に子供の頃の思い出に浸っている場合ではないのだ。これからダンタリオンに文句を言ってやらなければならないのだから。
校庭では、サッカー部がグラウンドを全面使って紅白戦の真っ最中だった。
ボールから校舎を守るために張られた緑色のネットには、たくさんの女子生徒が張りついて、盛んに黄色い声援を送っている。
天音は彼女たちを尻目に、校庭の端をずんずんと歩いて行く。
が、勇ましかったのは旧校舎の手前まで。
前回、ここへ来たときのようにまた大勢の生徒がダンタリオンを取り囲んで談笑しているかもしれない。また邪魔な奴が来たという目で見られるのかと思うと、やはり気が重くなる。
自然と忍び足になった天音は中腰のまま保健室の窓の下にへばりつき、そこで耳をそばだてた。
「あれ? 妙に静かだなあ。まだ誰も来てないのかなあ?」
「ええ、そうなんです。生徒で賑わったのは、ほんの数日。ここのところ、ぱたりと人が近寄らなくなってしまいまして」
「へえ……」
なんで? と聞こうとして、天音はぎょっとした。
恐る恐る声のする方に振りかえれば、目に飛びこんできたのは厳めしい老人の四角い顔のドアップで……。
「ぎゃあっ!」
天音はたまらず悲鳴をあげた。
この悲鳴にびっくりしたのだろう。老人の方も「ぎゃあっ!」と飛びあがり、その反動で後ろにコロンと倒れてしまった。
その瞬間、ポンっと白煙が上がり、老人は猫ほどの大きさの茶色いカエルになってしまった。
「ゲコ、ゲコゲコ」
大きなカエルが白い腹を天井にして、苦しげに手足をバタつかせている。
天音が知る中で、しゃべる大きなカエルと言えば……。
「え、ええっ、藤堂さん? ああ……もしかして、これが『ヒックリカエル』ってやつ?」
以前、聞いていた通り、この状態では本当に何もできなくなってしまうようだ。哀れなカエルは起き上がることもままならない。
天音は彼の前足を持ち、丸っこい体を「よいしょ」とひっくり返した。
「げほ、げほげほ」
白煙と共に、カエルはYシャツの上に割烹着を着込んだ老人の姿に早戻り。
「はあ、はあ、はあ、死ぬかと思った」
「だ、大丈夫ですか」
荒い息の老人の背中をさすってやりながら、天音は注意深く辺りに目線を配った。
――ちょっと、ちょっと。今の……、誰にも見られてないよね。
幸いにも、天音が心配するような事はなかった。
ちょうど向こうサイドのゴールへと、フォワードが華麗にシュートを決めたところで、選手もギャラリーもそのスーパーゴールに夢中になっている。おかげで、古びた校舎の前の出来事に注意を払う者は一人もいない。
とはいえ、人目につくところで変化するなんて、迂闊と言うより他にない。
「藤堂さん、誰にも見られなかったからいいようなものの、もっと気をつけた方がいいですよ」
「何をおっしゃる。お嬢が驚かすからいけないのですよ」
「ええっ、私のせい?」
「他に誰のせいだと?」
「えー、私、助けてあげたのに!」
騒がしい二人の頭上で窓が開いた。
見上げれば、この上なく不機嫌そうなダンタリオンの顔があり……。
「そこで何をしておる。トード、茶はまだか」
「はっ、ただいま!」
さっきまでとは打って変わった機敏な動きで、藤堂は旧校舎の中へと入っていってしまった。
「待って、私も!」
天音も慌てて後に続いた。
急いではいても部活のときの癖は残っていて、いつもの場所で靴を脱ぎ、いつものスリッパを選んでしまう。第二読書部が廃部になったとはいえ、天音にとって旧校舎は懐かしの我が家のような存在だ。
ところが、その我が家が少し見ぬ間に様変わりしていて、天音は腰を抜かしそうになった。藤堂に続いて飛びこんだ一階の元保健室が、すっかりダンタリオン仕様になっていたのだ。
「何これ、いつの間にっ?」
まず目に飛びこんできたのは、部屋の中央で幅を利かせている立派なソファセットだ。赤みを帯びたブラウンの総革張りで、規則正しい鋲留めが美しい逸品だ。
ソファセットの奥にはミルクチョコレートのように艶やかな書斎机が置かれていて、天音は、これまたお高そうだと目を見張る。
模様替えの箇所はまだまだある。
外から覗いたときには気づかなかったが、カーテンもソファに合わせたかのように光沢のある深紅のベロア生地のものにつけかえられていた。タッセルでひとまとめにされてはいても、たっぷりとした分量があることは波打つドレープから窺える。
他にも銀の燭台やら何やら細々としたものが持ちこまれていたが、床や天井、薬品棚や流し台といった部分は手つかずで、なんともちぐはぐな印象だ。
