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第15話 悪戯VS悪党

「今回は僕の女神でもある母上を紹介です」

「め、女神ですか」

「生きる希望をくれた人だからね

諸事情があってちょっと前の資料なんだ」

ニーナ・ブラウン

種族 :人間

性別 :女性

年齢 :20

婚姻 :既婚

二つ名:魔導姫

所属 :元王宮魔導師団 長 クルネヴィア第一王女

戦闘 :近接C

魔法 :Bランク 攻撃B防御B-補助B-

外見 :シルバーブロンド ブルーアイ

外見の特徴であるシルバーブロンドは王族の特徴でも際立って魔力の高い素養のある物に見られる

負けず嫌い ルークには一目ぼれしたのだが未だに訓練を共に続けている。

息子の事も大好きなのだが、留学するという息子の才能を伸ばす機会でもある事で反対も出来ない為に渋々了承した。165cm90E:57:80

「素敵な母上なんだ」

「す、スタイルが凄いです、私が成長しても敵わないです」

「私きっとなる」

「そこまで気にしないけどなあ」

「……」

「というわけで引き受けてきた」

「お兄様なら当然引き受けられる内容ですね」

「御主人様は強い私も頑張るのです」


 部屋に戻って説明をしたら驚きもされなかった。日頃の行いの賜物といってもいいのか怪しい反応である。ある種の諦めでもありそうだ。


「きちんとフィーナの使える魔術が何か知っておきたい」

「私のマホウマジュツと少し違うのです」

「もしかして精霊魔術かい」

「それです」

「そう言えば音楽で精霊が喜んでいるって言ってたのに、

 そっちに気が取られて気付かなかった…

 でもそれなら大狼(ベウル)に立ち向かっていたのも理解できる」

「言葉と一緒に魔術も教えるよていです」

「そうか、じゃあとりあえず精霊魔術で何ができるのかな、

 それを知っておいてから作戦を決めよう、

 後方なのは間違いないとしてもね」

「精霊念じると動いてくれる、攻撃苦手、防御得意です」

「うーん精霊魔術はまだ理解が進んでないからなあ、

 でも攻撃より防御が得意ってことは後衛にぴったりだね。

 これでフィーナに馬車の守りは任せられそうだね」

「頑張ります」

「それじゃあエリーはそこから援護射撃だね。

 敵はおよそ20人と聞いてるから、

 固まっていれば吹き飛ばせるけど、

 もしバラバラだったら水系統の魔術で、

 敵の足元を中心に攻撃をして欲しい」

「判りましたわお兄様、お任せ下さい。

 意図に気付かれない用にばら撒きます」



 打ち合わせを終えてからリックは風呂に入って汗を流した。

 魔術を使えるリックだから出来る贅沢でもある。こちらでは風呂の観念はあっても湯を沸かす行為は薪を消費するので贅沢なのである。そのうちに必ずや風呂用の魔術開発を誓うリックなのであった。



 ◆◇◆          ◆◇◆          ◆◇◆



 もう少しで太陽も真上に昇ろうかとする頃合、街道を進みながらギリギリの地点で馬車が停止した。修理の為に車輪に一人の男性がついている。そして気まぐれに歩いては引き返す子供達、修理が退屈で遊んでいるようである。御者も降りて子供達を追い回していた。


 若干の予定の変更でしかない、しかも修理しているならば襲うには最適なカモである。


 野盗達は鳥の鳴きまねで合図を送りあって襲撃を早める事にした。

 道は狭いし逃げる為に馬車を反転するにも時間が掛かる。


「ギャッハッハッハ!」

「ヒャッハー!」

「男は奴隷だ!」

「女は高く売れるからな、傷つけるなよ!」

「殺せないのは残念だぜ」

「抵抗されれば殺していいよな」

「馬鹿野郎共が、沢山稼いだからな、

 この仕事でずらかるんだ、

 必ず生け捕りにしろ!」

「「「オオオ!」」」


 雪崩打って野盗は馬車へと駆け寄って行った。



 ◆◇◆          ◆◇◆          ◆◇◆



 朝早くに準備をすませたリック達は町を出発した。門番には街道で野盗がでるから止めておけと引き止められたが討伐依頼書を見せて納得させた。


 精霊の受けがいいと聞いたので早速ギターを弾き始める。


「御主人様、精霊さん挨拶したいらしい」

「え?」

(聞こえますか、風の精霊です)

「聞こえるのだけど、これってどうすれば」

(心で会話します、そうですね思考と言ってもいいかもしれません)

「わかったちょっと練習してみよう」


 演奏を一旦中断したリックはうーん、と唸りながら試行錯誤していく。

 考え、さっきから考えってのは考えてるけど…これで話せてないんだよね、

『うーん』

(あ、いま唸りましたね)

「今の感じか」

(これか、アーとかウーとか唸ってたときの感覚か)

