ブーフェン奪還戦~初動~
ブーフェンの北部全域で第六歩兵師団が半包囲を実施、突撃砲兵隊は北の城門周辺に砲撃すること以外は決まっていなかった。
数日の間は、物資や兵力をため込むために費やされ双方ともに半包囲と城門周辺の警備強化以外は動きがない。
その動きがない間に105mm榴弾を輸送し続け4000発ほど集積していた。自走砲は陣を組んでる丘の北に配置し、乗員は自走砲専用の退避壕を掘り始めていた。
まだ辺りが薄暗い5日目の朝、神聖プロシアに動きがあった。城壁の上に旧式の迫撃砲を配置し始めたのだ。
その旧式の迫撃砲は数が多く1m間隔ごとに配備できる量が視界に入ってきたのだ。
「やっぱり気づいてるねぇ」
「あれだけ動いてるんだから気づかないほうがおかしいよ」
「砲撃よーい」「装填完了!砲撃よーいよし!」「指示あるまでそのまま待機!」
「ん?配備だけじゃない・・・砲撃準備してるぞ!伏せろ!」
「てーーーい!」
一斉に迫撃砲から砲撃音と思えない軽く乾いた音が連続的に鳴り響き、ミリア率いる突撃砲兵隊やその周辺の第六歩兵師団の方向に面で着弾、乾いた音に続いてかなり大きい連続した炸裂音が鳴り響いた。
この音の差は迫撃砲の独特な砲撃の仕組みから来る差である。通常の砲と違って初速を求めず曲射(砲弾が大きい角度から敵に対して侵入する射撃方法)のみの運用であること。着弾してから弾薬に充填されてる炸薬で人員(非装甲のもの全般)を殺傷するための砲弾を使ったためである。
「く・・・砲撃きっついな・・・」
「はい? 聞こえないよ!」
「この砲撃耐えたら反撃開始するよ!!ヤーク!」
数10分砲撃が続き辺りが静かになり各自で生存確認を始めた。
「よし突撃砲兵隊は無事だな? 反撃だ!砲撃よーーーーい!」
「砲撃よーーーーい 弾種榴弾! 強装なし! 標的城壁上部の迫撃砲群! 照準合わせ!」
「照準よし! 装填よし! 砲撃よーーーいよし!」
「全力射よーい! てーーーーーーーーい!」
迫撃砲と比べようがないほど砲撃音が連続して鳴り響く。風切り音のあと炸裂音が辺りを包み城壁はえぐれる。時間が経つにつれて城壁がどんどんえぐれ原型をとどめなくなっていた。城壁の上に配備されてた迫撃砲も7割以上使い物にならなくなって放棄されていた。
「よし、迫撃砲の脅威と城壁は破壊した 総員着剣せよ! 第六歩兵師団の人も余裕があればついてきて」
こうして城壁を無力化して突撃を開始するのであった。