第34話 宇宙
温泉地。
温泉から上がりタケルたち、悪魔のルシーは女性陣と合流する。
タケルたちはケモ耳尻尾のフェンリルのフェリンの姿に驚き、
ノゾミはキラキラした目で悪魔のルシーを羨望の目で眺めている。
タケルは瓶のフルーツ牛乳を出し、
紙製の蓋を蓋開けピックで取り、子供らに渡す。
「ほわー、甘ーい」
「おいしいの!」
「おいちい!」
フェリンの子のリーリンも喜んで飲む。
アヤカは2リットルの○ァンタグレープをラッパ飲み。
ルシーはコーヒー牛乳を飲む。
「美味い飲み物っスねー。けど、こっちのフルーツ牛乳の方が好みっス」
ノゾミはルシー、姉妹らの様子をスマホで撮影。
子供同士仲良くなり、キャッキャとはしゃいでいる。
スマホ画面を覗くノゾミにフェリンは、
「ほう、これはフォトの類か。これが地球の現代の科学いうわけじゃな」
「このテラウスにも動画や写真があるんですか?」
「今はないのう」
「今は?」
「コレが(スマホ) 最新の科学ならまだまだ拙く原始的じゃ。仮想空間や電子的な情報技術は地球にはないんか?」
「電脳空間? えっと、過去にこのテラウスで文明が発展していた時代があったとかですか? サイバー空間的な?」
「んー、言うてもいいもんかの?」
「いいと思います。アタシの好奇心が止まりません」
「まあ誰に咎められるでなし、ノゾミならいいじゃろ」
「儂を鑑定してみ」
「[鑑定]。………!」
「3418歳。……なにこのLV!……称号に、聖獣神?」
「儂は「復活」と「転生」のギフトがあるでの。もう数え切れん程転生を繰り返しておる」
「それってもう神の領域では? 聖獣のあとに神がついてますし」
「何ゆえ儂に神の称号があるんかは分からん、謎じゃ。
それに昔は神など腐るほどおった。道端に転がっておる石ころや、草木。動物や魔獣。魔物のスライムでさえ神の名を冠しておった」
「スライムも…」
フェリンは木の影のスライムを捕まえる。
『ピィー キィー』
「スライム神とかユニークですね」
「長い年月で廃れたのか忘却したのか絶滅の一途をたどり、今では神の称号を持っておる種族はごく僅かなようじゃがな」
「地球でも神道という「八百万の神」が。世の中に存在する全ての物に神が宿っているとの考えです。概念の類ですが」
「概念か。特性が視れんかったら、儂らも神とは気付かず、そんなものかもしれんかったのう」
「地球では特性での確認はできません。ボードでの認識、反映されるのは何気に凄い技術ですよね。これひとつとっても地球の科学を凌駕しています」
「そうかもじゃの。他星でもこんな大層なモノは一部らしい」
フェリンはスライムをそっと地面に置き逃がす。
――――
その頃のゴトー。
人型のスライムのスイスイが、
携帯ゲーム機で「○よぷよ○トリス2」を遊んでいる。
シーナ、リュウノスケ、魔獣たちはそれを見学。
「ほらっ、そこに入れるのじゃ!くるっと回すのじゃ!」
上まで積み込みゲームオーバー。
「へったくそなのじゃw」
シーナは嘲笑。
スイスイは怒り。
『うるせー!横でごちゃごちゃ言うからだ!もう1回だもう1回』
「ああ゛っ! 代わりばんこじゃろうが!」
スイスイはリスタートする。
「あ!コイツ、寄こすのじゃ!」
『うるせー、触んなこのロリババア!』
「なんじゃと!」
「やるか!」
「上等じゃ!」
取っ組み合いが始まる。
<ぺシ パシッ ぺシ パシッ ペタン!>
その様子を眺めるゴトー。
最近、スイスイの我が強くなってきたな。
魔法も扱えるようだし、ここは鑑定か。
ゴトーはスイスイの鑑定を始める。
――[鑑定]
◇
【ステータス・ボード】
【名前】 スイスイ(従魔)(名付け 後藤十三)
【性別】 男
【年齢】 226
【種族】 魔族 (スライム)
【ジョブ】 無職
【LV】 92
【HP】 742/742
【MP】 855/855
【攻撃力】 14
【防御力】 774
【魔力】 9
【魔法属性】
『火』『水』『土』『風』『雷』『無』『聖』属性LV1
【スキル】 180
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【ギフト】 51
「変身」
<next page>
【履歴】
ボッチ
→後藤十三の従魔
【称号】
スライム神
【状態】
正常(激怒中)
◇
――LVが92?
