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大富豪の手札  作者: 超常毎日
5つの巻物とそれを読めるもの
11/16

第10話 lost memory 1

 2vs2は3回戦敗退と言う結果だった。千佳との反省も含め、お互い次は1vs1で修業しよう、という結論になった。

 そして、今日は1vs1の日。俺は順調に決勝戦まで行く。千佳はまあまあの戦績だったらしい。

 俺は、決勝戦を待つため、個室にいた。


 そして、ふと思う。最近は特に。あの人もこの事件に関係しているのではないのかと……。


「輝樹。ごめんね」


 それは、俺が施設に入ってきて約8年後ぐらいだった。



「宜しくお願いします」

 パチパチ。と俺の周りで拍手が起こるのでつられて拍手をする。

「じゃあ……輝樹君。あなたはこの子と一緒にいること。部屋も一緒ね。勿論ベッドは別々」

 先生が俺を指名する。当時は、小学校3年生程度だったのでなんで俺が。って思ったが、彼女の容姿を見てその気は一瞬で変わった。

「か、可愛い……」

 その姿は、小学校3年生程度でも分かるぐらい可愛かった。ショートカットの黒髪にパッチリしている大きめの目。整った顔。すべて可愛かった。

「先生。輝樹がやらないなら僕がやりまーす」

「あなたは、ちゃんと他の子がいるでしょ」

「えー」

「文句言わない」

 こんなに可愛い子と部屋が一緒だなんて嬉しすぎる。先生ありがとう。

「先生。俺がやります」

「輝樹君、良く言いました。では、仲良くやってね」

「はい」


 それが、俺と桜花(おうか)の出会いだった。


「今日から俺と君の部屋になるけど、散らかったままだった……。今かたずけするから待ってて」

「私も手伝うよ?」

「いいよ。全部俺のだし」

「でも、2人でやった方が早いよ?」

「うーむ」

「ね?」

「分かった。じゃあそっちのほう頼むよ」

「うん」

 初めての会話がこれだった。このころから施設で掃除は習っていたから一応できる。

「そう言えば名前聞いてなかったね。俺は佐藤輝樹。君は?」

「私は、藍神桜花(あいがみおうか)。よろしくね」

「ああ、こちらこそ。でも、同じ部屋なら、あだ名考えないとなぁ。俺は輝樹でいいけど」

「じゃあ、私も桜花でいいよ。よろしくね。輝樹」

「こちらこそ。桜花」

「でも、男女部屋って先生も珍しいことしたなぁ」

「他の子たちも私たちみたいに男女じゃないの?」

「あ、うん。他は、男と男・女と女だけど……」

「いやぁーーーー」

「なんで?このタイミングで叫ぶ意味が分からないよ」

 当時、男女が同じ部屋ということが何も分かっていなかった。


 桜花が落ち着きを取り戻し、掃除も順調に終わってきた。

「桜花、そっちはどう?」

「うん。まあまあってところ」

「でも、今その箪笥(たんす)の上から段ボールが落ちそうだけど……」

「へ?きゃぁーーーーーーーー」

「よいしょっと」

 俺は桜花に襲いかかってきた段ボールからの攻撃を受け止める。

「あ、ありがとう」

「平気。平気。平……き。へい……器。兵……器。兵器。兵器」

 思ったより重たかったので兵器で段ボールをどうにかしたかったけど、桜花からこいつ大丈夫か?という目線が当たる。助けてやったのに……。

「私はこの人と一緒の部屋で大丈夫なのかな。先がとても不安になってきたわ……」

 今のはスルーしよう。精神的に立ち直れなくなるので。

「でも、助けてくれた時の輝樹。カッコ良かったよ」

「て、照れるなあ」

「褒め言葉じゃありません」

「じゃあ、なんだったの?」

「の、の、罵った(ののしった)」

「助けた意味は?」

「破壊の世へ」

「変なこと言わないで」

「で、death god」

「よくよく考えると、death godって死神?」

「未知なる世界へ」

 気づいた人もいると思うけど、しりとりになっています。

「まあ、冗談はおいて本当にカッコよかったよ」

「あ、ありがとう」