そんなことは気にならないのか、ダンタリオンは嫌味なくらいに長い足を組んで、ソファでくつろいでいた。
「そろそろ来る頃だと思ったぞ」
向かいに座るよう促され、天音はソファの端に浅く腰かけた。和やかに歓談するつもりで来たのではないのだ。
「なんですか、これ。勝手に模様替えなんかして」
「勝手にではないぞ。学校側から許可を得ている」
「許可なんて……、どうせ目力で言いなりにしたんじゃないですか?」
天音が胡乱気に言うと、藤堂が「とんでもない!」と首を振る。
「ダンタリオン様に快適に過ごしていただくために、わたくしめが校長にかけあい、わたくしめが家具を選び、運んだのですよ」
藤堂は流しの横でやかんを火にかけながら、どうです、えらいでしょう、とでも言いたげだ。ということは、湯を沸かしている、そのミニコンロも藤堂が持ちこんだものなのだろう。
「藤堂さん、木造の校舎は火気厳禁ですよ」
天音が注意しても、「ええ、ええ、わかっておりますとも。しかし、なにぶん電気が通ってないもので」と、悪びれない。
「それに、ここは水も出ないのですよ。蛇口があるというのに。おかげで水を汲みに行かなきゃならない。困ったものですよ」
藤堂は流しにまで文句をつけてくる。
もともと旧校舎保存会の会長として学校への立ち入りを許されていたが、田中先生のお世話係という名分で常時学校にいる権利も得てしまったようだし、全くやりたい放題だ。
「水や電気がないのなんて当たり前ですよ。そもそもここは保存の目的で残されているんであって――」
話の途中だったが、鼻をくすぐる良い香りに言葉が止まった。
藤堂が紅茶のセットをワゴンで運んできたのだ。
薔薇の模様の華奢なティーカップに、藤堂が紅茶をサーブしていく。その所作の美しさに、天音は思わず叫んでいた。
「わあっ、本場の、本物の執事みたい!」
――あっ、でも、白い割烹着が残念だなあ。見た目は昭和のおかみさんみたいだもんなあ。
ときめきは一瞬で消え失せたけれど、出された紅茶はとてもおいしかった。
普段はミルクと砂糖をたっぷり入れる派の天音だが、ストレートで飲む紅茶の深い香りと味わいに堪らず「ほおっ」と息が漏れる。
「とてもいい茶葉なのでございますよ」
いかつい顔をほころばせる藤堂につられて、「へえ、どこ産ですか?」などと紅茶談義を始めそうになり、いけないいけないと天音は首を振る。ここに来た当初の目的をうっかり忘れるところだった。カップをソーサーに戻して、天音は居ずまいを正した。
「私、言いたいことがあって来たんです。うちのクラスの倫ちゃ……橋本倫と志村千秋って子のことです」
「はて、誰のことか」
顎に手を当て、考える素振りをしているが、悪魔がとぼけているのは一目瞭然だった。
「えー、覚えてないなんて絶対ウソだあ。田中先生に憧れて保健室に通ってた女子の中で、よく似た二人がいたはずですよ。片方にだけ褒めるようなことを言って、険悪な空気にしちゃったこと、忘れちゃったんですか」
それでもまだしらばっくれるダンタリオンに代わって、「ああ、はいはい、あの二人」と藤堂が相槌を打つ。
「あの二人の女学生がどうされました? あのまま仲違いでもしましたか?」
「そうなんですよ、藤堂さん! あんなに仲良しだったのに口もきかなくなっちゃったんですよ」
力説する天音の目の前で、ダンタリオンはすました顔で紅茶を飲んでいる。
でも、その口元がわずかに弧を描くのを、天音は見逃さなかった。
「あっ、今、笑った! やっぱりわざとなんだ! 二人を揉めさせようと企んでたんだ! ひどい、サイテー」
「たしかに、人間が苦しむ様を見るのは愉快ではある」
「わー、開き直った! 信じられない。なんで、そんな意地悪なことをするのかなあ。ダンタリオンって、もっといい悪魔だと思ってたのに……」
天音の言葉にダンタリオンがピクリと反応した。
「あーあ、なんかちょっとがっかりかも」
再びダンタリオンが反応する。今度はピクリどころではない。
「な、何? がっかりだと?」
くわっ、と目を剥いた拍子に、隠れていた角がぴょんと飛びだした。
「あわわわわ。ダンタリオン様、角が! 角が!」
藤堂に指摘されて、角は黒髪の中へとおさまったが、ダンタリオンは小鼻を膨らませたまま。フーフーと、荒い鼻息も聞こえてくる。
だけど、天音はそんなことにはお構いなしだ。
「だって、女子高生をケンカさせて喜んでるなんて、なんだかすごーく小者っぽいもん」
「こ、こ、こ、小者?」
