第5話 面積小さいほど圧力ってあるらしいよ。
「試合開始」
審判の声がかかり、俺と八賀克太は同時にバリアを張る。そして、キャリーを変換する。
俺は、metal of metalになる。そして、距離をとるため、一度飛ぶことにする。相手はキャリーを何に変換させたのだろう?……あれ?なにも変換させてないな。これは作戦なのか?なら、攻めるなら今しかないと思い、俺は八賀克太に音速スピードでwing of metalをぶつける。
勝負あった。と思うぐらい思い切りぶつけた。だが、相手のバリアの色は青いままだ。なぜ?
「お前、『今何が起こった?』って思っているだろ?」
と話しかけられるがペースを持っていかれるのは困るので、ここはスルーする。
「ただ、お前もxランクだから、気づくのも時間の問題か……」
今の発言は聞き捨てならない。
「なぜ、俺がxランクって知っているんだ?」
「Aランクの上の奴でも音速は出せないからな」
「クッ」
「けど、お前は今日が大会初めてだったらなかなかできる奴にいずれなるだろう」
「なぜ、俺のことそんなに知っているんだ?」
「そこだ。俺の異能力は脳内情報。ネットワークを応用して、俺の脳をサーバーとしお前の対戦相手の脳内にお前の情報をいただいたんだよ」
「だが、異能力を使えるのは戦闘中だけなのに、どうやってお前やったんだ?」
「それは、準決勝の時だ。俺はお前の隣の会場で、お前が決勝の相手になるだろうと思いAランクだったお前の相手の脳内を覗かせてもらったからだ」
「じゃあ、準決勝の時にやっていたのか?」
「それ以外に異能力を使う場面でも?」
まさか、準決勝の相手と戦いながら、俺の情報も手に入れていたのか。なんて奴だ。試合中に関係ないことしながら試合するなんて。これはなかなかの強敵だ。
「じゃあ、そろそろ俺も戦うとするか」
と言いながら八賀克太はキャリーを変形させる。
「あれは……なんだ?」
見た感じレイピアをさらに細くしたようなものだが、どういう意味だ?
「じゃあ、いくぞ」
といいながら、八賀克太は地上にいた俺に細いレイピアをふりかかりにくる。俺は当たるわけにはいかないので左に避ける。だが、流石8位だけあった。
「隙あり」
細いレイピアを俺のバリアの足元を狙ってくる。これはとっさに判断できなかったのでもう避けられない。ただ、この細いレイピアだったので俺は対して攻撃力は無いと思っていた。だが、
「なんて、威力だ」
俺のバリアの色はもう赤色に近い黄色になっていた。
「理屈を教えてやろうか?」
八賀克太の顔は余裕の表情であった。
「圧力って知ってるか?」
圧力? そうか。
圧力というのは直方体の箱を想像してほしい。圧力は直方体でいうと一番面積が小さいところが一番強い。ということは、面積が小さい=圧力が高い。
このレイピアは細いので、面積がとても小さい。よって、かなりの威力によりバリアが大ダメージを与えられたのである。
「流石10位。分かったようだな。そして、俺には脳内情報でお前の弱点を見つけている」
「弱点?」
「そう。今日が初めての試合ということもあり、まだ全然自分について知らない。そして、俺はお前のバリアが足元が弱いことを準決勝で知り、圧力が高いレイピアで攻撃したのさ」
バリアには弱点があったらしい。これはあとで知ったことだが1人1人バリアの弱点の位置は違うらしい。俺の場合は足元。
「分かったらやられろ」
俺は飛ぶことにする。レイピア1発で戦闘不能だからな。
「お前そのままだとブラッドを消費するだけだぞ」
飛んでいる俺に向かってアドバイスしてくれる。だが、俺はそんなことより異能力のことを考えていた。今使って失敗したらブラッドは無くなって終わりだろう。だが、このまま終わるのも嫌なので、
使うことにした。
「いくぞ」
俺は音速で突っ込む。どうやら相手は脳内情報を俺に向かって使っているが異能力は1度も使ったことがないので俺にもわからない。どうやら八賀克太は今無駄にブラッドを使っただけで向こうも勝負を決めたいらしい。そして、俺はここだと思い異能力を使う。実際音速で移動しているので俺しか分からないが、どうやら俺の異能力は瞬間移動らしい。なぜなら俺は音速で突っ込んでいたはずだったのに八賀克太の背中が見える。
しかも何だこれ? 人のオーラか? そのオーラの中の1点だけ赤い。もう一か八かここを狙うしかない。
瞬間移動した俺はまだ八賀克太には気づかれていないらしくwing of metalを音速で赤いところにぶつける。すると、八賀克太のバリアを一瞬で破壊する。
「勝者、佐藤輝樹」
一斉に観客から声が上がる
「いい試合だった」
「すばらしい。また名勝負頼んだぞ」
「いや~。好きですね~」
最後のはポケモン大好きク〇ブの会長?ポケモンコン〇ストは?