確か捕まえた当初はLV0.5だったが。
属性も増えているがLV全体は低いまま、
LVに対してバランスが悪い、ん?
称号の欄に「スライム神」。
――スライム神?
これもなかったはずだが・・・。
ステータスの詳細を調べる。
―スイスイ― アイデンティティ
<魔物 スライム
35億年前に誕生
寿命 3年~900000年
スライム神
ギフト「復活」「転生」の所持 再生を繰り返す
前世の記憶は皆無
「怠慢」「忘却」のスキル所持の為 知性 記憶を喪失
神からの恩寵を賜れば覚醒 前世記憶が蘇える
現在 使役者(後藤十三)からの影響でスキル ギフトの増加
魔力 LVが上昇中>
「恩寵、覚醒。これはフラグか・・・?」
――――
フェリンとノゾミ。
「転生しても前世の記憶がある場合とない場合があるわけですか。この差は大きいですね」
「過去に原罪を犯した者は稀に「怠慢」や「忘却」のマイナス・ギフトが与えられるという。
まあ神など有象無象にゴロゴロとおったわけじゃ。
だからといって特異な存在ではない。
多種族と比べればギフトなど多い方じゃが、仰々しく神を名乗るほど大仰なものではないの。
龍族のような向上心があれば別じゃが」
「神龍(ゲンダルフ神)と聖獣神は、そんなに違うんですか?」
「そこ辺りはの……。少し歴史を語らせてもらうぞ。
何十億年かもう覚えておらんが、この「 K-ランダリア銀河系」の多数の惑星には様々な種族が混在しておった。
数が多くなれば徒党を組み同族、別種族同士の争い、部族、国単位で争うのが世の常。
儂ら聖獣も龍族も過ちを冒し、幾度も絶滅や誕生を繰り返した。
何度目かの文明開化。
科学技術の分野は高みへと昇華。文明は驚くほどのテクノロジーを遂げた。科学の発展により宇宙へと進出。惑星間の行き来をするまでになった。
8億年くらい前かのう?
いきなり魔術を扱えるものが現れおった。
人族、亜人、魔族と、そこから凄まじく研究が続けられ魔術は向上していった。
スキルやギフトも増え続け、ファスト・トラベル(瞬間移動)などを行い、星間同士での交流も盛んになった。
じゃが生き物の性かの?
