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第27話 愚者の探検

短編を一つ書きました、それはまた別の話、をSSにしていますよければ見て下さい。物語の進行上問題の無い部分ですので読まなくても問題はありません。

「お兄様、湿っていて気持ち悪いです」

「普通の洞窟では無いからね、仕方が無いよ」


 何故かリック達は現在地下迷宮(ダンジョン)にいた。

 その原因は彼らが街に到着した時まで遡る。



 ◆◇◆          ◆◇◆          ◆◇◆




 城砦都市グルスフォルトの街へ到着したリック達が冒険者組合(ギルド)へ赴いていた。

 街への到着報告と討伐分の金銭受け取り等の為に訪れただけなので、用事が済んだら掲示板だけ確認して宿へと戻る心算だったのである。


 しかし本来手出し無用に近い扱いを受けるリック達にギルド担当者が泣き付いて頼みごとをしたのである。

 勿論リック達は自分たちが特別扱いされている等と知らない事を組合(ギルド)長が上手く利用したとも言える。恐らく仕事を頼んだ事で何らかのペナルティが後日発生はする覚悟の上で泣きついたのだ。


「貴族の一団が帰ってこないらしい」


 リックは全員に簡単な説明を始める。宿屋に戻ったリックは冒険者組合(ギルド)長からの話を説明した。

 貴族の子息が冒険者と共に地下迷宮(ダンジョン)攻略に入ってしまったらしいのである。

 地下迷宮(ダンジョン)といっても規模や内部の魔物によってレベルが設定されていて、今回の対象となっているのはEランクの低レベル地下迷宮(ダンジョン)である。


 最上位の魔物で小猿鬼(ゴブリン)もしくは魔犬(ウィトッグ)クラスが居るぐらいだとされている。

 普通に優秀な冒険者ならば攻略も難しくない。なにより街の近くにある地下迷宮(ダンジョン)であるのだからリック達が引き受けるまでも無いぐらいの規模である。


 しかし捜索対象が貴族というのが問題だったらしい、他国の貴族が他所の土地で死亡するのは要らぬ諍いの原因ともなりかねない。ごり押しで高レベルランクの冒険者を即座に派遣しろと怒鳴り込んだのは貴族付きの従者らしい。はなはだ迷惑な話であるが放っておけばどこかの国が争いを起こしかねないのである。


「ではお兄様、その馬鹿貴族の坊ちゃんが問題ですか」

「そうらしい、冒険者に憧れでもあったみたいだね」

「ご主人様と同じ貴族でも大きな違いです」

「僕にはまだ貴族の地位の友人は居ないけど、

 困った人もいるのは事実のようだね」

「ブラウン家の方々が珍しいのだと思いますよ。

 私たちは立場上よく貴族の子弟の方とお会いしてましたが…」

「酷い人が大半でしたね、権力争いしか頭に無い人か、

 若しくは貴族とは名ばかりになっている人間かですから。

 まあ私たちも騎士の家出身ですからなんとも言えませんけど」

「まあ、断って何処かで戦争が起きるだなんて寝覚めも悪いし。

 それにEランクの地下迷宮(ダンジョン)だ、

 仮に未発見な区画があったとしていてもDランクだろう。

 まあ念のため十二分の装備は必要だけどね」



 通常の地下迷宮(ダンジョン)は一度形成されると難易度は変わらない。元は魔蟻(ウィザンツ)という巨蟻(アンツ)の巣自体に魔素変異が発生する事が原因とされていて、魔蟻(ウィザンツ)魔兵蟻ウィゾルアンツが拡張した所に小猿鬼(ゴブリン)などが攻め入ったり、他の魔物が襲撃をかけて奪うのである。元の大きさ、そして魔素濃度などで地下迷宮(ダンジョン)の規模は決定される。巨大な物になれば数種の魔物が出現する事もあるとされている。


 今回はその難易度に変化が起こっていようなどと誰も考えて居なかった。



 ◆◇◆          ◆◇◆          ◆◇◆



「父上、母上、先立つ僕をお許し下さい」


 悲壮な声でそう嘆いたのは洞窟の奥で囚われているカルロスであった。なぜこんな事に…それは自分の招いた事態なのだが、この少年は自らの行いを反省するという能力に欠けていた。冒険者組合(ギルド)で少年が気まぐれに地下迷宮(ダンジョン)攻略などと言い出さなければこの様な事にはなっていないのである。

