第8話 5分割された巻物とその力
メールで二回戦のトーナメントが送られてきたが、俺は次の相手が美咲・海翔のタッグであることは分かっていた。なぜなら、美咲の教え方があまりにも上手すぎること。補修室で俺と長田は美咲にいろいろ教わったが同じ一年生とは思えないほどキャリーの使い方に慣れていた。事情は知らないが、やはり、そこら辺の人とは違いすぎる。
海翔は怪しいところは特になかったし、先週の試合は2回戦敗退と言っていた。それは、俺から目を逸らすためだったのか分からないが美咲が組んでいる時点で強いことは分かっている。
この二人ならやってくれるだろうとは思っていたが、まさか二回戦とは……。これは厳しい戦いになりそうだ。それに、長田にも言わないといけないこともあるし。
二回戦まで時間があるので俺と長田は会議室に赴いていた。理由は長田のキャリーの変形した形が巻物でそれには、世界規模のことが書いてあった。流石に黙っておくのもあれなので一応会議の人たちには言っておかないと。
「じゃあ、入るぞ」
「うん」
会議室には会議メンバーの5人と12人のXランクの人しか入ることができない。Xランクの人は滅多に会議室に入らないらしい。理由は俺も行ったことがないので分からないが。
「こんにちわ」
俺と長田は会議中と思われる会議室に入った。
「あ……すいません。取り込み中でしたか?」
「いやいや。大丈夫だけど、君は?」
俺と会話している白髪のおっさんは、俺の正体を知らないらしい。
「俺は、Ⅱエッ――――おっと、Xランクの佐藤です」
この人たちに俺がⅡXランクであることを言うのは巻物の話が終わってからにしよう。
「ほうほう。Xランクの子か。では、そちらは?」
「長田千佳と言います。ランクはDですが、今日はこいつのことで話しに来たんですけど」
「何っ」
「あ、お父さん。お久しぶりです」
俺が今話している人は長田のお父さんである。この前は執事服着ていたから年齢までは分からないが、普通の普段着を見ると30歳前半に見える。老けている部分は全く見当たらなく、なかなかのイケメンだ。
「それで、今日は長田について話しに来たんです」
「ちょっと千佳、外に行っていなさい」
「お父さん、なんで?」
「なんでって、これは佐藤君との話だからだ」
流石お父さん。会議メンバーに選ばれたことはある。もう巻物について察しているんだ。
お父さんは長田を外にだし、会議室は俺とお父さんと白髪のおっさんの3人になる。
「さて、本題に入りましょう。お父さん(巻物のことを)」
「ああ。でも、佐藤君。まだ千佳には速いんじゃないか?(まだ高1だし……)」
世界の運命のことか。まあ、高1が背負っていいことではないしな。
「でも、認められてしまったんですよ。(天から)」
「まさか、あの子がか?昔は私に良く言ってくれたんだがなぁ。(お父さんが好きと……)」
「でも、なんで俺だけだったんだろう……(巻物の字が読めたこと)」
「(『俺だけ』って。千佳が2人に告白しようとして迷った挙句、佐藤君にしたのか。なら、私から言うことはないな)それは、気に入られたからじゃないのかなぁ」
「(『気に入られた』って巻物に?最悪だな。それは)そんなの嫌ですよ俺は」
「(『嫌』って。告白されておいてその親に普通言うか?)でも、相手の気持ち考えたことあるのか?」
「(気持ち?ああ。あの巻物には感情があるのか。情報が多いと助かります)気持ちがあるって初めて知りました。教えてくれてありがとうございます」
「(はぁ?どこまで千佳のことバカにするんだ。こいつは。人だったら気持ちぐらいあるだろ。しかも、なに礼してんのこいつ。殺そう。殺そう。せめて選択肢としてここにあるもの……カメと赤い花と毒キノコのうち一つ選ばして殺そう。)話変わるけど、佐藤君って死ぬならこのカメか、この赤い花か、このキノコどれがいい?」
「(いきなりなんだ?しかし、死ぬなら何がいいかって……カメか赤い花かキノコか……。はっ。これは、スーパーマリ〇?全部成長するじゃん。コウラマリ〇とファイヤーマ〇オと大きめの〇リオ。まさか、授けてくれるのか。なら強いものを頂こう。この中で一番強いやつか……。)じゃあ、赤い花を頂けますか?」
「(『頂けますか』って、どんだけチャレンジ精神強いんだよ。命落とすだろ、明らかに。これ、毒入っているらしいし。でも、娘のためだ。)じゃあ、食べてください。そして、さようなら」