(はい大丈夫ですね、きちんと話せてます。

 神族デウストライブの血の濃さなのか話せるだろうと思いましたが。

 どうやらそれだけでは無いようですね)

(そうみたいだね、ところで直接話すのは何かあるのかな)

(一応この子の事は生まれた時より見守ってきましたので、

 まずはお礼を述べたいと思いました、

 そして精霊契約について興味がありそうでしたから、

 素晴らしい曲のお礼に契約など如何かと)

(曲のお礼で契約なんてしていいの)

(私たちにとってこの曲はまさに天上の心地です。

 其れだけの価値があるのですよ)

(素敵な申し出すぎて嬉しくなってきた)

(では契約の契りなのですが、

 本来なら風に魔力を送っていただくのですけども…

 その、宜しければ楽器を奏でて頂けませんか、

 あの吹いていた物は特に素晴らしい魔力を与えてもらえました)

(お安い御用です)

(今後、通常に呼び出す必要があるときは、

 魔力を込めて名前を授けて下さい、

 そして呼んで頂ければ問題ないので)


 折角だからとメロディーをつけてサックスモドキを吹き鳴らして契約を行った。


(これから宜しくねウィニア

 ところで僕が召還してフィーナの方は問題はないのかな)

(精霊は一にして全の存在と言えばお分かりになりますか)

(なるほど、じゃあ問題がないね)

(はい、こちらこそ宜しくおねがいします)

(じゃあウィニアに偵察を頼んでも、

 ウィニアは音楽を聴けるんだね)

(はい問題ありません、では行って参りますね)


 ニコリと微笑むとウィニアは姿を消して偵察に向かってくれた。

 お礼とばかりに演奏を再開するまえにエリーゼには今の出来事を伝えておいた。


「すごいですわお兄様、人で精霊と契約できるなんて」

「あれそんな話あったっけ」

「何を言ってるんですか大変珍しいことです。

 前例が無いわけではないですが、

 普通は精霊と念話する事が出来ないそうですよ」

「そう言われて見れば、そうなのかも知れないな」

「流石に規格外の出来事でしたのに、動じなさが素敵です」

「あまり褒められてる気がしない、勉強不足だったなあ。

 過去に契約した人がいるって事しか頭に無かったよ」

「それで自分も出来ると思われてましたでしょ。

 お兄様ならきっとそれぐらい気軽に考えてらした筈」

「さすが兄妹だね、びっくりするぐらい正確な解答だ」

「ご主人様音楽そろそろ再開しましょう」

「そうだった、よしじゃあ昨日みたいなマーチングでいこう」


 バグパイプじゃないのが残念だったが行進曲から始まった。

 ラデツキー行進曲もタンバリンで盛り上がった。

 とてもこれから野盗を退治に行く雰囲気では無さそうに見えるのだが、弓も刀も用意され、しかも斥候として精霊が出ているのである。通常なら奇襲から対応するのに反対に待ち受ける事ができるのだから心にも余裕をもって対処できるのだ。


 街道を進む事2時間程、ウィニアが盗賊の待ち伏せポイントを教えてくれた。旅人に扮した斥候がリック達の馬車を見つけるなり引き返し、一味の場所へと辿り着いたのである。



 ◆◇◆          ◆◇◆          ◆◇◆



「馬鹿野郎共が、沢山稼いだからな、

 この仕事でずらかるんだ、

 必ず生け捕りにしろ!」

「「「オオオ!」」」

「キャアア!」


 雄叫びを上げながら突入していく仲間達を眺めて野盗の頭は次の移動場所について考えていた。


「「「ギャアアアアアアア!」」」

「チッ殺すなって行った事を忘れやがっ…」


 目の前に広がるのは痺れて泡を吹いた手下の群れだった。


「なんじゃあこりゃあ!」


 襲い掛かった野盗が一瞬の内に全滅しているのだ。

 残るは自分のみという圧倒的に不利な状況であるのだが獲物の護衛役は後方を注意しているだけで此方に向いているのは子供だけである。


 良くわからなかったがこれなら逃げる事ができる。

 手下なんて者はあとで幾らでもなんとか出来るのである。


 迷わず逃走を選んだのは正しい判断であった。伊達に20人の野盗を引き連れている訳ではないのだ。

 ただそれが罠であると気がつける程冷静な判断であったかまでは不明である。それ程にこの罠は悪質だったと言えるだろう。


 一人後方から来る野盗のみを残す事を意図してリックは攻撃を放ったのである。勿論遊ぶ振りまでして水を撒き準備していたのである。



 強奪品を隠してある洞穴まで走り抜けた野盗の頭は、見張りに立っていた連中に荷物を移動する事を指示して一息ついた。荷物は既に荷馬車に用意されてあったので安心して逃げ出せるのである。


「ご苦労様」


 それが意識を失う直前に聞いた声だった。

ちょっと前後する場面転換も入り混じりましたが如何でしたでしょうか。

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