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第3話 異世界の夜の会話

異世界の夜 (初日)

――

『異世界召喚物語』

『異世界召喚のお話』

『異世界ノンフィクション』

『異世界ライフヒストリー』

『異世界に召喚されたので魔王討伐する』

『異世界に召喚されたので魔王討伐するよー』

『イセショー』

『イセショー・チャッティング』

『イセショー・アドベンチャー』

『イセアド』

『another world make a story』

『テラウスにイセショーされたので魔王討伐する』

『テラウスにイセショーされたのでイセアド、イセノンする。』

『「こんなのもうオープンエアーの世界だよね」「いやいや、目的忘れんな」「魔王討伐?それもうオマケでしょ」「おい!」』

――


「兄よ、上記から題名を決めたいと思うのだが」


「……題名って、なに?」


「アタシたち冒険譚の」


「どれもダサくないか」


「もう、これ以上のは思いつかないんだよね」


「お前はネーミングとか、こういうセンス全然ないよな。

魔王討伐するよー、って何だよ」


「アタシ自身、センスがないと微塵も思ってないんだけど」


「小学生の頃のペットのポン吉(シェパード犬)。散歩のとき名前を聞かれて恥ずかしかったんだが」


「ポン助の方がよかった?」


「どっちもねーよ」


「討伐するよー。語尾を伸ばすことで、題名=アタシ自身と印象付かない?」


「オマエはこれが有りと思ってるのか?」


「ないね」


「この最後のセリフのやつはなんだよ? 題名じゃないだろう」


「会話形式の題名。まだ誰もこの手は使ってない。たぶん」


「正直、ないな」


「うん、ないね」


「イセショーって、異世界召喚の略か?」


「さすが我が兄、分かってくれると信じてたよ」


「中二的だよな、恥ずかしくないのか?」


「アタシの頭は中二で止まってるからね」


「スッキリしてるはしてるんだが、インパクトがあるかと言われれば、ないよな」


「そうなんだよ、初見は題名で全てが決まるからねー」


「これ以外はないのか?」


「粗筋のような題名もあるけど長いのはちょっとね。できれば短くてシンプルなのがいいんだよ」


「『イセショー ・チャッティング』、『another world make a story』、これは?」


「なんか、意識高い系にみられない?」


「オマエ、超意識高い系だろう」


「兄はアタシを承認欲求が強く、自身を過剰に演出、空回りする痛い女と認識しているのか?」


「違うのか」


「違わないよ。そこに「おもしれー女」も付け加えてくれないと。

それで題名の方は?」


「『異世界ライフヒストリー』は?」


「アタシ的にはアリなんだけど、王道過ぎるというか、弱くない?」


「まあ、ひと昔感があるし弱いっちゃ弱いよな」


「他作品の魅力的な今風の題名には劣るよね。画期的なのが理想的なんだけど、なかなかねー」


「画期的か、一応、イセショー(笑)じゃね?」


「何故に(笑)を付ける?」


「少し組み合わせて、

『イセショー 異世界召喚のお話』、分かりやすくないか?」


「ダサさとシンプルの融合?」


「一応、ダサいって自覚はあるんだな」


「じゃあそれで」


「は? いいのか?」


「いいよ」


「いや、もっと何か考えろよ」


「これ以上題名に関わってる時間がないんだよ! 執筆にも時間を取られるし!」


「なんで逆切れなんだよ…」


「ということで、この作品の題名は、

『イセショー 異世界召喚のお話』に決定となりました」


「まあ、オマエがいいならいいんだが、執筆ってなに?」


――

紹介文

アタシの名前は「一条 希美」 17歳。

この物語の執筆者であり、自称美少女です。

これはリアルに発生した異世界召喚のお話で、

冒険中に書き下ろしているものです。

ジャンルは異世界ファンタジーに属します。

閲覧、よろしくお願いいたします。

――


「紹介文だけど、これぐらいシンプルで良くない?」


「……別に、いいんじゃないか、よく知らんけど。

ところで、この美少女って、誰?」


「アタシだよ! 上段の妹の名が見えないんかい!」