ゴーンゴーン。6時を告げる鐘の音だ。やっと晩御飯か。さて、いっぱい食べるとするか。

「桜花。この鐘は6時を教えてくれるんだよ」

「6時って何があるの?」

「晩御飯だよ。みんなで食べるんだ」

「みんなで……なの?」

「あ……みんなで食べるの嫌なの?」

「その逆。みんなで食べたいよ」

「じゃあ、行こっか」

「うん」


 桜花との出会いの日は終わりを迎えていた。11時30分を回っていて、もう日付は変わるころだった。 勉強をやめて寝ようとしていたところ、桜花が話しかける。

「今日はありがとう。絶対にこんなに親しい友達ができるとは思ってなかった」

「俺だってこんなかわいい子と暮らせるなんて幸せだよ」

「それでね、輝樹」

「なに?」

「私たち、部屋一緒なのにベッドが別々なのはどうかと思うから、一緒のベッドで寝ない?」

 ドキリ。心臓の鼓動が高速になる。完全に俺は桜花に惚れてしまったらしい。仕草や、目の位置などきになってしょうがない。しかも、惚れた子が一緒のベッドで寝よう。と言っている。こんなこと二度とないチャンスだ。

「でも、いいの?まだ、あって1日しか経ってない男と」

「輝樹はそういうことしない人ってことが今日で分かったから。それに、一人だと恐いし……」

 !反則だ。前半は鈍感ってことだからスルーして、後半は頼りにされているってことに違いない。もう幸せだぁ。

「分かった。でも、桜花が寝るまで俺も寝ない。それに、やましいこともない」

「やっぱり優しい」

「ちげーよ。お前の為じゃねーよ」

 俺ってツンデレキャラではなかったはずだが……。

「ふふふ。面白いね輝樹は」

「お前のために面白くしてるんじゃないからね」

 なんで、ツンデレしなくちゃならないんだよ……。

 コーンコーン。これは12時を告げる鐘の音だ。

「さて、桜花。そろそろ寝よう」

「うん。輝樹」

 2人で1つのベッドに入る。…………会話がない。めっちゃ静かだ。これはまずい。なにか話題……話題…………!そうだ。

「桜花って他の子より胸大きいよね」

 何度も言う。当時は小学校3年生だった……。小学生の好きな女の子に意地悪するみたいなやつ?あれで良い感じのところまで行こうと思っていた。でも、帰ってきたのは……

「やはり、もう少し様子見てからのほうが良かったかもしれないわ……」

 と、冷たい言葉。泣きたいです。

「でも、輝樹は何か分けあってこんな変態言葉を喋ったのよね?」

「そこを突かれると痛い……」

「まあ、隠し事を探るのはあまりいい気分ではないからやめるわ」

「ありがとう。じゃあ、桜花が同じような状況になった時、1回だけ探らないことを誓うよ」

「1回かぁ……」

「なんなら2回でもいいけど」

「いや、お互い1回ずつだから別にいいわ」

「そう……」

「さあ、そろそろ寝ましょう。もう夜遅いし」

「そうだね」

 そうやって、俺は眠りに落ちていった。


 その日は3時に目が覚めた。誰かが話している声で。誰だろう……。まだ眠いけど、一応確認する必要はある。

「だから、ボス。継承者は輝樹で良いと思います。え?でも…………分かりました。では、3年見極めるということで。報告は――――――――――」

「おはよう。桜花。速いね起きるの」

「!―――すいませんボス。切ります」

「あ、電話中だった?ごめん。気づかなくて」

「いいけど、輝樹こそ速いわね」

「いつもはもっと遅いよ。けど、なんで携帯電話持ってるの?」

「!こ、これは携帯電話じゃなくて……新しい武器と言うかバリアというか」

「?良く分からないや。まあ、もう一睡するよ」

「うん。おやすみ」



 俺と桜花との出会いは幸せで始まるが、これからの生活はやはり幸せばかりではなかった……。



 本編から少し離れ、回想編で回想をしています。何とも分かりにくい設定でございますが、ここでこの話の中間地点というかなんというか……


あと、この小説に対する感想是非ください。お願いします。



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