「(『さようなら』ってなに?ああ、違う次元に行くってことか。どんだけ強くなるんだよ。たかがファイヤーフラワーで)じゃあ、頂きま――――――」
「それは、わしが食う。そして、若返るのだ。……なんだか、毒が回ってきた。もう、おじさん駄目だ。さようなら」
なぜか白髪のおっさんが赤い花を食べて倒れてしまった。
「(さっきお父さんが言った『さようなら』ってこっちの意味?)お父さん、まさか俺を殺そうとしましたか?」
「だって、佐藤君が娘のことを気に入らないだの私の前で言うから思わず殺意が」
「は?俺、長田を傷つけるようなことなんて言ってませんよ」
「「だとしたら……」」
「「なんていう被害妄想だったんだぁぁぁぁぁぁぁ」」
後で、俺とお父さんは白髪のおっさんを棺桶にちゃんと入れました。
「お父さんは、僕が長田に結婚の申し込みをしに来たと」
「佐藤君は、千佳の巻物について会議メンバーに話そうと」
今は、互いの誤解を解いているところである。
俺は、2回戦までの時間があまりないので用件を手短に伝えることにした。
「大体は理解した。この世に5つしかない巻物の保持者とそれを読めるものが集まると世界に何かしら問題が起こるということだな」
「はい。そうです」
「でも、誰がそれを読んだんだ?」
「俺です」
「やはり佐藤君であったか。出会ったときから君はⅡXランクと分かっていたが、まさかあれと同じ状況とは……」
「あれって?」
「時が来ればわかるさ。でも、Ⅱxランクの人はこの世界で君を入れて10人目だな。
その内、恐らくだが巻物の所有者と一緒にいる奴はⅡxランクで君以外にいるかもしれない」
「といいますと?」
「君と千佳のように巻物所有者と一緒にいる人はⅡxランクの人という可能性がある」
「そんな。じゃあ、もし出会ったら?」
「間違いなく戦闘になる。そして、今、時が来た」
「数秒前に言ったばかりなのに、時って……。数秒じゃないですか……」
「で、実はそれは古代の宇宙の神話であり正しいかわからないし一部分なのだが
昔、巻物は1つだったんだがビックバンという宇宙で大爆発がおこった。
巻物の力を使わないと宇宙は滅んでしまうので、そのとき、巻物の所有者は太陽のペンダントと言われるペンダントで巻物の力を使った。今でも白のペンダントでキャリーを変形とかするだろ。それと同じ方法でそのときの巻物所有者は宇宙を守った。
その時に地球・水星・火星・金星・月ができたらしい。
一度に物凄くブラッドを使った所有者はもう力尽きてしまった。だが、最後の力でその時に巻物と太陽のペンダントの力を5等分し、その時にたまたまできた水星や火星・地球・金星・月などに送り込んだらしい。
というのが神話でありおそらくそれは本当だろう。だが、そのときの所有者は多分すべて地球に送り込んだと思う」
…………やはり彼女もそうなのか…………
「佐藤君?」
とお父さんに声をかけられる。
「あ、大丈夫です。けど、なんでその時地球に送り込んだと言えるのですか?」
「そこまで詳しくないから最後らへんは憶測だ。
だが、これは確実だと思う。お前たちみたいに巻物が見える奴が集まると太陽のペンダントは元に戻るはずだ」
「そういえば、なんで俺だけしか見えないんですか?」
「それは、瞬間移動したときに同時発動する急所眼力のせいだろう」
「あれは、オーラとか弱点とか見るものじゃないんですか?」
「それは千佳の巻物の超能力、無限召喚の組み合わせだ」
「そうか。無限召喚でほしい道具を長田に出してもらい、弱点を俺が叩くということですね」
「ああ。だが、お前らがそのコンボを使えるということは他の4組も恐らくコンボ的なシステムになっているだろう」
「そういえば、急所眼力は結局、太陽のペンダントの一部分ということですよね?」
「そういうことだ。どうやら目の部分らしいが」
「けど、一般の大会でこんな神業使ったら反則ですよね」
「それを言えば、異能力の制度はどうなるんだ?」
「そうですか……」
「とりあえず、人にはこのことをばらすな。佐藤君・千佳・会議メンバーの5人だけの秘密にしておこう」
「はい」
「あと、言い忘れていたが私もⅡxランクだ」
「はい?」
美咲・海翔との戦いまでいかなかった……。
今回はストーリー重視でいきました。誤字・脱字があれば教えてください。
あと、この小説を読んでくれているみなさん。ありがとうございます。
次回はいつになるかわかりませんがまたの機会に。