思い出ー電気神
「……ああ、あの子が泣いている…。なあ、電気神と光神。どうか、あの子のそばに居てくれないか?」
「無理かな。だって、今、俺、4の字固めになってるから」
光神は、自信満々に言う。
「我の神器を持って行ったのはお前だろ?さっさと返せ」
「分かった。分かったから、離してくれないかー?」
電気神は彼を離し、光神は何やら和服の袖口から、金色の短剣を出した。
「ほーい。お目当ての物はこちらかな?」
「お前、これも盗んだのか?」
「え。違ったー?」
「違うわ」
「じゃあ、こっち?」
さっきの袖口とは反対から、黄緑色の扇子を取り出した。
「違う。…。お前、何個盗んだんだ?」
「7個ぐらい?」
言い終わるか否か、電気神は彼が二番目に得意な暗黒を光神の足元に作ると、彼はその暗黒の中に消えて行った。
「せいぜい、そこの中で反省してるんだな」
「………。電気神、悠芽の所に行ってくれんか?」
「行くのは良いが、時間が必要だ」
「もちろんだ。何日いる?」
「五年だな」
「え、それだと悠芽は中学三年になってしまう…」
「審査とか、色々あるし。公務の事を色々と…」
「そうか。なら仕方がないな……。頼む」
「悠芽…か。次郎の孫か。たしか、彼が幼稚園児の頃にも、一度見たかな。確かあれは、ついうっかり我が天から落ちた時だな。その時に、羽が折れ次郎に助けられたんだったな。あの男だけ…、いや、次郎の妻も見えてたな。不思議な夫婦だ…」
電気神は、そう呟き下界に行ったのだった。