「………」


「けど、冷静に読んでみると、美少女はちょっとお高くとまってる感?」


「まあ、オマエがいいならいいんじゃないか、オマエが」


「自意識過剰はやめとくかー。

「自称美少女です。」から「自称主人公です。」に変えよう」


「変えるんかい」


「キャッチコピーも、もう考えてるんだよ」


「………」


「「投稿サイト掲載経験者による、異世界召喚に巻き込まれたお話」。

どうよ?」


「…どうって、別に、……ん?」


「ん?」


「これ、題名でいいんじゃないか?」


「………」


「まあ、人は選ぶだろうが、けっこう目につく感じだし、頭に「イセショー」付けても有りか? それほどダサさ、感じなくないか」


『「イセショー」投稿サイト掲載経験者による、異世界召喚に巻き込まれたお話。』


「!!!」


「ちょっと長くなるがな」


「なるほど、本題は「イセショー」。副題の方に興味がそそって、本題のダサさが中和されてる」


「だろ」


「一考の余地あり、だ」


「薄々気付いていたが、オレらのこの異世界冒険、小説に? 投稿?」


「うん」


「ノゾミが前に投稿したやつ、苦笑いしか出なかったんだが」


「あれは昔々のアタシだ。

人は日々進化してるんだよ。

価値観のアップデートをしてるんだよ。

日ごとイノベーションしてるんだよ」


「じゃあ、前のよりマシになって読めるということか」


「いや、一生懸命タイプしてるけど、文章の成長が見受けられない。同じか、逆に退化してるわ」


「別に無理に書いて載せなくてもいいだろう」


「載せるよ!この2人の会話も載せるよ! 投降者が異世界冒険、冒険中に書き下ろしている、こういうコンセプトだから! 裏話は載せないとね」


「………」


「ここでの会話形式のお話しは1000文字くらいで収めて、

0話目の終わりか2話目の終わりに、異世界の夜としてオマケで載せるつもりだったんだよ。

何故か筆が乗って4500文字超えてしまって、

それだとどっちも10000文字超えるし、

さすがにその長文じゃ読者は誰も読んでくれないんだよ!

急遽、話数の間に無理矢理このお話をネタとして詰め込むんだよ!!」


「なんで怒られてるの、オレ」


「まあそういうことで、ここは第2話の後の、第3話目にすることにします」


「………」


「ホントの始まりは神との対面だけど、出始めは世界観を見せるために、数話を要して冒険中の描写にする。時系列を変えるけど、いい?」


「……そういうパターンの作品、けっこうあるよな。

けど、投稿って、魔王倒して帰ってからだから、何年も先になるんだよな?」


「いつになるか分からないけど、帰ったら投稿と同時に映像も○ouTubeに流すつもりだ。同時進行での公表。この試み、どうよ?」


「それは、なんだか面白そうだな」


「史上初の異世界ノンフィクション小説と、異世界動画。バズりしかみえないね!」


「まあ、大騒ぎになるよな。小説はともかくだが」


「フッフッフッフ。投稿はね、最初連動してることは秘密にしておくんだよ。

動画がバズってる最中、目ざとい読書さんが、

「あれ? これって例の異世界動画のやつじゃね?」と気付く。

議論、注目、ブックマーク増える、これどうよ?」


「……まあ、無関係の第三者だったら、オレでも読むわな」


「でしょ!動画も公開したら地球上で大反響が巻き起こるよねー」


「別の星の映像だからな」


「最初は微妙なやつから公開していくの。角ウサちゃんとか、歩くキノコとか。

この手の動画は賛否両論が巻き起こるの。熱烈的な支持者も集まればアンチも存在。アンチはマウントを取りたいがために偽物、CGと決めつけ、動画の加工や荒を探すのに躍起になるはず」


「ネットにはそういう奴ら一定数いるよな。撮影した機種の特定や、場所の特定班とか」


「プロのクリエーター、専門家がどれだけ解析や分析しても、加工の跡は見つけられない。だって正真正銘本物だもの。

次々と動画は更新。全てが本物と見なされる。

最終的にはアンチもこの映像を本物と容認するしかない。

いやー、楽しみだ。けどリアルタイムで出来ないのが残念過ぎる」


「地球と、ここ。自由に行き来できるならどれだけいいか。リアルタイムで野球が観たいぜ…」


――

 (ピコーン!)

