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君と僕の秘密の三ヶ月  作者: 明星
君の夢
1/3

君との出会い

あなたは、もし未来が見える能力があるなら、その能力が欲しいですか?

きっと欲しいと言う人もいらないと言う人もいるでしょう。きっと正解なんてない。

これから書かれる物語は、僕が出会った未来が見える少女のお話です。

 少し暑さが和らいだ夏休み明けの九月の教室は、いつもよりも騒がしかった。

「夏休みなにしてたー」

「俺は、海に行って遊びまくったわ」

「いいな。俺も海にいきたかったー」

などそんな話がクラスにあちこちから聞こえてくる。みんな楽しそうに夏休みの思い出を語る。僕たち一年生は、高校受験という辛い壁を乗り越えてからの最初の夏休みだった。そのため、勉強より遊んでいる人のほうが多かった。僕も去年とは違っていい夏休みを過ごせた。まあ、そのせいで最終日に宿題を終わらせるはめになったが、できるならもう一度夏休みに戻りたいなと余韻に浸りながら僕は、誰とも会話をせず、文庫本を開いた。ミステリ系の小説で、僕の好きな作家さんの作品だ。この小説が発売されるのをずっと楽しみにしていた。想像通り面白く、1ページ読んだだけで僕は小説に身入っていた。

そうして、半分ぐらい読んだ頃

「おう柊、元気だったか?」

と僕の幼馴染みで、親友の八神蓮が話しかけてきた。

「元気だったよ。蓮は?」

「もちろん元気だったぜ。毎日のように部活して遊んでた」

部活のせいか遊びすぎたせいか前に会った時よりも肌が焼けて黒くなったいた。蓮はサッカー部のエースで幼稚園の頃から女子によくモテていた。バレンタインの日は、よくチョコを貰って量が多すぎて食べれないと僕に分けてくれたこともあった。最近も告白され、高校生になっても人気なようだ。まあ、本人は恋愛に興味がなさそうだけど…

「もうすぐ大会があるんだったよね。頑張ってね」

「おう絶対に優勝するぜ。応援ありがとな。お前も部活頑張れよ」

そう言って、蓮は部活仲間のもとへ去って行った。


放課後のなり、僕は部室に向かった。僕は昔から写真が好きだったので、高校に入って迷わず写真部に入った。ドアを開けると、部員の藤原友梨が話しかけてきた。ポニーテールでくっきりとした大きな目が彼女の特徴だ。彼女もまた男子からよく好意を抱かれている。僕も例外ではなく、彼女は僕の初恋の相手だ。しかし、彼女には好きな人がいるらしい。当然、僕ではないだろう…

なんたって自慢ではないが、僕は告白されたこともバレンタインにチョコを貰ったことも一度もないからだ。なんなら恋愛の噂すらたったことない。

「お疲れ様、月島君。この2枚のどちらかをコンテストに出そうと思っているんだけど、どっちがいいと思う?」

彼女は可愛らしい笑顔でそう言った。写真部では好きに写真を撮ったり、コンテストに応募したりしている。僕は、一輪の白い花の写真を選んだ。すると、彼女は嬉しそうな笑顔でありがとうと感謝を言い去って行った。僕もコンテストに応募する写真を撮らないといけない。何を撮ろうか悩み、もう一週間も経っていた。そうして考えること1時間、結局いいものが思いつかず、今日は帰ることにした。


5分ほど駅まで歩いて電車に乗る。6つ目の駅で降りて家への帰り道を歩く。いつもとなんら変わらない道を歩いていると、前を歩いている人がハンカチを落とした。しかし、落としたことに気づいておらず、どんどん遠くへ歩いてゆく。どうしようか悩んだ結果、僕はハンカチを拾い落した人を追いかけた。だが、思っていたよりも遠くまで歩いていた。仕方なく僕は走って追いかけることにした。もう少しで追いつきそうなとき、急に追いかけていた人が立ち止まり振り返った。振り返ったのは、僕と同じ高校の制服を着たロングヘアの女子生徒だった。

「あの、何ですか?」

彼女は怯えた声で言った。きっとストーカーだと勘違いしているのだろう。

「これ落としましたよ」

僕はハンカチを彼女に差し出した。彼女はポケットを確認してハンカチを受け取った。

「ありがとうございます。このハンカチは大切なものなので助かりました」

それを聞いて届けて良かったと心から思った。

その日は、いつもよりもよく眠ることができた。


朝、学校に着くとすぐに文庫本を開いた。いよいよクライマックスに差しかかるところで、僕はいつもより早く読み進めた。

その時、教室のドアが勢いよく開いた。

「月島 柊くんいますかー?」

聞き覚えのない声がそう言った。ドアの方をよく見ると昨日ハンカチを落としたロングヘアの子が立っていた。

「あ、いたいた月島くんちょっときてー」

彼女は、さっきより大きな声で言ってきた。周りのクラスメイトが僕を驚いた顔で見てきた。

「ちょっと早くー」

と聞こえたので、クラスメイトに見られながら僕は彼女の所に行った。

「あの、なんのようですか?」

「あーここじゃ話しにくいからついて来て」

そういわれつつ僕は彼女について行った。沈黙が気まずいなと思っていると

「あのさ昨日ハンカチ拾ってくれたの君だよね?」

「そうだけど、どうかした?」

「私の手伝いをしてほしいの」

何を言っているのだろうか。

「手伝い?何をするの?どうして僕がしないといけないの?」

「質問が多いなー何をしてもらうかは後から言うから」

「申し訳ないけど、僕は君を手伝えない。だいたい僕が君を手伝う理由がないし、何をするかもわからない事は、危険そうでしたくない」

「そっか~君は困っている人を見捨てるんだね。酷いなー私泣いちゃうよ。君、私を泣かせた人として学校中に広まっちゃうよ。知らないと思うけど、私意外と人気物なんだよ」

自分で言うんだ。あんまりこういう人とは関わりたくないんだよな。

「見捨てるもなにも何に困っているか知らないと助けられない。それに、君の言っている事は脅迫だ」

「うん、脅してる」

彼女はにやっと笑った。なんなんだこいつは?やばい奴ではないのか?こんな事になるなら、ハンカチなんて拾わなければよかった。

「だいたい僕じゃなくてよくない?友達に頼めばいいじゃん」

「君じゃないと嫌なの。わざわざ知らない人のハンカチを拾ってくれる人なんていないよ」

意味がわからない。

「君は優しいから、私は君がいい。お願い」

彼女が顔の前で手合わせてお願いする。

「わかった。どうせ無理って言ったら、僕は君を泣かせた悪役として学校中に広まるのだろう。それは、困る」

「やったーありがとう。よろしくね月島くん」

彼女は嬉しそうに笑った。

「よろしく。えっと…」

「ごめん私の名前言ってなかったね。私の名前は如月雫」

「如月さん、僕は何をしたらいいの?」

「明後日、暇?」

「暇だけど。質問に答えて」

「じゃあ明後日の10時に学校に集合ね。あと、如月でいいよ」

そう言って彼女は、僕の言葉を無視して走り去って行った。

これが僕と如月雫との出会いだった。

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