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第44話 ゴトーは2度死ぬ (ゴトー編11)


 (ゴトー編11)


平原。

ゴトーは歩きながら、ノートPCを宙に浮かせキーボードを叩く。

それを覗くシーナとエルメダ。


「「ぴーしー」とは摩訶不思議な物じゃのう。それでメモも書けるとは信じられんわ」


「指の動きも速くて怪しいの。その手の動き、ゴトーはテクニシャンとみたの」


わらしがあまり変なことを言うでない。エルはマセ過ぎじゃろ」


「ゴトーのフィンガーテクニックは女殺し、」


<パコーン>


「いたいの…」


「で、ゴトーは何をしておるのじゃ?」


「最近、存在感が薄れているからな」


「最近そればかり気にしておるのう。何に対して気にするんかは謎じゃが、朝のネコパンひとつとっても十分濃いじゃろが」


「ゴトーは無敵で美味しい物を作れる人なの。最強で全然薄くないの」


「最強異世界無双や異世界グルメ系は地球では飽和状態が続いている。この程度の話ではもう使い古された話し、読者は納得しない。

もう一段階驚愕の展開、面白エピソードを捻らなければ読者は離れていくことだろう」


「ワッチらはゴトーと出会って、いままでにない驚愕の連続なんじゃがな」


「「どくしゃっ」て、なんなの?」


「書籍やウェブコンテンツを読む人たちだ。今の読者は目が肥えている。他と差別化を図るためにノンフィクション異世界冒険譚の小説を描こうと思う。

新しい形態の読み物として、今まで撮り溜めた映像を並行してXや、○ouTubeに随時載せていく」


「……物語を書くんか?」


「冒頭はシーナとの出会いから始まり、俺が転移させられ神との回想。

ゴブリン・キングとの死闘。シューティング・スターとの出会い。

紅龍との闘い。

これらを各種投稿サイトに載せる予定だ。その掲載の準備を今からしておく。

軌道に乗れば書籍化、コミカライズと続きアニメ化となるだろう」


「アニメ、になる?」


「「○ピュタ」のように、俺たちの冒険譚がタブレットで観られるようになる」


「何じゃと!? ワッチが「しーた」のようになるじゃと!」


「淑やかな「しーた」と「シーナ」は真逆なの。勘違いにも程があるの」


「そういえば、「しーた」と「シーナ」。語感が似ておるのう…」


「アニメ化が成功すれば映像化も視野、○etflix等から映画、ドラマの打診が舞い込むことだろう」


「エイガ言うたら、昨日見た「○ード・オブ・ザ・リング」のようにか?」


「あれは興奮したの! 早く続きの「ふたつのとう」を見せるの!」


「そのエイガとやらになったら、舞台の物語のようにワッチが演じるんか?」


「本人自体映画に出演することはない。映画の配役は俳優で別人が演じるからな」


「何でじゃい!本物がここにおろう!」


「映画と現実は違う。スマホの動画で撮ったドキュメンタリーという形で映像は残るからそれで了承してもらうしかない。今は投稿に備えて動画の撮影。小説を書き溜め地球に戻ったらネットに掲載だ。

