南下進撃
翌日、早朝から車両の応急修理を始め、第六歩兵師団は先行して南下を始めた。
「装甲の予備ある?」
「3枚あるよ」
ぼこぼこになっている装甲板を溶断して成型した装甲板を溶接していく。時間が掛かるため補修要員以外は銃器の整備をしている。
使えなくなった機銃は分解され使える部品は予備部品としてストックしそれ以外の機銃は整備していく。銃身の摩耗はかなり激しく、予備銃身がわずかな状態になっていた。
ミリアⅡ式も同様で射撃回数が増大するにつれ摩耗が激しくなっていた。
「ヤーク 後方に行って追加物資の受領と壊れた物交換してきて」
「はーい」
ヤークは数人を引き連れて輸送車で移動しはじめた。
装甲の応急修理、履帯の整備を終えてミリアは突撃砲兵隊に待機命令をする。
激戦のあとであるため硝煙と血のにおいが漂っているが皆ある程度休めていた。補給路が確立しているため食料の制限はある程度緩和され香辛料をふんだんに使った肉料理を一日1品出せるようになった。
3日ほど経ったころヤークが戻ってきた。
「ただいま~ 銃器の予備品と装甲の予備もってきたよ」
「ありかどうね これで動ける・・」
突撃砲兵隊は、物資を受け取り南下を開始、この地点で第六歩兵師団との距離は20km離れていた。
神聖プロシアが制圧していたミニア国領土は少しずつ取り返している。
突撃砲兵隊は川から離れ、時折輸送車から給油を受けて車列は林や草原を突き進む。数日前の戦闘とは変わってのどかな風景である。
戦況は戦線中央はまだ先行して膨らんでいるようになっていて両脇から背面を狙われる危険が伴っていた。
戦力は南に南方軍と第二・第三歩兵旅団 東には第六歩兵師団と突撃砲兵隊 西には第二歩兵師団と第一砲兵旅団が担当している。
「いまごろヴィーレ市はどうなってるかなぁ・・・工場拡大してそう」
「どうしたの?ミリアちゃん 急に」
「いやね 今まで戦闘が続いてて故郷のこと考えてなかったでしょ?」
「2週間くらいしかたってないのに早くない?」
こんな会話を指揮車で交わしていたのだった