面と向かって、こんなことを言われたのは初めてなのだろう。
角がひっこんだり伸びたり、爪も黒く尖ったり。その上、瞳も赤く光ったり黒くなったりと、ダンタリオンは力を全く制御できなくなってしまった。
「あわわわわ。偉大なるダンタリオン様になんということをっ!」
藤堂は主を落ち着かせようと紅茶を飲ませ、背中をさすってと実に甲斐甲斐しく動いている。
それだけではない。忠実なしもべというのは、言い負かされそうな主に代わって反論するのも仕事のようだ。
「お嬢は誤解しておいでです。ダンタリオン様はたしかにいらぬことを言ってしまわれるお方です。おかげで、あんなに慕って集まっていた生徒たちも今ではご覧の通り、誰も寄りつきゃしません。彼らをもてなそうと、お茶のセットを運びこんだ矢先のことでしたから、私だって、そりゃあ、がっかりしましたよ」
「おい!」
自分もダンタリオンを怒らせているとは気づかずに、藤堂は身振り手振りをまじえて訴える。
「でも、お嬢、あの女学生たちが仲違いをしたのはダンタリオン様だけのせいとは言えないのですよ」
「えー、だって、よく『悪魔の囁き』って言うじゃないですか。悪魔って、人間に悪いことを吹きこんで争いごとを起こさせたりするんですよね。そういえば、なんか最近、学校中がギスギスしてるし」
「ダンタリオン様のお力のひとつに、隠し事を暴く力というものがございます。醜い心を隠し持った者たちがそれを隠せなくなって争いごとが起きるのであって、ダンタリオン様がそそのかしているのではございません」
「その通り、よくぞ言った、トードよ!」
ダンタリオンが膝を打つ。
「私には人間の心の奥底がわかるのだ。全てここに書いてあるのでな」
ダンタリオンが左手を掲げると、宙から現れた分厚い本がゆっくり手の中に下りていく。
「私が人間をそそのかすのではない。人間が欲したことなのだ」
彼はすっかり調子を取り戻していた。フハハハハと高笑いが出るくらいに。
あまりの憎たらしさに、天音はムッと口を尖らせる。
「人間が欲してる? 美術の先生を追い出して、旧校舎に居座って、自分の好き勝手にやってるくせに。あっ、それに、部長先輩を高校に連れ戻してやるぞーとか言ってなかったっけ? それって、無理やり思い通りにさせるってことだと思うけど」
「いーや、望んでた!」
ダンタリオンは子供みたいにムキになった。
「部長は何度も『あー、高校時代に戻りたい』と、呟いておる。あの教師は疲れていた。故郷に帰りたいと思っていた。校長は旧校舎の管理を誰かに押しつけたがっていた。千秋という娘は心の奥で友人を妬んでいた。全部、この本に書いてある!」
「えー、そんなの、ちょっと愚痴をこぼしただけだよ」
「でも、それが本心だ!」
「本心とは絶対違うもん!」
いがみ合う二人の間に「まあまあまあ」と、藤堂が割って入ってくる。
「お二人とも、紅茶でも飲んで落ち着いて――」
「うるさい!」
天音とダンタリオン、同時に怒鳴った二人が同時にテーブルを叩いたものだから、ティーカップが派手に跳ねた。カップは割れなかったけれど、紅茶はテーブルに飛び散ってしまった。藤堂が丁寧に淹れてくれた紅茶を二人で台無しにしてしまったのだ。
「あ……、ごめんなさい」
「む……、すまん」
「いえいえ、すぐに台拭きを持ってまいります」
天音とダンタリオンは気まずくなって押し黙った。
黙ったけれど、天音はまだまだ言い足りない。
――だって、そんなこと言いだしたら、私だって、アサちゃんを羨ましいと思ってるし! 劣等感とか、あんまり感じたくないから、なるべく自分と比べたりしないようにしてるけど。
そこまで考えて、ふと思った。
……でも、千秋ちゃんはどうなんだろう……。
そもそも天音は、余計な波風を立たせるな、とダンタリオンに注意すれば、すべて解決と考えていた。
だけどダンタリオンの言うように、千秋の取った行動が彼女の本心なのだとしたら……。
最初のうちは勇ましく怒っていたのに、段々と弱気になっていく。
――本心って、なんだろう。わかんないけど、なんだか怖いな……。
倫と千秋だけでなく、皆の本心が露わになったら、そこら中で諍いが起きるかもしれない。
そうなったら、天音のせいだ。全ては、軽い気持ちで悪魔を召喚したことが始まりなのだ。
――どうしよう。私、大変なことをしでかしちゃったのかも……。
今更ながら後悔した。
全てを無かったことにできたら、どんなにいいか。
カップを片づける藤堂を横目に見ながら、天音は再び口を開いた。
