写真
「すみません。本当にごめんなさい。超反省しております。だから、僕を呪わないでください」
テレビの前で僕は、正座をしながら仁王立ちしている貞子らしき人物にペコペコ謝り続けている。
「いや、呪わないし殺さないけどさ。初対面の人に対して、ボコボコ殴るのはどうかと思うよ。…ん?あの写真に入っている人、誰?」
僕は先程恐怖心により、倒れている彼女を叩いたり殴ったりしていたのだが、彼女は突然立ち上がりジロッと睨みこう放った。
『いい加減、殴るのをやめないと、呪っちゃうよ?ほんと、やめてくんない?』
僕はもちろん、呪われたくないのですぐに手を止めた。そして、今にいたる。
はは。なんで、朝早くから美少女の貞子に説教されなきゃいけないんだよ。
「ねぇ、聞いてる?あれ、誰?」
貞子は、そう言いながら僕の後ろにある写真立てに入っている写真を見つめ続けた。さすがに正座に少しだけ慣れている僕も、床に30分以上はキツくて足がピリピリしてきた。そのためすぐに立ち上がれなかったので、座ったままくるっと回転した。
「あぁ、その写真は僕の家族だよ。左から、おばあちゃん、おじいちゃん、お母さん、お父さん。背景は、この家の玄関だよ。昔はみんな、この家に住んでたんだ」
へーと、感嘆の声を発して写真を手に取った。僕はよいしょと立ち上がり、彼女に背を向け台所に向け、痺れた足でゆっくり歩いた。すると、後ろからばかに大きな声が聞こえた。
「あーー!こんな事って、あるのかしら!」
いや、ないと思います。
「この、おじいさんって貴方のおじいちゃん?」
「うん。そうだけど?」
冷蔵庫から、昨日作った朝ごはんを出す。
「そうか。だから私は、こんな変な所にワープしたのか!」
と、意味深な事を口走った彼女は一人でウンウンと頷いていた。人の家を変なところと言わないでほしいなぁ。気にせず朝ごはんの準備を続けようとしたら、いつの間にか後ろにいた彼女はこんな事を言い始めた。
「今すぐに、テーブルにつけ」
「は?嫌だよ。今から、朝ごはんの」
「つべこべ言わずにさっさと行け。行かなかったら…」
きっと、呪うとかだろう。
「呪ってやる」
はい、理不尽でーす。