渡河作戦~その後~
小口径の榴弾砲の弾幕射撃を受けている突撃砲兵隊、装甲兵員輸送車の装甲で爆風をはじき返してしたが車両の間に着弾した物はミニア第六歩兵師団の兵士を吹き飛ばしていた。
「敵の砲撃がきつい!身動きが取れない!」
「隊長どうします!?」
「じわじわ近づくしかないな・・・・味方が装甲兵員輸送車のすぐ後ろについてきてくれるかどうか・・・」
1号車のエンジンがうなりをあげ微速で進む。なんとか回避して隠れていた第六歩兵師団の分隊がついてきてくれていた。
1号車の前面装甲で小銃弾と小口径の榴弾が次々と命中して榴弾は爆発、甲高い音を出してはじき返す。側面装甲を浅い角度で侵入している榴弾は跳弾してから起爆していた。しかし、側面装甲は前面装甲より薄いためすこしずつへこんだりひび割れが発生している。
「第六歩兵師団の人!左右の砲を狙撃してくれ!それがあるとこちらの装甲が持たない!」
「了解!援護する!右から狙え!敵の指揮官を優先に!」
右にいる砲の一つに集中射が始まり砲の周辺は砲自身に当たった跳弾や弾の雨が襲い掛かる。
砲に張り付ている装填手や照準手がなぎ倒され後ろから次々と変わりの人員が投入されていく。
どんどん出血させて砲を一つずつ確実に潰していく第六歩兵師団の分隊少しずつだが活路が見いだせるようになってきた。
しかし、敵の銃弾や砲弾を受け続けた装甲兵員輸送車の装甲は、限界を迎えようとしていた。
被弾に被弾を重ねた装甲がどんどんへこみ、ついに履帯に食い込んで動けなくなってしまった。
「降車!銃座の機銃を取り外せ!」
「後部解放!」
「土嚢持っていけ!陣地を築け!」
素早く伏せで隠れる分の高さの土嚢が積まれ陣が組まれていく。その間、後方にいる自走砲の機銃が援護射撃をして敵を攻撃させないように頑張っている。朝から始まった渡河作戦であったがいつのまにか昼を過ぎすこし陽が傾き始めていた。
1号車の停止に伴い1号車の援護をしていた4号車が前進を開始、1号車の右側にじわじわと近づく。
「もう一両きたぞ!残った榴弾撃て!早く!」
4号車に砲撃が集中、装甲ではじきながら1号車救援に向かう。
ついに、1号車の右側に着き陣に人員と補給物資を送りこむ。
「なんとかたどり着いた・・・今度はなにする?」
「2丁ある機銃で援護しながらなんとか突破図らないと・・・」
動ける兵を集め攻撃準備を整える。機銃を土嚢を足場に伏せ撃ちの姿勢をとり右側に集中させ、歩兵は手榴弾を持ち銃剣を装備し待機するのだった。