第1話 春の始まり
ド下手な文章ですけどよければ、見てください。
俺は今、地獄を見ている。これは比喩ではなく、地獄以外に当てはまる言葉があるとすれば「死」だろう。それ以外は見つからない。広辞苑にも載ってはいないだろう。
俺は幾ら全国10位と学力を持っている人間でも非力な人間なんだ。大切な2人が戦っていたとしても……。
高校生活が新しく始まり、もう1週間も経ったので普通の授業になった。ただいま、生活で全く必要ない物理の授業である。等速直線運動とか、これから生きていくうえで使う場面が見当たらないのだが……。
まあ、授業なんてこんなもんか。と思い睡眠学習を始める。どうせなら、人が眠りに落ちるまでの時間を計測して欲しい。
しかし、この真言高校ではそんな計測は屁でもない。
ここでは、あらゆることが次世代なのである。と、言っても風景は普通の高校と変わりはない。食堂や、自販機、走り回っている生徒などどこの学校でも見れる光景である。しかし、決定的に違うことはやはり次世代なことなのである。正論を述べただけなのになぜ矛盾が生じたのかさっぱりわからないのだが、とりあえず言えることは学力がこの真言高校ではもっとも重視されるのだ。
まだ、1年生では参加できないのだが、もう少し経て―――――――――
「佐藤君。起きなさい」
やはり、どの学校でも授業はまじめに受けるべきだな。
物理の授業を受けながら、俺はこの学校に来る前のことを思い出していた。
15年前に生まれた俺は母と父に置いていかれてしまった。俺には親戚がいるらしいがそれが沖縄や、北海道、さらには海外など遠くにいたらしいが病院の人はそんなことわかるわけなく施設に送られた。
俺はそこで何年も暮らしていた。家族ってなんだろうと思ったことは施設にいた時には一度も思ったことはない。なぜなら、この施設こそ俺の家族だと思っていたからだ。いや、思い込むようにしていたのかもしれない。
その施設は割と貧しく、でも俺たちを介護してくれていた。だが、義務教育の中学校生活が終わった後は自分で暮らしていかないといけない。
その施設では一応家事や勉強など色々なスキルを教わったので、一応働いて暮らすこともできるし高校に行く人もいる。
旅立った最初の1年は施設から仕送り程度のお金と旅立つときにお金をもらうが、俺はそんなこと微塵も考えていなくみんなと一緒にいることのことしか考えていなかった。
しかし、俺にも運命の日がやってきたのだった。
中学三年生の秋、みんなが将来のことを悩んでいる時期に俺宛に電話が来た。なにかの懸賞でも当たったのかと思いながら俺は施設の先生から電話を受け取ると、電話の相手は30歳ぐらいの声だった。
「こんにちは、佐藤君」
「あ、ええ。こんにちは」
ん? なんでこの人は俺の名前をしっているんだ?
「ところで、佐藤君。この前受けたテストを覚えてるかな?」
「は、はい。覚えていますけど……」
この前受けたテストというのは全国の中学生が受けるテストのことであり、俺は人よりも何事にも一生懸命するので勉強は成績が良かった。
「なら、話は速い。君はそのテストで全国10位だったんだ」
「え!! そうなんですか?」
「そう。だから、君を真言高校にスカウトしたくてね。どうだろうか?」
シンゲンコウコウ? スカウト?
頭がパニックになってきたのでひとつずつ問題を処理していく。
「えーと、まずシンゲンコウコウ? ってどこにあるんですか?」
と言うと、施設の先生が「電話代われ」とジェスチャーしてきたので
「すいません。ちょっと代わります」
と電話の相手に言って先生に代わろうと受話器を渡そうとしたら、先生に問われた。
「就職か、進学か、猿人に退化するのどれがいい?」
最後のは意味が分からないんだが、先生の目は本気だった。
どうせ決めないといけないらしくでも俺の中には決められない気持ちもあった。
もし決めるんだったらそれは家出ということになる。大切な家族にそんなことはできない。だが、このままいても邪魔なだけかもしれない。なら速く旅立って成長してから親孝行すればいいんじゃないか?
「進学です」
と我ながら威勢の良い声を出したと思う。すると、
「よしわかった」
と、先生はいい、それから電話相手の―――恐らく、真言高校の校長と話している。
これで回想終了となり今になる。結局、真言高校に進みお金は施設からもらっている。
家族のことや、施設のことはあまり言わないことにしている。なんだかどっちの家族も裏切ってしまうような気がするというかなんというか――――――――
「佐藤君。回想しない」
寝るのはともかく、回想してるのがばれる意味が全く分からないし使ってる力が物理とは正反対の先生に加速度を教えてもらっている俺たちって……。




