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第39話 食糧庫 (ゴトー編7)


  (ゴトー編7)


朝。


「ムニャムニャ、んんー、」


ベットの中でシーナが目覚め、横ではエルメダがスヤスヤと眠っている。


昨日はまさかスイカをクリアしてしまうとは、侮れんはこの小娘は……。


ドア付近を見ると、ゴトーは白目で立ちながら眠っている。


一応、エルがおるでパンツ一丁ではないな。


ゴトーが目覚める。


「眠れたんか?」

「ああ」


「借りたネコちゃんパンツはジャストフィットして手放せない。引き続き借りたままでいいか?」


「…それはもうゴトーのもんじゃ。好きに使えばええ。

好き言うても常識の囲内じゃぞ。変な事には使うなよ」


「了解だ」


「あれから盗賊はきたんか?」


「襲撃は5陣まで、計21人来た」


「メッチャ来たのう」


「途切れそうになかったから、この部屋には「障壁」を掛けて元凶を辿った」


「盗賊の集団でもおったか?」


「「暁の稲妻団」という盗賊団を全滅させた」


「ほう、この地域で暴れとる大きな盗賊らじゃな」


「その後は村長の身内や、村人が襲い掛かってきた」


「村ぐるみか。困窮した村に有りがちじゃ。それでどうしたのじゃ?」


「全て片付けた」


「村の長もか?」


「ああ」


「腐っても村の長、証拠を残したらマズイことになるぞい」


「憂いはない。盗賊と結託していたこの宿の従業員共々、全員生きたままカスピス秘境に放ってきた」


「そうか、まあ自業自得じゃな。

村で燻ってる盗賊など、喰われ骨も残らんじゃろな」


「不要になった村長宅は、有効活用させてもらうことにした」


「……ん? 村長、宅?」


「村長に加担しなかった村人、奴隷、扱き使われていた使用人からは感謝の言葉を貰い、俺たちのことはこの村では見なかった、現れなかったことにしてくれる」


「いや、村長宅ってなんなんじゃい?」



村の外。

ゴトーについてシーナとエルメダは広場へと。


「[家よ、出ろ]」 <ボンッ!>


目の前に大きな屋敷(庭、小屋付き)が現れる。


「うおっ!」


「前の廃墟の住居から皆にはここに移ってもらった」


「………」


大きな屋敷の周りは草木花が咲く庭。

離れの建物。

小屋(家畜場)。

後方には廃墟だった家屋。


「のう、庭や家畜場もあるんじゃが、これも「空間収納」に取り込めるんか?」


「ああ、取り込めた」


「できたんか…」


「すごいの! ゴトーは稀代の魔術師なの。そこに痺れるの、憧れるの」


「大賢者でもこんなデタラメなこと無理思うぞ……」


屋敷の中から見知らぬ男女が出てきて、初老の男が近づきゴトーに話し掛ける。


「ご主人様、空間収納内でも、何も問題はございませんでした」


「うむ」


「ゴ、ゴトーよ、誰じゃ?」


「アルバートだ。村長の使用人は今回の件で行き場をなくし雇い入れた。

今日から俺のマネージャー (執事)となる。

その他の使用人、料理人を従業員として雇用、

他に村の孤児の子も引き取り、これからは一緒の同行となる」


「………」


「朝食のご用意ができております」



食事後。

食事を終えた子供たちはタブレットで「○ウシカ」のアニメを観ている。


人型スイスイは子供たちの気を引こうと、ジャグラーをしているが周りに誰も寄って来ず落胆。

トラキチとケルローが慰める。


ゴトーたちは屋敷を出て、アルバートの案内で貯蔵庫に向かう。


「朝飯はなかなかな食いでじゃったの」


「及第点なの。けどゴトーの料理の方が美味しいの」


「エルメダ様、料理人には精進をと伝えておきます」


「ゴトーから教わって尽力するの」


「おい、エル、さすがに失礼な言いようじゃろ」


「いえ、アルフレッタ様。転移人のご主人様の料理は、私共も非常に興味を抱いております」


ゴトーは「空間収納」からレシピの紙を取り出しアルバートに渡す。


「いずれ、料理の仕方を実習形式でレクチャーする」


「有難うございます。料理人に伝えておきます」


レシピ表は図解付き。

――

すき焼き。

卵焼き。

茶碗蒸し。

ハンバーグ。

ミルフィーユ。

ローストビーフ。

ホットケーキ。

バウンドケーキ。

  ・

  ・

――


「すき焼きの味は忘れられないの!」

「知らん、名もあるの……」


食糧庫内。