それにともないキャラクターデザイン、アバターも完成した。

これがシーナを模したキャラクター・デザインだ」


「あー、言ってたの、「ブイチュバ」の使う絵か」


――

2枚の画像。

ヴァンパイアー シーナ

金髪幼女 赤い瞳 牙

――


「おーー!「ミック」や「ぺっこら」に出てきた女子 《おなご》たちのようじゃ!」


「スマホの女の子と同じ、背が縮んでいるの」


「これは「でふぉるめ」いうやつで対象を変形、歪曲して表現してるんじゃ。

ワッチもチキュウの事が分かってきたのう。チキュウ通なのじゃ」


「ゴトー、我のはないの?」


――

10枚の角度を変えたエルメダの姿の画像。

全てケモ耳尻尾を強調。

――


「凄いの!」


「…ワッチのは2つだがメッチャあるの。これは耳や尻尾の差か?」


孤児の獣人たちのアバター。


「え? 全員分書いたんか?」


「俺は地球ではママ(絵師)だったからな、当然だ」


「ゴトー、この我の頭に乗っかってるのはなんなの?」


頭の天井から矢が飛び出ている。


「なんか矢みたいんが脳天から1本生えておるの」


「見た目通りの矢だ」


「なして矢があるんじゃ? 危なすぎじゃろ」


「遊び心とオマージュだ。マジカル冥土マイのメイドのミイが、ケモ耳の付け耳をしていたのは覚えているか?」


「あー、あったのう」


ゴトーはスマホの画像を見せる。


「この娘は「東北○りたん」だ」


「きりたん? なんぞこれ?筒みたいな物を背負っておるぞ」


「これはタンポ(キリタンポ)だ」


「なんと!? これが、たんぽんとな? 

