渡河作戦~後半戦~
一瞬で大混乱を引き起こした第六歩兵師団、立ち直るのは当分むりになってしまった。
「うわああああ!銃撃だぁあああ!」
「どこから攻撃されてるんだ!?」
「こんなところで死にたくない!・・・飛び込むぞ!」
先頭の兵士が銃弾に倒れ後続が進めなくなり絶好の的になっている。川に飛び込み銃弾から逃げようとする者、その場から動けなくなる者が大半であった。
そんな中で突撃砲兵隊は橋を守るべく扇状に車両を配置して何とか対抗しようとしている。
「指揮車から各車 渡河中の歩兵を援護するため持てる火力を使って全力で反撃せよ」
ひっきりなしにっ装甲をたたく音が聞こえ恐怖で震えながらも突撃砲兵隊は反撃を開始する。
装甲兵員輸送車は銃眼や銃座から見える範囲で薙ぎ払い、オープントップの自走榴弾砲からは手榴弾と銃座で反撃、近接戦闘なため突撃砲兵隊が誇る105mm榴弾砲は使えない。
「くっそ・・・渡河中は簡単に撃破できると思ったのに手榴弾までもっているとは・・・」
「予想以上に反撃が強いぞ!」
神聖プロシアの兵士も安易に攻撃出来なくなってきた。
突撃砲兵隊の機銃や手榴弾の音で勇気づけられた第六歩兵師団は少しづつ渡河を終え突撃砲兵隊の車両の陰に隠れながら反撃に参加する。
「第六歩兵師団の人は車両に隠れてください!」
「我々も攻撃しないと気がおかしくなる!反撃に参加するぞ!」
数が20...40...80と着実に増え、反撃の力が少しずつ強くなり、神聖プロシアの攻撃力に近づいてじりじりと押し返し渡河中の攻撃をさせないように反撃で抑え込めるようになってゆく。
「砲の支援はまだか!早くしてくれ!」
「もう少しで支援来ます!」
神聖プロシアの歩兵の後方から野戦砲が投入されていた。近くの敵歩兵に注意せざるおえない状況だったミリアは野戦砲に気づかない。
「装填よし!」
「てーーーい!」
神聖プロシアの後方から突如砲撃が開始された。
「砲撃音だと!・・・・歩兵は隠れろぉおお!」
砲弾の甲高い音が近づいて突撃砲兵隊の付近に着弾し破裂する。
「プロシアも榴弾砲を開発してる!?」
「歩兵は後ろの自走砲の近くに後退してください!」
この会話の間にも次々と着弾して小さいクレーターや水柱が立ち上る。その中の一発は装甲兵員輸送車1号車を右10度入射角21度で着弾し車体が揺さぶられる。
「大丈夫!?」
「だ・・・大丈夫です・・・装甲が爆風・衝撃を防いでくれました・・・」
こうして渡河作戦は熾烈さを増してゆくのだった。