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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

知らないよ(仮)

作者: ちっちきちー


ーーーおかえりなさい


河川敷でいつも小さな少女が何かを必死に探していた。気になった俺は


「…ここでいつもなに探してるんだ?」

「…おにんぎょう」

「人形?どんなのだ?探すの手伝うよ」

「ありがとう!あかいおようふくきたおにんぎょうさんなの」

「赤い服、ね。…」と探し始めた少年の背後で

「あか…は……のいろ」

「!うわあ!びっくりさせるなよ!」

「ちょうだい?」

とみるみる3、4才程だった女の子は形を変え、巨大化していった。

ぶくぶくと醜く膨らんだ物体だった。

「っっっ!!!!な…」

言葉を紡ぐ途中で頭からかじられ、辺りは血の海とかした。

〝………たすけて……〝

ーーー

「…ていう夢をみたんだよ」

「「「こわ!」」」

「妙にリアルなんだよなー」

と友達と話していると、まさに美少女という言葉がぴったりな黒髪の女の子が

「…それ、気をつけた方がいいよ。はい」となにやら色々書き込んであるお札を渡された。

「?あ、え?」

「即席だからどこまで効くかわからないけど。もし効かなかったら連絡ちょうだい」とケータイの番号を置かれて教室を颯爽と出て行った。それをみていた友人は

「おい!よくわかんねーけどこれって告白か?!」

「あんな可愛い子に!」

「羨ましいー!」

「え、ん?…ああっモテてこまるぜ」

「むかつくー!」

ーーー

その日の夜、なんとなくそのお札を枕の下に置いて眠ると…

同じ夢なのだが…

「ぐ…ぐあああああ!おのれぇええええ!!!」とぶくぶくの化け物は光の粒となり、消える直前〝…ありがとう〝と可愛いらしい少女が涙を目尻にためて

真新しい白い服を着た人形をぎゅっと抱きしめて笑顔で消えていった。

その場には血で赤く染まった人形だけがあった。それを抱き上げると…

「…その子はここで殺され川に流された。いつも一人で遊んでいた。だから狙われた。人形の赤はその時のあの子のもの…どうか、お花を添えてあげて」

頭に直接響く悲しげな声。

ーーー

そして目覚めると

自然と涙が溢れた。

「ああ…だからか。」

水で亡くなったからぶくぶくと膨らみ醜くなっていたのか。あんなに人懐っこくて可愛い笑顔をする子なのに。

犯人は捕まっているのかな…

そいつはきっと報いを受けるはずだ。

「…調べてみるか」

学校を休み、パソコンに向かう。

しばらく調べていると…

「…!あった!!っ!さっ30年前…?!」

30年前…木元 ゆきちゃんが母親の帰りをいつも川沿いで待っていた。それに狙いをつけていた犯人はゆきちゃんの首元をナイフでかききり、川へ流して逃走。ゆきちゃんの持っていた人形がなくなり、以降犯人の消息が掴めず迷宮入。

「…そうだったのか。」体の奥底から込み上げる怒りにどうしたらいいのかわからないでいると…

コト…

夢の中で拾ったはずの人形が落ちていた。

「!!…なんで、ここに。……そうだ」

ーーーーー

ネットで調べた住所へ行くと…

「!あった。…」

木元 ゆきちゃんの家。

ピーンポーン

〝はい〝

年配の女性が出た。

「初めまして。俺…えっと私○×高校の真田 蓮といいます。いきなりで申し訳ないのですが…ゆきちゃ、娘さんのことで少しお話しをさせて頂けないでしょうか?」

駄目元でいうと…

〝…ゆきがどうか?…いたずらならやめてください。もう…忘れたいんです〝

泣きそうに声を震わせていう女性。

「…お願いします。お渡ししたいものがあるんです!白い服の人形を」

〝!…どうしてそれを?〝

ーーー

家に上げてもらえることになり、仏間へ…

その写真にはゆきちゃんが笑顔で写っていた。

「改めて…初めまして。あの…これを…」と袋に入れた血まみれの人形を出そうと人形を包むタオルをとると…

真っ白の綺麗な服に身を包んだ人形があった。

「!!あ、れ?」と出すと、人形が動き出しぎこちない動きで母親の元へと歩く…

途端ゆきちゃんの姿が重なり

「(おかあさん!おかえりなさいっ)」

そう言って笑顔で母親に抱きつき人形へと戻った。

「っ!!あっああ…あああああ!!!」

人形をぎゅっと抱きしめて泣き崩れるゆきちゃんのお母さん。

ーーー

あとからゆきちゃんのお母さんに聞いた話しで

いつも仕事の帰り道で通る川沿いで待っては


「お母さん!おかえりなさいっ」


そう言って抱きついたそうだ。

ゆきちゃんはお母さんに〝おかえり〝を言いたくてあそこに縛られていたのかな。30年越しだけど…会えてよかったな


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