近日中に、ノゾミは地球へ行く法則を発見します!

早速、○ouTubeに動画をアップします。

――


――

 (注)

この(ピコーン!)の擬音は、登場人物たちは認識しておりません。

フラグ場面の時にたまに現れます。

――


「実録、異世界冒険物語。

演出なしのリアリティ!余計な加工なし、CGなし、尺の編集のみ。

異世界動画、全世界に謎映像として旋風を巻き起こすね!」


「ちょっと待て、それってオレの顔が晒されるんじゃね? 今日もメッチャ撮ってたし」


「おいおい、要の主人公の勇者が映らなくてどうする?」


「いやいやいや、勘弁してくれ、冗談じゃない。さすがに顔出しはダメだろ。

それに、さっき自称主人公って自分で言ってなかったか?」


「現代科学の技術を知らないのかい?」


「?」


「モザイクだよ!」


「………」


「人類が生み出した叡智、モザイクで顔を隠すんだよ。それで全て解決だよ!」


「それはそれでイヤなんだが…」


「我が兄も成長したものだ、モザイクはもう卒業かい?

アナログが嫌なら、最新鋭のCG、ディープフェイクで顔だけすげ替えられるのもあるんだよ。これで解決だね!」


「……CGはなしって言ってたよな」


「そんなにイヤならやめよう。これは家族のホームビデオ、ただの家族用の思い出の記録ということで」


「絶対嘘だ。オマエが実行しないわけない」


「初魔物のピックマンを倒した映像、確認したけど格好良かったねー。これは動画が公開されれば、時の人、全世界の女性からモテますぜー」


「………」


「後で映像を観る?」


「……一応、観よう」


「あとちゃんとプロローグの後に、お約束の死亡フラグも入れといたから」


「あまり変なこと考えるなよ。ノゾミが絡むと本当になりそうで恐いわ。

まあ、殺しても、死にそうにはないが」


「うん、死ぬつもりなどサラサラないね」



――

『イセショー 異世界召喚のお話』


『「イセショー」投稿サイト掲載経験者による、異世界召喚に巻き込まれたお話。』

――


「題名はやはり、「投稿サイト経験者」の方が目が引くね。これにしよう。

もしかしたら、途中で題名変わるかもだが、その時はその時で。


ん?待てよ。これどうよ?


『「イセショー」投稿サイト掲載経験者による、異世界召喚に巻き込まれたお話。

異世界でアタシの100やりたいこと。1 異世界無双、2 領地経営、3 グルメ無双。4 孤児院経営、5 お姫様馬車救出、6 使役でモフモフ獣、7 スイーツ普及、

こうやって、100まで続けるの。どうよどうよ、題名として画期的じゃない?』


「……却下で」


「……だね」


「面白いは面白いんだが、長すぎて入りきらないだろう」


「そっか、題名も時数制限があるんだったな、100文字だったかな?」



『「イセショー」投稿サイト掲載経験者による、異世界召喚に巻き込まれたお話。』


引き続きお願いいたします。


――

3 異世界の夜の会話 終わり (53) 

4 遭難者          (54)

                   

――


「よし、〆たところで、そろそろ眠りますか。タケ兄、明日からもよろしくだー。

異世界冒険、執筆、頑張るよ!」


「あとは、題名負けしない文章をノゾミが書くことだな」


「あ、ごめん、それは期待しないで、全然自信ないわ」


「………」



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