「最初のとき、宝探しが得意だって言ってたのは、隠し事を暴けるから、だったんですね」
藤堂はこぼれた紅茶を布巾で拭きながら、「そうです、そうです」と顔をほころばせる。
「本来ダンタリオン様のお力が一番発揮されるのは、宝探しのときなのですよ」
自慢の主なのだと言わんばかりに、藤堂が胸を張る。
「でも、願い事はそれじゃなくてもいいんですよね」
「おや? ダンタリオン様への願い事が思いつきましたか? お聞きになりましたか、ダンタリオン様。これで魔界へ帰れますぞ」
ぴょんぴょんと跳んで藤堂が喜ぶが、ダンタリオンは何故か歯切れが悪い。
「いや、別に私は急いでないが?」
「えっ、ダンタリオン様、まさかここの暮らしがお気に召したのですか?」
「そんなわけがあるか! こんな粗末なところで寝起きしているのだぞ。まあ、調度品が揃ってきて、少しはマシになったが」
「はいはい。大変ご不便をおかけしました。それももう終わり。すぐにでも魔界へ帰りましょう」
「いや、でも、まあ、なんと言いうか、美のなんたるかを無知な子供に教えるのが、私はどうも上手いようでな……。それに人間どもに『先生、先生』と呼ばれるのも、悪い気分ではないというか……。」
ダンタリオンは明後日の方向を見て、なにやら言い訳じみたことをもごもごと呟いている。
でも、天音の心は決まっていた。
「私、もう願いが決まりました」
天音が宣言すると、悪魔とそのしもべはゴクリとつばを飲み込んだ。
「あの……、もう帰ってほしいんです。帰ってください。最初のときと違って、今回はよく考えて決めたんです。これが本心なんです」
「あぁぁ?」
「は?」
一瞬、部屋がシーンとなった。
が、次の瞬間――
「あーーーー」
ダンタリオンが立ちあがって、叫びだした。角がにょきにょきと伸びていく。
「こんな小娘にバカにされるとは!」
しっぽが、ぺっちんぺっちん左右に揺れる。
「だって、『ケーキ食べたい』もダメだって言うし」
「当たり前だ! このように侮辱されて、おめおめと魔界へ帰れるか! こんなの無効だ、無効、無効!」
「えっ、そんな……」
天音の目の前で、つむじ風が巻き起こった。それがダンタリオンを包みこみ、そのまま旧校舎から飛びでて行ってしまった。
木の校舎はガタガタミシミシ激しく揺れたが、窓ガラス一枚割れなかった。ただティーカップを床に転がしただけだった。
「はあ~、あまりダンタリオン様を怒らせないでいただきたいものですな」
カップを片づけながら、藤堂がため息をつく。
「もう少しマシな願いを考えていただかないと」
「そんなこと言ったって……」
反論しようと口を開いた天音だったが、窓の外がやけに騒がしいのが気になった。サッカーの試合中のうるささとは、また違った種類のものに聞こえる。
まさかダンタリオンが腹立ちまぎれに何かしたのではないか。
天音はまだぐちぐちと小言を言っている藤堂を置いて、校庭へと飛びだした。
手前のゴールエリアで、選手が一人倒れている。
「えっ、まさか!」
ダンタリオンがやったのかと天音は肝を冷やしたが、どうやらただの接触プレイだったらしい。足首の辺りを押さえて呻いている選手に、手を差し伸べているのが転ばせた側なのだろう。
しかし普通とは違う、なにやら不穏な空気が漂っている。
転がされた側が伸ばされた手を払いのけ、鬼の形相で怒鳴り始めたのだ。
「おまえ、わざとだろ! いつもいつも……、ムカつくんだよ!」
寝たままの体勢から蹴りが飛んだ。
それがちょうどみぞおちにヒットし、相手選手がくの字の体勢で崩れ落ちる。
それを見て、チームメイトがつっかっていく。
「おい、何やってんだよ!」
それを止めようとした選手ともみ合いが始まり、両軍入り乱れての大混乱に発展してしまう。
ピッ、ピッ、ピッ、ピッ!
つんざくような笛の音でも止めることができないのでは、もう試合どころではない。
「誰か、顧問を呼んで来い!」
叫んだのはキャプテンだ。彼は天を仰いでいた。
「どうなってんだよ。元は全員、同じチームだろ……」
キャプテンの言う通り、これはただの紅白戦だ。チームメイト同士でケンカしているのだ。
キャプテンの嘆きをよそに、野次馬が集まり出し、騒ぎはどんどん大きくなっていく。
そのどさくさの中で、誰かが叫んだ。
「いいぞ、もっとやれ!」
天音はぎょっとして辺りを見まわしたが、声の主はわからなかった。
「何、これ……」
天音は呆然と立ちつくし、しばらくその場から動けなかった。