しばらくしてから、八賀克太が話があると言われついていった。
「お前の異能力って瞬間移動だけじゃなさそうだな」
「俺も瞬間移動したときにオーラみたいなのが見えて、そのオーラから一点だけ赤いところがあってそこを狙ったらバリアを突き破って」
どうやら瞬間移動したことは分かっていたらしい。
「その赤いところは俺の弱点だ。ということはお前は、この世界で10人目のⅡxランクの人間となるな」
まさか、地球規模の人間になるなんて……。
「ところで、そのⅡxランクってのは?」
「それは、お前みたいに2つの異能力を使うことができるxランクの人間のことだ」
ということは、俺は瞬間移動と、オーラで弱点を見ることができる急所眼力の2つ異能力があることになる。まさかなあ。
そのあと、俺は表彰され賞金10万円を貰えた。その10万円でパーティーしようぜ。という海翔を見捨てて俺は速く帰ることにした。
やっと家に到着する。もう夜9時だ。因みに2話で出てきた話す犬はちゃんと飼っている。名前は、
「お~い。義満。餌だぞ」
「今日はペットルームで色々食べたからいらない」
とまあ、話すってことは頭いいんだろうな。という推測で歴史人物で特に頭が良かった足利義満の名を取った。
「そういえば、ペットルームで何してんだ?」
「子猫と遊んだり友達のウルト〇マンとゴ〇ラ退治のタイムアタックとか?」
「まあ、楽しそうだな……」
「そういう輝樹はなんだか嬉しそうだぞ?何かあったか?」
「今日10万円貰ったんだ」
「俺興味ないし」
「へえ~。じゃあ、俺だけで高級料理でも食べにいこっかな?」
「今月お金ないってレンタルビデオ屋で言ってたのは嘘か?」
この犬やろう。どこまで知っているんだ?
俺と義満が喧嘩していると、電話がかかってきた。相手は……誰だ?
「はい。もしもしどちら様でか?」
「私よ。長田」
ああそうだった。赤外線したけど、全然連絡取ってなかったな。
「ごめん。それで用件は?」
「あ、明日さあ暇?」
明日か。特にやることもないけど
「うん。暇」
「じゃ、じゃあさあ、私の家でブラッドの使い方を教えてよ」
一応、2vs2のペアだから流石にバリアぐらいの張り方を教えてあげるか。
「うん。いいよ。」
「ありがとう。私の家知らないだろうから、明日の10時に学校前のコンビニで会いましょう」
「分かった。じゃあな」
「うん。バイバイ」
俺は電話を切ると、義満が変な目で見てくる。
「なんだよ。お前」
「おいおい。女の子と話しておいてそれないんじゃないのか?」
「聞いていたのか?」
「of course」
「汚い犬だと思っていたが、ここまで汚れているとは。プライバシーの侵害だぞ」
「そんなのは人間同士だけの話だ。犬には関係ないもんね」
そのあとはたっぷり喧嘩しました。
次の日、10時にコンビニに着くことができた。長田はまだ来てないらしい。すると、
「おーい。コッチ。コッチ」
何だあれ?リムジンとかいうやつか?
「さあ、お乗りください」
と執事みたいな人が言う。
「は、はい」
思わず敬語になってしまう。車の中に入ると、長田1人だけだった。
「おはよう」
「お、おう」
「ちょっと小さめだけど、大丈夫?」
「とんでもない。これで小さいですと?十分大きいですよ」
「なぜ、敬語?」
「出発します」
とさっきの執事が言う。
車の中ではたわいもない話しかしなかった。それがなかなか楽しかった。
「到着しました」
俺は、車の扉に手をかけあけると、これはディズニー〇ンドぐらいの大きさは余裕で上回り昨日叱ったことがだれかに知られたら、間違いなくthe endだろう。と今更後悔する俺に、
「いこう。まあ、屋敷のなかでも3番目ぐらいの大きさだけどまあ、楽しめると思うよ」
「あ、ああ」
俺が昨日10万円で義満と喧嘩していたことが我ながらとても醜く感じた……。