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優しき修羅の行く道は  作者: 日明
8/11

愛は狂気を誘い出す

「あんたのせいで!!私の弟は死んだのよ!!」


それは以前感じた絶望に似た感覚だった。姉はマリアの胸倉をつかみ上げ、何度もマリアを殴りながら怒鳴った。


「あんたがいなくなってあいつは真っ先に私達を責めた!彼女に何をしたって!!その後はひたすらあんたを探し回った。三年!毎日ずっと!!そして・・・アイツはあんたと過ごした家に帰った。あんたが待ってんじゃないかって!!けど・・・あんたはいなかった!!!」


殴られる痛みなど何でもなかった。


「アイツは絶望した!!あんたがいない世界に!!あんたに置いてかれた自分に!!!絶望して・・・どうしたと思う?」


首に手がかけられゆっくりと締められる。


「玄関で首を吊って死んでたわよ!!!」


苦しくなるのと同時に、顔に当たる温かい雫に気付いた。


「あんたが入ってきてすぐに分かるようにしたかったんでしょうね!!!置いてあった遺書にはあたし達のことなんて何も書いてなかった!!ただ一言・・・っ」



『おかえり』




「そう書いてあったのよ!!!」


怒鳴りながら泣く姉の顔が次第に見えなくなった。ぼやけて、滲んで、溢れて・・・止まらなくなった。


やがて、姉の手は解け、大きな鳴き声が響いた。


あの時、自分がちゃんと説明をして、別れていれば良かったのだろうか?


いや、彼は諦めてくれなかっただろう。


では、訳を話してもずっと傍にいれば良かったのだろうか?


いや、きっと自分が苦しみ続けただろう。幸せを掴める彼の人生を狂わせて。



けど・・・


今よりはきっといい結末だったに違いない。


ここまで悲しい結末には、ならなかったはずだ。

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