第2話 4月某日
いつもは自転車で登校する俺だが、今日はバスに乗ることにした。なぜなら、今日も寝坊したからだ!!
バスの席に座って焦っていた俺は通勤ラッシュの時間のため色々な人がいたがその中に妊婦さんがいることに気がつく。そして、とっさに俺は話しかける。
「あの、席代わりますよ?」
というと、
「ありがとうね」
と言いながら俺がいた席に座る。
「次は、〇〇駅です」
運転手のアナウンスが流れる。〇〇駅は大きい駅なのでこのバスの中からたくさんの人が降りるだろう。俺が通っている学校、真言高校はこれの次だ。
そんなことを考えていると、バスの扉が開く。俺は、することもないのでさっきの妊婦さんに話かけることにする。
「あの、今何ヶ月なんですか?」
「8ヶ月よ。最近は辛くなってきてね、週に3・4回は病院に行くことにしているの」
8ヶ月か。なんて思っていたら、今日も辛い日なのかな。まあ、どちらにしても尚更席を譲っていて良かったと思う。
しばらく(1分もなかったが)妊婦さんと話していると前のほう、料金場のほうが騒がしい。何だろうと思いつつ見てみるとバスの扉に結構大きめの犬がいた。
その犬が乗車たちが降りるのを邪魔しているらしい。理由はまだ分からないが、とりあえず邪魔にならないところまで移動させよう。
「どいてください。今から俺がやります」
「でもどうやって?」
だれかが俺に向かって言う。俺は、
「実は、ちょっと前までペットの介護をやっていたので分かります」
というと、みんなが英雄を見る目となり素直に道を作ってくれた。
施設にいた時にみんなで色々な動物を育てていたので大方のことは分かるが、ここまで大きな犬だとな……いや、俺がやるしかない。まずは、
「わんっ」
因みに今のは俺の声である。だが、なんかミスった気がする。ほら。さっきまでの英雄を見る目が昨日のレンタルビデオ屋の時みたいに痛い子を見る目だ。たちまち、俺に向かった罵声が響く。
「ふざけるな」
「おい、早くしろ」
「こっちは通勤なんだよ」
「朝の子供劇場見れないだろ」
「お腹痛いのに……」
「脅迫の時間に間に合わないだろ」
世の中色々な人間がいるんだな。しかも、主に最後3つぐらいは自分でどうにかしろよ。と心の中で思った矢先、
「お前、人間なのに犬語しゃべるんだな」
と俺は誰かに言われた。俺が、もうムカついたので、
「最後に言った奴誰だ?」
といいながら犬を背に人々のほうをみると俺じゃない。私じゃない。って否定する。この中の誰かなのに。
「おれだよ。おれ」
「誰かは知らないが、どんな面してるんだろうなぁ?!」
最後はキレ気味で言いながらそいつが喋ったほうを向く。
「!?」
俺が見た先は犬しかいない。お前ら、ふざけんなと言おうと思ったら
「だから、お前の眼は節穴か?俺だ」
ま、ま、まさか…………しゃべったのって犬? 落ち着け、佐藤輝樹。普通犬はしゃべらないって
wiki●edi●に書いてあったのに。ていうか、普通はそのサイトじゃなくてもこの世の常識だろ。と冷静に一人漫才をすると、一つのことに気がつく。俺はまだここにきてから2・3週間だ。
そして、ここは次世代の高校がある最先端の都市。ということはこの犬はロボットじゃないのか? という仮定が成り立つ。だが、結論が大切だ。
それを証明する方法は、ここに長く住んでいるはずのこの人たちが知っているはずだ。なら、訪ねようじゃないか。
「あの。この犬ってロボッ……トじゃなさそうですね」
予想外の展開だ。まさか全員が驚愕の顔をしていた。ははは。もう笑うしかないよな。なら話は簡単。
「ねえ、そこどいて」
俺は犬に向かって言い放つ。
「それが、どきたいがなんか棒に俺の紐をくくりつけられて動けないからお前たちに助けをだしているんだよ」
もう、犬が人語ペラペラなのは突っ込んではいけない気がしたので俺が犬の上をジャンプして(最初っからこうすればよかったのでは?)道路に出る。
そして犬が言っている棒にくくりつけてあった紐をほどいてやる。すると、そこから手紙が落ちる。なんだろうと思いつつ中身をみると一行だけ書いであり、
「この犬を飼ってあげて」
とだけ。まあ、人語をしゃべる犬なんて家の中にいたら落ち着かないしな。すると、手紙からヘンテコだが文字が浮かび上がる。すぐ消えたが、何だったんだろう。まあ、とりあえず一件落着だ。
一件落着というのは大抵またなにかしら事件が起こる前置きだ。まあ、こうなったのはわけわからないが。回りくどいことはやめて、単刀直入に言うと、俺の隣にあの大きな犬がいる。自分でも思うが、ざっくりしすぎた。
話すと長くなるので要約すると、さっき出た文字はこの犬との契約らしい。と犬が言っている。
人の意見もなしに勝手に決めんなよ。と思いつつこいつはなかなか面白いと思う。学校にはペットルームというところがあるから、とりあえずこいつを飼うことにした。
「次は、真言高校です」
アナウンスが流れて俺は妊婦さんに一礼して運転手にお金を払う。時間は8時20分。犬の騒ぎがなければ遅刻せずにすんだだろう。と、思いつつバスを降りる。
「なんてこった」
「それは俺のセリフ」
因みに1つ目が犬で2つ目が俺だ。俺はこいつを人語が喋れてロケ〇ト団のニャー〇的に自然な流れで慣れることにしたので、一言名台詞を言おう。
「や〇感じー!!」
「ピカ〇ュウの十万ボルトは強いな」
おい、犬。名セリフに突っ込まんでいい。