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第43話 ハンバーグ実食 (ゴトー編10)   


 (ゴトー編10)


料理人、子供らと獣の解体を済ませた後、テーブルのまな板に肉の塊が置かれている。


横には調味料。

卵。

黒パンを砕いたパン粉。

森キャベツの千切。

タマネギのみじん切りが大量に大鍋に盛られている。


皆が注目する中、ゴトーは手作りの「スライサー装置」を「空間収納」から取り出す。


初めて見る代物に全員が驚く。

料理人2人が問う。


「ゴトーさま、これは一体何なのでしょう?」

「どのような使い方を?」


「この中に肉を入れハンバーグの種を作る手動式のスライサー、フードプロセッサーだ」


「ふーど、ぷろせっさ……」

「この中にあるのは、刃ですね」


「中に平刃と波刃の2種の形状の刃を取り付け、この上の取っ手のハンドルを回すと肉がミンチになる。

切断刃を変えることで、きざむ、まぜる、こねる。野菜のみじん切りも可能だ」


「おーー!」

「なんという、画期的な!」


感心する料理人。


ゴトーは肉の塊を装置の中に入れてハンドルを回す。

肉が崩れミンチになっていく。


ミンチになったところで空の大鍋に移し、刻んでおいたタマネギ、生卵、黒パンのパン粉を投入。


胡椒を少々。

塩を手に取り、腕を上げ、

塩を肘に当ててパラパラと鍋の中に入れる。


――

参照動画


○ouTube しおのちから

――


シーナが問う。

「ゴトーよ…」

「何だ」


「なして塩だけ、そげなことするんじゃ?」


「地球ではこれがポピュラーだからな」


「そうなんか?」


「料理は食すだけではない。作る過程でも魅せ、楽しませなければならない」


「…じゃけど鍋の周りに塩がこぼれておるが。ほれ、料理人らも勿体なさそうに見ておるが」


「・・・・・」


ゴトーは食材を手で掻き、均等に混ぜ合わせる。


「せっかくの肉をグチャ混ぜで粘土みたいになっておるが、これ喰えるんか?」


「それは杞憂だな。今までにない触感を味あわせてやろう。

これぐらいでいいだろう。これがハンバーグの種だ」


刻んだタマネギ、掻き混ぜた肉を手でボール状にして、

種を左右の手の平にキャッチボールのように交互に打ちつける。


「食いもんで遊ぶんは感心せんの」


「空気抜きだ。これをしないと上手く焼き上がらない。種の中の空気が加熱によって膨張し、空洞ができて形がくずれてしまう原因となる」


料理人がゴトーの言葉をメモをしている。


楕円形にして、種の真ん中を窪ませる。


「なして凹ませるんじゃ?」


「このまま焼くと膨らんでしまうからな。これをする事によって焼き上がりは平面になり、生焼け防止、美味しく仕上がる」


ゴトーは5つのフード・プロセッサーを出し、料理人と子供たちにハンバーグの種作りの工程、食材、調味料の分量を教え込む。

テーブルには、次々と種ができていく。


人型変形のスライムのスイスイがやってくる。

『よし、ここは、はんばーぐ作りを手伝って、役に立つというアピールをしないとな。あるじ、任せてくれ!』


「いや、スイスイのネバネバ粘着はハンバーグ、いや料理調理全体には不向きだ」


<ガーン>


「前に教えた傘回しの芸でも練習していろ」


<シュン>


スイスイは傘を開き、回しながら升を傘の上に上げ練習を始める。

皆は料理の種作りで、見物人は0人。



地面には大きな石で囲った巨大な竈。

スキルで作成した特製の大きなフライパンを置き、

フライパンに煙が出たところで、獣の脂身を敷く。


「お、これは、スキヤキの時したやつじゃ」

「これは期待大なの!」


「しかし、このグチャグチャの塊じゃぞ。スキヤキのように絶品絶賛とはいかんじゃろうな」


「ゴトーの料理に間違いはないの。我の夫は意外性な男なの!」


フライパンの上に完成した種を次々と乗せる。

中火で焼き目が付いたところで、ヘラでひっくり返し、弱火にして蓋をして蒸す。

両面が焼きが終わり、全体に軽く焦げ目が付き、皿の上に乗せる。


