サマーレ会戦~反撃開始~
塹壕内の南方軍とミニア第二歩兵旅団とその増援は白兵戦の準備が完了していた。
「この戦いに勝ては反撃する準備が完了する! 踏ん張りどころだぞ!」
「敵が多すぎる・・・どうすればいいんだ!」
叫び声と突撃の足音がどんどん大きくなっていく。
ついに20mを切ると神聖プロシアの兵士達は鉄条網に差し掛かり足が止まる。
「今だ!」
鉄条網で止まった兵士が次々と狙撃されていった。もはや突撃の機動力は削がれてゆっくりと近づくようになっていった。
戦死した兵士の体で防御しながら進む者、クレーターの陰から隙を狙う者あるいは、後退する者。
ついに今まで耐えていた30口径機銃が熱により射撃不能となった。それによりところどころプロシア兵が入り込み白兵戦になり始めた。
ここでミリアの塹壕構築術が生きていた。第一塹壕に敵兵が入り込んでも第二塹壕と第一塹壕を結ぶ縦のラインから後続の兵力を送り込んで奪われた第一塹壕の一部分を取り戻せるからである。しかし、数で押され第一塹壕は制圧されてしまった。主戦場が第一塹壕と相手の塹壕の間だったものが、第一塹壕と第二塹壕の間に移っている。
必死に南方軍とミニア第二歩兵旅団の先鋒隊は抵抗をし続け、地上部分では攻撃の知らせを受けた突撃砲兵隊が制圧射撃を行い地上部分での突撃はされなくなった。
縦のラインが押され気味になり始めたころミニア第三歩兵旅団と第二歩兵旅団の後続が到着、第二塹壕で反撃のためミニア第二歩兵旅団が集合し第三歩兵旅団はその援護にまわる。
ついに太陽が一番高い位置まで昇ると反撃を開始したのである。
3本ある縦ラインで端っこの2本から攻撃を開始、少し遅れて中央のラインを攻撃を開始
東側のラインは順調に取返し東の戦場は余裕が持てるようになった。
中央と西側は敵の戦力が大きく、苦戦を強いられている。この状況からミニア第三歩兵旅団長は東側に増援を送る。
東側のラインはそれにより優勢になり第一塹壕の中央部まで押し返したのだった。神聖プロシア第三近衛師団長は一旦中央部を引き下げ東側に増援する命令をする。それにより中央も圧迫できるようになり縦のラインの中央くらいまで押し返した。
いまだに西側では激戦で一進一退を繰り返していた。西側の部隊に突撃砲兵隊が使ってる瓶製の手榴弾を配布して攻撃力を強化して突破を図る。いくら塹壕が頑丈であっても爆風や散弾が飛び散る空間には顔を出せない。手榴弾が爆発するごとに4m間隔前後前進して後続が手榴弾を投げるという戦法を取って接近する。
とうとう第一塹壕まで押し返し敵の制圧を受けてるのは第一塹壕の中央から西と中央の縦ラインのすこしまでになった。
挟撃を恐れた神聖プロシア第三近衛師団長は部隊に撤退を指示した。
こうして制圧されていた第一塹壕まで取り戻したのだった。