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第12話 当たり前だけど大切な事

「今回は冒険者について説明してみて」

「冒険者はギルドに登録している人たちの事です

 討伐ランク、狩猟ランク、採取ランク、護衛ランク、がありますね。

 ランクは銅 鋼 銀 金と区別されて、

 10毎にランクが上がってランク外に白金の位が存在しているそうです」

「さすがエリー偉い」

「12話を投稿している時点でプックマークが7人…ど、努力だよ!」

「気にしたらそこで試合終了だそうですよ」

エスタット王国はクルネヴィア王国とも友好関係にある国で、祖母であるマリー王妃の生まれ故郷でもある。

リックの活躍によってクルネヴィア王国が文明レベルをあげているだけでこの世界では至って普通の文化レベルの国だ。


国境の兵士に通行許可証代わりとなる王国発行の身分証を提示してリック達は町へと入っていった。


まず荷馬車の荷物を売りさばき、さらに荷車も処分してフィーナの給与分と奴隷刻印の解除費用、それと報酬分をそこから抜き取って後は商人達に手渡した。


「契約魔術の条件はわかってるね。

魂の消滅ではないけど契約を故意に違えたりすると、

二度と商売が出来なくなるよ」

「大丈夫です、しかし宜しいのですか、このお金は…」

「ああ、フィーナの給与は一緒に居た年数から引いたしね。

刻印の解除費用と護衛報酬はもらってある。

亡くなった遺族への見舞金に宛ててくれればいいよ」

「判りました、必ず見舞い金を渡します」

「失礼ですが、やはり貴方があのリック様ですか」

「うーんあのリックと言われてもね」

「クルネヴィアの救国の英雄と呼ばれておりますよ」

「そんな大した事はしてないから広めないようにね」

「判りました、しかしリック様に護衛をして頂いたともなれば、

本来はそのような額では済みません、

これとは別に我等からの気持ちとして此方をお納め下さい」

「いや、それなら少しでも見舞金を増やせばいいよ」


そう告げたリックは奴隷刻印を外す為に庁舎へと向かって歩き、商人達と別れたのであった。



◆◇◆          ◆◇◆          ◆◇◆



庁舎で費用を払うと簡単に奴隷刻印は消された。それと同時に雇用契約をフィーナとの間に結びカード式の身分証をつくってフィーナの首からぶら下げれるようにリボンを通して渡した。


ハーフ光輝人(アルーヴ)である事で仮に狙われる事があっても雇用契約の関係を結んでいればその危険性は格段に下がるのである。


こうしてフィーナは正式にリックの侍女として仕えることとなった。

宿を取って、馬車を止めてからフィーナを風呂に放り込んでエリーゼに世話をさせてから街中へ行って服でも見繕う予定だったのだが、風呂を出てきたフィーナの容姿に思わず驚いたのは仕方が無い事だろう。


それまでのフィーナは汚れた衣服はそのままだとしても髪もボサボサで肌もくすんでいたのだがしっかりと汚れを落とした彼女は光輝人(アルーヴ)の美しさを幼少の体に凝縮したような美しさをもっていたのである。これは反則級の美人になるだろうなと人事のように考えたのはリックのリックたるところであろう。


流石に二人で街中を歩かせる訳にもいかないので洋服店までは送り届けて、お金と共に放り込みそれなりの衣装と防具を揃えるように指示して、リックはレビンと共に冒険者組合(ギルド)まで顔を出した。


「すまないが、これの討伐料金と皮の引き取りをお願いしたい」


カウンターの女性が驚いたのも仕方が無い、カウンターから頭がでるか出ないかの少年が持ち込んだのが魔狼(ウィウル)大狼(ベウル)の皮と牙なのだ。


最初リックが入ってきたのを見た冒険者達は、身形のいい服をきてるが駆け出しの貴族冒険者だと判断していたのである。一般人でも5歳ぐらいの子供が雑務や近所の薬草採取などで冒険者登録をすることは普通の事だ。

それに貴族の子息で家を継げない者が冒険者になる事も珍しくない。どうせ其の手のお使い任務でも引き受けるために来たと思ってた子供が出したのが大物の討伐証と皮なのだ。


リックは4歳の時分には既に冒険者登録をして活躍していたのである。

カードの種類も既に鋼クラスの5である。実力からすれば銀クラス、いや金クラスでもおかしく無い程なのだ。銅クラスなど片手間で退治していた時期に過ぎ去ってしまっていた。


「は、はい、少々お待ち下さい。支払いはエルンで…

魔狼(ウィウル)ですので、

討伐代5000、皮2500、牙も買取で4900です。

大狼(ベウル)が一匹につき…

討伐代1000、皮1200、牙が900ですね。

こちらが17匹ですから合計で65100エルンですね」

「あと済まないがこの魔石も鑑定を頼もうか」

「えっと、えっ! 