「これが、ハンバーグ、か……」


フライパンの油を小さいフライパンに取り寄せ、

あらかじめ作っておいたソースを入れて火にかける。


「これはなんじゃ?」


「トマト、醤油、ソース、砂糖、赤ワインを混ぜたハンバーグのソースだ」


「酒じゃと? タレごときにか!?」


「俺の料理に妥協はない。ある物手に入る物は全て惜しみなく利用する」


「肉より高くつくんじゃないんか? バッファロー肉も街では高級品なんじゃが」


煮たったソースをハンバーグの上に掛ける。


「これで完成だ。小さい子供から食べろ。

「いただきますマンモス」は忘れないように」


執事のアルバートが慌てる。


「いえ、ご主人様から食べてもらわないと! 後は料理人に作らせます」


「ここでは順番は関係ない。差別も身分もなし全て平等。いや、食に関しては子供たちを優先させる」


「しかし……」


「今後は料理は料理人に任せるが、今日の俺はフライパン奉行だ」


「フライパン、ぶぎょう……?」


「熱々の物を食べさせないと評価が分かれる。早く子供たちを着席させ食べさせろ」


「……分かりました」


★★


シーナはハンバーグを口にする。


「なんじゃこれは! 肉が柔らかくなって、噛むと肉汁が溢れてくるわ!このタレも絶品なのじゃ」


「食の革命児なの!」


使用人、子供たちもハンバーグの味に驚き、笑顔で食す。


「あつっ、おいしい!」

「こんなにおいしいの、生まれてはじめて」

「いくらでも食べられるよ!」


「ご主人様の知識、さすがの転移人であります」

「筆舌に尽くしがたいです、この味は」

「濃厚な旨味が詰まっている!」


リュウノスケ、従魔たちもガツガツ食べている。

リ『キュピー♪』

ト『うまうま』

ケ『『『うめー!』』』

ス『さすが俺さまのあるじ!』


ゴトーは次々とハンバーグを仕上げて、おかわりを皿に載せていく。

笑顔で喜ぶ子供たち。


「サラダも残さず食べるんだ」


簡易マヨネーズを森キャベツの千切りに掛ける。


「このまよねーず?黄色いタレおいしい!」

「いくらでも食べられるよ」

「これがあるとないと、ぜんぜん違うよな!」


「これが、マヨネーズ、なんか……」

「ドレッシング、と言ってましたね」


「これ掛けりゃ生の野菜も、どんどんいけるのう」

「本当に今までにない驚きの味です」


「のう、アルバートよ」

「何でしょう?」


「このハンバーグ、店で出すならなんぼくらいする?」


「これほどのモノとなると銀貨数枚(数万円)はするかと。これはもう平民では一生味あえない王宮料理レベルでしょう。いえ、王宮でもこの味は未知ではないでしょうか。マヨネーズも、然り」


「そうじゃよな…」


昼食が終わる。

子供たちは満面の笑み。

後片付、食器類を洗い出す。


「肉の塊をグシャグシャにした時は、気が狂ったんかと思うたが、見た目と反しおそろしいくらい美味かったの…」


「ゴトーの料理には今後も期待大なの」


「これでも自己評価60%の味て…チキュウのハンバーグ、どんぐらい美味いんじゃ?」


「別の種類の獣で合い挽きさせると、さらに味が変化するとのこと、こんな発想、私どもにははありません」


「チキュウの知識、侮れないのう」


関心する料理人にゴトーはメモを渡す。


「チーズが中に入ったアレンジだ。それとソースのバリエーションを数バージョンをメモにしておいた」


「中にチーズが入ってるじゃと!」


「チーズInハンバーグだ」


「絶対美味いやつなの!」


「しかしチーズか。肉以上に手に入らん喰い物じゃの」


「他領地には、大地の草を永遠に食む魔山羊がいるそうだな。

それを捕まえることができたら牛乳やチーズ、バター作りが捗る。

家畜場を作り、飼育するのも手だ」


「魔獣を飼育……?

さすがに、いや、ゴトーじゃからな。可能にするんじゃろうな……」


――

43 ハンバーグ実食 (ゴトー編10) (93)

44 ゴトーは2度死ぬ (ゴトー編11)(94)

――

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