持て余す力(魔術)など、争いの火種しかならん。
過ちは繰り返され惑星間でも争いを起こし絶滅、再生を繰り返した」
「愚かですね、争いを生むことは」
「地球でもそうなのかのう?」
「人類史も西暦前から現在まで争いには枚挙にいとまがないですね。
創作物での星レベルでの絶滅や誕生などいくらでもありますし」
「どこも変わらんのじゃのう」
「アタシたちが知ってる銀河系とこことの差異を教えてください。
種族の外見や特性。過去に存在していたアンドロイド、サイバネティックス等、それ系のお話し知りたいです。人類と機械の相互関係……、
あ、すみません、脱線するところでした。
お話の続き、お願いします」
「ノゾミは探求心が強いの。
それで2億年くらい前、「アンダラフ」いう神龍が宇宙の自然法則やエネルギーを解明し、時間も空間も次元さえも操る事に成功しおった。
この宇宙はひとつだけではないと知っておるか?」
「はい。転移された時に聞きました。この世界は多元宇宙構造になっていて、無数の別の宇宙も存在していると。
神さまの神龍は「ユニバース・ユニフィケーション・アソシエーション」、通称UUA (宇宙統一協会)、全ての宇宙を管理する組織を作ったと。
肉体から意識を切り離し、精神体を得て不死を会得。
龍族の神龍のアンダラフ神は初代宇宙の神と成りえたと。
生命体の進化いうやつですね。
高次元の生命体として全宇宙の神を名乗り無数の銀河、宇宙を駆け巡った。
UUAなる組織を作り上げ精力的に、星々の誕生や文明や文化の調整など活動を続けていると」
「なんじゃ、全部知っておるではないか」
「ここまでしか知らされていません」
「じゃがその話し、少し改竄しておるぞ。
アンダラフは異形な力を手に入れた。宇宙での活動も精力的に行っておる。じゃがUUAの組織を創り上げたのはアンダラフではない。もっと上の次元じゃな」
「神さまより上?」
「段階的に分け、宇宙文明レベルを定義するなら、
人族、亜人、獣人、魔族の種族レベルを1とする。
儂ら聖獣神、神龍、魔神(魔界王)、
様々な神だった者がレベル2。
レベル3が、高位生命体となった神龍アンダラフいうことじゃ。
アンダラフ以降の代々の神龍が万物の創造主と嘯いておるが、ただ精神体になり星々を管理、宇宙を廻ってるだけじゃ。
レベル4の存在は、
無数の宇宙を創った万物の創造主いう話しじゃ。
当時5代目オンダラフからそのように聞かされておったが、それ以上詳しいことは聞かされんかった。
規制や制限を掛けられていたのかもしれん。
まあよう分からんし、踏み込むつもりも興味もなかったしの。
要約すると、神龍は烏滸がましくも神を名乗った。
じゃがさらにその上の上位生命体、万物の超越した全知全能者としての霊的な存在がおったと。
オンダラフが儂に言うとった。あのお方には逆らえんと。
儂から見れば神龍さえただの下っ端。
ただの活動家の宗教家じゃな、宇宙規模の。
星々の管理、秩序を厳守してる点では評価できるがの」
「壮大な話しです。
神さまさえ超越した高次元な生命体が存在するんですね。
ブラックホールや宇宙の誕生。ニュートリノやダークマター、全ての宇宙の真理、熟知しているんですね。
アタシたち人間には到底理解にも及ばない話です。
なんか、アタシの存在や行動がちっぽけに感じてしまいます」
「別に卑下することもなかろう。生を全う、懸命に生きることに」
「フェリンさんも宇宙文明レベル3まで昇華できたのではありませんか?」
「そんな興味も好奇心もないわ。そんな崇高さとは無縁、儂は俗物的な生き物じゃからの。ノゾミは興味ありそうじゃな」
「そうですね、興味はありますね」
「精神体、なってみるか?」
「え? なれるんですか?」
「やりようはあるぞい。永遠の命を持つレベル3の知的生命体じゃ」
「………」
「肉体は消滅するが、思念体で話すことも、任意で肉体を創り上げること、今のこの姿形を創造して保つこともできるぞい」
「……いやー、いいかな。アタシは兄姉、家族と生活。生涯のパートナーを捕まえ、子を産んで、短いですがそれで一生を終えればいいと思っています」
「それが生命の、永遠不変の真理なんかもしれんのう」
「まあ、多少は欲がでるかもです。
バグ技みたいな「復活」と「転生」のギフトを手に入れたら、気が変わって人生を何週、満喫するかもしれませんね。俗物的に」
「人は固定観念や価値観などすぐにひっくり返すからの。どう転ぶか分からんよな、儂のように」
「でもこの姿形を維持、人のまま長生きできるなら、一考の価値が……」
フェリンは笑う。
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34 宇宙 終わり (84)
35 魔族の実情 (85)
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