じゃが、なして喰いもんを背負っておるのじゃ?」


「タンポは日持ちや腹持ちも良く、非常食としても有能だ」


「ほう、「ぺっこら」と同じか。それは旅のお供に重宝しそうじゃの」


「頭に2本包丁があるの」


「これがキリタンの個性だ」


「個性……?」


「ナマハゲの面があるだろう?」


「ゴトーがテオタビで買ったチキュウの面じゃな」


「ナマハゲの武器は包丁だ」


「そうなんか?」


「キリタンポとナマハゲをイメージ。それらを押し出し擬人化したのが「キリタン」ということだ。

この世界のエルメダの個性として包丁ではなく矢を選んだ。エルメダは弓矢が得意だからな」


ゴトーは「付け矢」を「空間収納」から取り出す。

細いヘッドハンドの上部分には矢じりが上を向いている。


「これはエルメダ専用の「付け矢」のアイテム。黒髪幼女で頭に矢。これで瞬時にエルメダと識別できるだろう」


「「………」」


「これを付けさせる理由は、エルと判別させるためなんか?」


「それだけではない。エルメダのパーソナリティとして確立させたい。いずれ人気が出たなら「VTuber」として「エルタン」として擬人化デビューも想定している」


「ゴ、ゴトーがこれを付けろと言うなら、つ、付けるの……」


「メッチャ嫌がってないか?」


エルメダは付け矢を頭に装着。


「それと、この矢は武器としても実用的だ。[スイスイ] 」


「空間収納」からスイスイが現れる。

いきなり呼び出され、戸惑う人型のスイスイ。


『え? え?』


「スライムの攻撃は対象を窒息死させるために頭を狙う。

スイスイ、元のスライムに戻ってエルメダを攻撃してみろ」


『え……?』


「ゴトーの言いたいことは理解したの。スイスイ、遠慮なく掛かって来るの」


『…よく分からないが、あるじの命令。いかせてもらうぜ!』


スイスイは不定形のスライムの姿に戻り、

上下左右自在に動きエルメダを翻弄する。


「スライムってこんな動きができるんか? 最弱な魔物じゃないんか……」


「俺の使役でLVが上がっているからな」


死角の斜め後ろから、スイスイはエルメダの頭を狙う。


「甘いの!」


向かってくる方向を察知して、タイミングを合わせて頭の矢じりをスイスイに向ける。


<グサッ> 『ギャッ』


「あーー! 矢がスイスイにぶっ刺さった!!」


貫通した矢じり。

スイスイは地面へと、グッタリと意識を失う。


「スイスーイ!!」


「これは初見殺しの武器。このようにスライムが襲って来ても万全な体制だ」


「普通のスライムは人を襲わんのじゃが……」


「魔虫や魔物にも対応できる」


「エルぐらいの腕ならそんなん目を瞑っても倒せるじゃろ、

てか!このままじゃスイスイ死んでまうわ!」


ゴトーはスイスイの矢を引き抜き「ヒール」を掛ける。

傷口が塞がれていく。


『ん、んんー……あれ? お母さん、は?』


「しっかりせい!」

<ぺシペシぺシ>

両頬を叩く。


『神の白い部屋で、お母さんが……迎えに……』


「おいおい、危うくスイスイが天に召されるとこじゃったぞい」


「心配するなスイスイ。もう大丈夫だ」


「大丈夫て、けしかけたんはゴトーじゃろが」


スイスイは人型へと変形、立ち上がる。


『俺様はご主人の役に立てたのか?』


「役に立ったと、思うぞ…」


『やったー^^』


「まあ、本人がええなら、ええが……」


ゴトーは「空間収納」から「付け杖」を取り出す。

細いヘッドハンドの上部分には杖。

それをシーナに手渡す。


「これは……?」


「シーナ専用の「付け杖」だ」


「………」


「頭に付けてみろ」


「……… <カポッ> 」


シーナは頭に装着。


「で、これで何させるんじゃ? ワッチは魔法に杖など使わんが」


「付け矢にインスパイアされ作ったオマケだ。これで頭に杖はシーナと認識されるだろう」


「……この杖の効用は?」


「特にない」


「…ない?」


「ああ」


「こんなん付けさせて、炎も氷も出んじゃと?」


「しいて言えば飾りだ」


「いるかこんなもん!」


⊂(#・ω・)

 /   ノ∪

 し―-J |l| |

      T  ペシッ



「せっかくゴトーが作ったの!シーナも付けるべきなの!」


「エルも無理して付けんくてもええんじゃぞ」


「無理は、してないの……」


「メッチャ顔が引きつっておるがな」


エルメダはシーナの足元の付け杖を拾う。


「危なっ!」


シーナの脚に、頭の矢じりが当たりそうになる。


「おい、そりゃもう油断させての攻撃じゃぞい」


「はい、付けるの」


「ええて」


拒否するシーナ。


「いいからなの!」


「こんなダサいの付けとうないわい」


「我には仲間が必要なの!」


「そんなにイヤなら断りゃええじゃろが」


エルメダは無理矢理シーナに付け杖を押し付ける。


「じゃあスイスイにやるわ。ほれっ、主の作ったモノじゃ。お前さんにやるわ」


スイスイの頭に付け杖を乗せる。


「やったー!あるじの手作りだー^^」


踊って喜ぶスイスイ。


「魔物と仲間と思われるのは心外なの」


<ガーン> ショックのスイスイ。


「それにゴトーはワッチが嫌がるんを見越して作ったん思うぞ。ボケてワッチがハリセンでツッコむと同じゃ。訳分からんへきじゃが、叩かれる前提の前ぶりなのじゃ」


「じゃあ、我のコレも?」


「エルのは本気じゃろ。姿絵も本気にも描いておるし」


「………」


「さすが相棒だな。俺の心理を理解している」


「チキュウ人の思考はよう分からんわ……」


「まあ、アレコレしとるが、何するにもゴトーにチキュウに帰った時なんじゃろ?」


「そうだ。小説の投稿もリアルタイムで進行させたいが、アップや掲載は魔王討伐後、地球での帰還となる」


「……ゴトーは、地球に帰ったら、お別れなの?

もう会えなくなるの?……そんなのイヤなの……」


「・・・・・」


「帰っちゃイヤなの!」


エルメダはゴトーの胸に飛びつく。

<グサッ>

「ゥッ!」


「あーー! ゴトーの心の臓に矢が!」


「あ……」


ゴトーは倒れる。


「ゴトー!」


「あるじーー!」


「ごめんなの!ごめんなの!」


「てめー、この小娘! 何あるじに攻撃してるんだ!」


「あ、あ、ぁ、ぁ……」


シーナはゴトーが息をしてるか確認をして、手首の脈を確認する。


「こりゃ、死んどるわ……」


――

44 ゴトーは2度死ぬ (ゴトー編11) 終わり    (94)

45 ○スプレイ機  (ゴトー編12)         (95)

――


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