こんなに大きな魔石…そうですね今調べます。

傷無しですので基準価格が100000で問題ないかと…

さらに赤で4倍で400000エルンでお引取りできます」

「じゃあそれでお願いします」


今回の討伐費用については街道の討伐であるから、二国の協定によって支払われる。これはエスタットとクルネヴィアの関係が良好なので問題がない。

冒険者組合(ギルド)が存在する国は各国に支店をもっているため調整の役割も果たしているのだ。

通常の討伐代としても各国に対して規定の金額を請求できるように取り計らい冒険者の権利を守っているのである。


この取り決めを守れない国には冒険者組織が無くなってしまうので、国としても獣、魔獣、魔物対策としての費用はしっかりと計上されるのが通常である。


しかしながら皮や魔石まで持ち込んだために騒がしくしてしまった。5歳児が魔狼(ウィウル)の皮と魔石を買い取ってくれと堂々と交渉したのだから当然なのだが、バンクス領では周りが慣れていて其の辺りを失念していたと今更ながらに思い出した。


魔石と皮の代金の一部を受け取ると騒がしてすまないと一言だけ告げてフィーナとエリーゼのいる洋服店へと向かったリックである、飽くまで態度を変えない堂々としたところは彼らしいが空気が読めない点についても同様であろう。


ホールでは先程の少年は何者なのかと議論が繰り広げられる事になっていた。



◆◇◆          ◆◇◆          ◆◇◆



洋服店で買い物をしているフィーナとエリーゼは未だに物色中であった、但し主にエリーゼがである。

女性の買い物は始まったら終らないのだが5歳にしてその片鱗を見せているエリーゼの将来が心配だとリックは頭を掻きながら店内へと入っていった。


それなりの衣装(普段着)と防具を買うように言ったのに何故かドレスを着飾っている。さらに頭を抱え込みたい衝動に駆られながらもリックは丁寧に説明をした。


「一着は確かに必要だろう、うん。

 だがこれからの旅路で必要なのは暑さに適した服装であって、

 ドレスばかりじゃないと思うんだ」

「あ…」

「私シャツで着る、御主人様選ぶ」

「まあ、折角だから2着とエリーゼも何か買うといいよ。

選び終わったら旅用の靴と防具も見に行くよ」


店員からしてみれば5歳の客にしては随分高価そうな物を選ぶので万が一にも持ち逃げされないようにと付き纏っていたのだが、現れたリックが戦闘用の普段着とはいえど一目見て特注品だとわかるだけに態度をコロっと変化させて揉み手でもって接してきた。


「宜しければ見繕わせて頂きます、ハイ」

「質の良い生地を使ったシンプルなシャツとパンツ、それにマント。下着を一揃え頼むよ」

「畏まりっました~」

「エリーもドレスとか気に入ったら見せてくれ」

「ハイ」


「お客様、こちらのシャツなどは…」

「どうだフィーナ」

「決める御主人、でもヒラヒラ邪魔」

「うん、確かに品質は重視だがデザインをシンプルな物で頼むよ」

「それではこちらの品は如何でしょうか」

「悪く無いな、ふむ値段は良い値段がついてるな」

「こちらテムサムのシルクで御座いまして」

「成程、其のうち値下がるぞ早めに売りつくせよ」

「え?」

「サービスしてくれるなら教えなくもないがな」

「で、では仕入れ値でお譲りしましたら教えていただけますか」

「なにも其処までじゃなくていいさ」

「いえ、商人は情報が命です、ハイ」

「ふむ、じゃあ絹以外の商品も少し安くしてくれたらいいよ」

「中々商売にも精通していらっしゃいますね、ハイ」

「じゃあ、このシャツとそのパンツのにドレス、靴とベルトと…

 エリーゼは買うものは決まったかい」

「はい、こちらのワンピースを一着…」

「それだけでいいの」

「他は持っていますから」

「この値札から差し引いてくれた分に見合う情報になるね」

「では、全て半額とさせて頂きます、ハイ」

「隣国のクルネヴィア王国があるだろう。

そこで、今年中にシルクが大量に生産される予定なんだ。

他の織物も同様に安く生地が販売される事になる。

まあ値崩れを一気にしないように注意は呼びかけているけどね」

シルクだけじゃなくて、他の生地まで…」

「どこまで下がるかは言えないけどね。

国の主要貿易品として売り出すから一つ宜しくね」

「あの、貴方様は…」

「リック様はその計画の発案者です」

「という訳だ、良い商品を見繕ってくれたお礼になるかな」

「はい、そのような貴重な情報、垂涎の的です、ハイ。

もう商人としてこれ以上ないご褒美で御座いますです、ハイ。

まさかリック・ブラウン様とお会いできるとは光栄です、ハイ」


情報が如何に貴重なのかを知るこの商人ならばこの情報を与える事で上手く立ち回るだろうとリックも感心した。洋服店で一揃えの商品を買い込んだリックは次に防具屋へと向かった。


防具と言っても魔法師てきな立ち回りになるフィーナに皮鎧などは必要ない。本当はリックやエリーゼの着ているコートやマントと同じ素材の物を探したのだが、あまりに特殊な素材で無かったので皮のコートを一着購入するに留まった。


「防具は装備しないと効果がないからな」

「どうしましたのお兄様」

「いや、名言らしいから言ってみたんだ。

武器のバージョンもあるらしい」

「当たり前、事が気がする、ます」

「「確かに」」


魔術用品店では流石に大した商品も扱っていなかったので、下級魔石を埋め込んだ威力増幅の杖を購入し、一時的な武器としてフィーナに装備させた。


もう一度名言を繰り返す事は無かった。


リック達は手を繋ぎながら宿屋へと向かい、レビンは後ろから付き従って追いかけていた。

 リック・ブラウン…記憶が無いけど知識があるだけに両手に花の状態をどう感じるのか…ちなみにこの世界では当たり前の如く一夫多妻です。

 リックの前世の正体に気がついた人はメール下さい。感想はネタバレになるので…

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