ブーフェン奪還戦~後半~
南の貿易の要衝のブーフェンはその日の夜まで銃撃戦が続いていた。ブーフェンの1/3を制圧していたが抵抗がかなり強力でいつの間にか両軍とも瓦礫や建物の影で様子を見るようになって睨み合いになり膠着状態になった。
1日で榴弾砲で城壁の一部は崩され、支援砲撃で町のところどころが瓦礫になっていた。道や建物内には死体が散乱し異臭が漂っている。町全体には硝煙と煙が立ち込めている。
メイン道路より少し路地に入った半壊している民家内にて
「みんな動きが止まっちゃったね」
「ちょっとは休憩しないと・・・」
「皆弾はどの位残ってる?」
「私は、残り37発くらいかな 隊長は?」
「私もあまり無い、大体60発くらいかな」
ミリアたちは民家で休息をとっていた。
東にある道を挟んだ反対側では、瓦礫で死界になっている民家跡地に
歩兵分隊が警戒しながら数人ごと休憩している。
その前方の区画は、デッドラインとなっていて死体の数が特に多かった。
その頃、突撃砲兵隊の装甲車両では、後方支援で補給物資を前線に送り込んでいる。その中でも、装甲輸送車が歩兵輸送に威力を発揮して常に、前線補給所から1両で1個分隊を運び、中隊を輸送するのに徒歩移動の10倍近い高い効率であった。
最前線から300mほど後方の崩れた城門に弾薬を補給所から輸送、そこから最前線まで徒歩で送り込む。
「弾持ってきたよ!」
「戻ってきたか~周りの状況わかる?」
「妙に静かで怖い感じです、所々火災で明るいけど」
「う~ん弾はどの位になった?」
「弾薬箱6箱と機銃用のが4箱ほどです」
「よし・・」
突撃砲兵の隊員達は弾薬を弾倉に詰めたり、小銃弾を均等に分配するのを始めた。
少しずつ辺りは明るくなってゆく。
大規模な攻撃を予想していたミリアは、早朝に来るだろうと踏んで隊員に休息を与えていたのだった。
太陽が昇る前までに皆臨戦態勢に入る。
突然笛が鳴り出し辺りから敵兵の声が大きくなり、やがて道路上は敵兵で溢れかえっていた。そう・・・総突撃の開始である。