缶詰類。

各種香辛料。

野菜類。

果物類。

馬鈴薯。

乾麺。

干し野菜。

塩漬けの肉。

塩漬け野菜。

ドライフルーツ。

瓶ジャム。

ワイン。

氷式冷蔵箱には肉類、魚類。


「この村にしては、朝飯が豪華なのも頷けたわ。村長とやらかなりの食通じゃったらしいの」


「支配層並みの食糧庫なの」


「こちらには小麦、米が置かれております」


大量の大袋が積まれている。


「食材や調味料が豊富だな。これなら料理のレパートリーがいくつか追加されるな」


「ここにあるモノでチキュウの料理が増えるんか?」


「調理師の免許がある料理人の俺に死角はない。

手持ちのある素材での料理、創作料理はお手のものだ」


「おー!」


「一時期、サバイバル料理系としてチャンネルを持っていた。

この世界なら忌避感はないが、爬虫類などのグロテスクな食べ物は万人向けではなく、「○ouTube」の規約違反に引っかかり、アカウントがBANされた」


「「ばん」って、なんなの?」


「ゴトーにしか分からんことじゃ。

しかしアルバートよ、この量、年貢は納めてたんか? 着服せんとこんなになかろう?」


「村長は役人には虚偽の報告。私腹を肥やし、それに違法の盗賊を雇っていました。

村人達の配給も最低限。村長家族、身内、悪人共の為の食料でした」


「善良な村人もええ迷惑じゃな…」


米袋の中身を確認するゴトー。


「赤米か・・・」


「ワッチはあんまり米は好かんのう。高い割りに美味いと思わんし」


「赤米は野生種に近いものだからな。この米は俺も食指は動かない」


「米が喰いたい言うとったじゃろ」


「戦国時代ならいざ知らず、現代人は白米でなければな」


「白い米? そういやソントレー国には白いのがあったかもじゃ」


「白はかなりの高級品扱いと聞いておりますね」


「白米が存在するのなら、この米は不要だな」


「ゴトーでも料理できんのか?」


「ごまかしのきくパエリヤや炒飯か・・・。それでも俺の求める味とは程遠い」


「チャーハンか! あのラーメンの動画の!」


「赤米は白米と比較して食物繊維約、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ビタミンB1に優れている。

だがデメリットとしては固く消化が悪い。見た目も悪く、食欲が刺激されず、味とともに美食家の俺には不要なもの」


「びたみんびーとか、ゴトーの言ってることが分からないの」


「ワッチも分からん。ゴトーは健康重視で物事を考えておるのじゃ」


「キリタンポ鍋や、ダマコ鍋という手があるか」


「「ユチューブ」でそんなんあったの。小さい鍋で喰らうやつが。

ゴトー、これはキリタンポンやダマッコを作るしかないのじゃ!」


「初タンポは新米の白米で食べるのがお約束だが、いずれ試してみるか」


「その動画は見たことないの」


「後で見るがええ。ゴトーが喰うんじゃ、不味いわけがないわ」


「見るのも食べるのも楽しみなの!」


「10袋ほど残して、残りは村に分けてやろう」


「50はあるぞ、ええんか?」


「問題ない」


村の防護柵前。

村の入り口に大袋を積む。


「我らの救世主様が食料を分けてくれるそうじゃ! 米と小麦粉を!」


「「「「おーーー!」」」」


「食料の少ない飢えた村人に与えるのは当然のことだ」


ゴトーの言葉に喜ぶ痩せ細った村人たち。

空間収納から魔獣の屍を10頭出す。


「こ、これは、デビル・バッファロー!」

「貴族でなければ口にできない高級肉!」


「肉も食って力をつけることだ」


「有難うございますだ」

「聖人さまじゃあ!」

「あなたが神か!?」


「後はこの村を再建して発展させていけ」


「「「「分かりました!」」」」



「小麦までくれてやるとは大奮発じゃのう」


「持て余すよりはいい。上質の小麦粉があるなら俺はそちらを手に入れる。質に妥協はするつもりはない」


「ゴトーは気前がいいの。ナイスなガイなの」


「なんか小狡い悪徳商会、権力を振りかざす貴族から、いろんなモノをせしめる未来がみえてきたの……」


「ゴトーの言うイベントでありそうなの」


「………」


――

39 食糧庫 (ゴトー編7) 終わり  (89)

40 スイスイの悩み (ゴトー編8)  (90)


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