 10歳の少年に言っても仕方が無い事ではあるし、しもの常態はすでに大小垂れ流し常態でこれ以上責めるのは酷とも言えよう。

 だが、調子にのって兵を全員引き連れ、小猿鬼(ゴブリン)との戦闘に勝った勢いで洞窟の奥へと進み、そこで大魔猿鬼(ウォグル)に遭遇した所で逃げ出さずに無理な損害を出しながら暴れまわる大魔猿鬼(ウォグル)を討伐する指示を出したのもカルロスである。

 そして部下の命を考える指揮官が護衛に付いていなかった事も不幸だった。諌言して諌める事が出来る人物か勝手にでも退却する判断を押し通す人物であったならばと、もしもは存在しない今となっては後の祭りであった。

 大魔猿鬼(ウォグル)を討伐しようとした時に暴れまわった大魔猿鬼(ウォグル)の一撃が岩肌に突き刺さった時、その地下迷宮(ダンジョン)の真の部分が顕現したのである。


 事前に情報さえ収集していれば、その空洞が開いた時点で退避していただろう。だが岩に押しつぶされた大魔猿鬼(ウォグル)に気をよくして前進したカルロスはよりにもよって馬鹿だったのである。


 故に現在この巣で囚われの身である。既に何人かの兵士が悲惨な末路を辿っていた。これなら大魔猿鬼(ウォグル)の戦闘で叩き潰された方がマシだったとその場の全員が思った。

 生きたまま徐々に食べられていくのだ。そして手足を食べ終わると不思議な事に食われていた者は死なず血も流していないのである。そしてそのまま何処か別の場所へと運ばれて行くのである。


 そして絶叫が響くのだ。突然、殺してくれと叫ぶ声が聞こえるのである。


 それはCランク級の迷宮などに認定された地下迷宮(ダンジョン)の怪物であった。元は一つだった巨大な巣穴だったのである、元の巣穴は出口が3箇所存在し、侵入者の存在に対して魔蟻(ウィザンツ)達が岩を崩し特殊な体液でコーティングしていたのである。数箇所の封鎖によって現在も魔蟻(ウィザンツ)の巣は存在しているのだが、放棄していた巣の部分がEランク地下迷宮(ダンジョン)とCランク地下迷宮(ダンジョン)になっていたのである。

 その壁を大魔猿鬼(ウォグル)がぶち破ったのが今回の不幸だった。


 そしてカルロス達は魔地蜘蛛ウィベチュラのトラップに掛かったのである。

 部屋に踏み込んだその瞬間に天井からおちてきた地蜘蛛チュラの大群に驚いて走り出したカルロスが巣に引っかかったのである。助けるために戦いを強いられた兵は引く事も出来ないままに次々に死亡もしくは麻痺毒で倒れていったのだ。




 ◆◇◆          ◆◇◆          ◆◇◆



 リック達が地下迷宮(ダンジョン)の入り口まで来た時に一足先にと内部へ突入して斥候の役を買って出てくれたのはアヴローラとルナである、闇を移動するならルナがそして単純に移動速度の速いアヴローラである。2人は常に一緒にいる、まるで姉妹のような仲の良さである。


 そして2人が急いで戻ってきて猶予の無い事態になっている事を伝えたのであった。

 急ぎ内部へと突入し、冒頭へと繋がる訳であった。


「お兄様、湿っていて気持ち悪いです」

「普通の洞窟では無いからね、仕方が無いよ」


 実際に湿気も多いが、それは臭気も入り混じっていた。殺されたり傷ついた兵達や倒した魔獣などが流した血によるものだ。


「それにしても、妙だな。

 Eランク地下迷宮(ダンジョン)魔地蜘蛛ウィベチュラに捕まってる人間か…」

「ご主人様変なのですか」

「ああ、魔地蜘蛛ウィベチュラがいるならCランク認定だ…」


 精霊に周囲を見てもらって居ながらも警戒しながら早足で内部を進んでいきながらリックは答えた。


「リック様、Cランク地下迷宮(ダンジョン)というと、

 他にも不味いのが居る可能性が…」

「うん、厄介なのも存在するよ、

 だから救出したら即座に撤退して組合(ギルド)には報告をしよう」


 Cランク地下迷宮(ダンジョン)はかなり危険な地下迷宮(ダンジョン)で、魔物の可能性も出てくるのだ。普通の冒険者ならここで撤退の判断である。


 だが、リック達はそのまま崩れた壁の内部へと足を踏み入れたのであった。

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