ヤークの戦術
ミリアが設計を終了した頃、ヤークは戦術を考えていた。
これまでの座標砲撃術、修正砲撃術などの火砲ドクトリンや榴弾砲撃と装甲兵員輸送車での浸透戦術の見直し、経験したものを取り入れ
座標砲撃術と修正砲撃術を融合させ指示をまとめて行えるようにし修正角度は各砲長の判断に任せることを考えた。
例えば「指揮車から各砲 砲撃地点A1からA4 榴弾15発 射撃用意」などである。
つぎに、榴弾砲と装甲兵員輸送車の連携攻撃について
塹壕戦では、榴弾砲から敵前線に薄く広く砲撃して戦力の薄い所を見つけ、そこに装甲兵員輸送車を集中突撃させて穴をこじ開る。そして、前線にいる歩兵を突撃し前線を崩壊させ、次々と歩兵を送り込む作戦を取っている。しかし、相手に砲兵がいる場合は、榴弾砲による対砲兵攻撃が前提となっている為、偵察しな蹴ればならないことから
大前提として最初の砲撃まで敵に榴弾砲の位置を悟られないこと。
1、装甲兵員輸送車か歩兵で偵察隊を組織し偵察
2、偵察隊から通報を受け、各照準手は計算し精密砲撃
3、偵察隊から戦果報告を受け、効果無しなら2、へ
効果ありなら4、へ
4、効果を認めたなら塹壕全面に榴弾砲で面攻撃を行う
5、相手に混乱が生じた事、戦力が薄い所を見つけた場合に、
装甲兵員輸送車の突撃を開始。
6、敵前線に穴が開いたら歩兵による一斉突撃を行う
7、その奥にまだ塹壕などがある場合は、装甲兵員輸送車が先攻
このような流れを考えた。この戦術は、機械化部隊による浸透戦術である。
次に防御に対する戦術を編み出そうとしていた。
塹壕での防御力はかなり高い物と認識されている為、一度占領されれば再占領は難しい。
塹壕戦では基本第2、第3の塹壕で攻撃の衝撃力を受け止めるようにしているが再占領には時間かかる。
これは攻撃・防御側両方の問題であるが、攻撃や反撃しようとを身を乗り出したり突撃しようとすると、機銃や小銃・榴弾の餌食になりやすく準備砲撃の後攻撃や反撃に移ることになる為である。
そこで脆弱性が高い反撃に、後方待機させていた高機動な装甲兵員輸送車を使い、装甲兵員輸送車を盾にし反撃に転じる。
突破された塹壕まで前進した装甲兵員輸送車から歩兵を展開させ塹壕の一部を再制圧、後続の歩兵はほかの兵員輸送車とともに前進し戦果を拡大して再占領という物を考えていた。
この戦術は機動防御戦術である。
ヤークはここまで考えて休憩に入ったのだった。