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R E D  作者: 弓弦葉
第1章

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氷の刃


 パーティー会場の出入り口付近は慌ただしい。怪我をしてる人もいた。能力者の出現を聞きつけ、私服の警察官が会場へと駆けつけていた。無線で救急車を手配する。非常用ライトと懐中電灯で一般客を誘導をしていた。

 会場内は一族のみが残っている状態だ。この暗闇ではどこに能力者がいるかもわからない。

 今はテーブルに隠れて氷の刃が襲撃が止むのを凌いでいた。


(1人負傷したか。このまま氷の刃を出し続けて能力者達を外に出さなければ、俺達の勝ちだ。)

 

 氷の能力者は暗視スコープをしていた。一族が出入り口付近のテーブルで隠れているのはわかっている。そこに集中的に狙いを定めた。


 負傷した広海は聖海夜に抱えられながら、テーブルと共に蓮と凪紗がいる出入り付近へと移動した。拓海と類はその前のテーブルに隠れている。


「広海さん。大丈夫ですか?」


凪紗が心配そうに聞く。暗闇で怪我の具合がわからないが早く手当はした方がいいだろう。


「心配するな。大丈夫だ。」

「広海さん、非常用電力は点かないの? この暗闇だと何もできないよ。」

「俺がここに繋がる電流を流しても数分しか持たない。その間に倒せるかどうかだ。」

 

 電気が数分点く間に相手を倒すには計画を立てる必要がある。氷には聖海夜の能力である炎が有効だが、広海が言うには、以前、防衛反応が使える能力使いの襲撃があった。その時は通常の数倍以上の能力を持っており、そして護身獣は呪われているかのような様だったと辛そうな顔で話す。

 広海の表情を見ると、一筋縄ではいかないということだろう。

 広海と聖海夜の護身獣は蓮の護身獣を見つめていた。


「お嬢。何とかできないか? 頼む。」


 蓮は自身の護身獣に話しかけた。

 広海と聖海夜には蓮の護身獣は見えていないが存在は知っている。

 そして、広海の護身獣のトラオが蓮の護身獣に話しかける。

 

"我からもお願いする 十数年前も同じような事があった お主も知ってるであろう? 我々では太刀打ちできない あの時は拓海と龍水が犠牲になったではないか お主が居たから助かった 皆は誰も犠牲にはしたくないと思っておる"


 おそらく、拓海が生死を彷徨った出来事のことだろう。あの時は能力が火だったが、今回は氷だ。聖海夜の能力が必要となる。広海が辛そうに話したのは拓海の事を思い出したからだろう。

 その時に現場にいた拓海と類はそれを痛いほどわかっている。

 とりあえず氷の刃からは凌いでいるが、このままの状態は長くは続かない。これからどうするべきか躊躇していた。


 しばらく沈黙が続く。お嬢も悩んでいるのだろう。

 

"わかりました 私が護身獣の呪いを解放します そうすれば通常の能力に戻るはずです あとは皆さんのお力にお任せいたしますね ここには2つの不吉な気を感じます 急ぎましょう "


お嬢は2つの不吉な気を感じていた。1つはこの会場。もう1つは近くだが詳しい場所はわからない。


「待った! 能力者が2人いるということか?」


"えぇ おそらく"


 広海はお嬢からそれを聞き、危険な状況である事がわかった。能力者1人でも能力の差がありすぎる。それが2人揃えば全員で立ち向かったとしても防げるかどうかわからない。

 広海は焦る。そして携帯に久世から着信が入った。


「なんだよ! こんな時に。」


広海は久世からの電話を取った。


 "今、どこだ?"

「パーティー会場の暗闇の中だ。氷の刃の攻撃で俺は負傷して身動き取れない。現在、作戦中だ。」

 "4階でも火の能力者が現れた。こっちの狙いはおそらく総理だ。なんとかして急ぎこっちへ来てくれ。"

「なんでまだここに留まっているんだ。危険だろ。」

 "この停電じゃ車も動かない。とりあえず4階のフロアへ移動した。頼むぞ。"


 総理はパーティー会場から脱出したと思っていたが、停電で信号も止まり車も大往生している。仮に進行しない車での移動中に襲撃されても厄介だ。しばらくは4階のフロアで身を潜め、停電が復旧次第移動するつもりだったのだろう。

 お嬢は2つの不吉な気があると言っていた。

 おそらくは4階に現れた火の能力者も氷の能力者と同じ類だろう。お嬢の護身獣の解放が必要になってくる。


「類、拓海、聞こえるか? 作戦会議をする。」


 まず、4階へ急ぎ行かなければならない。久世は火の能力者だと言っていた。4階は拓海と類チーム、ここは聖海夜と海星チームだ。広海と蓮はフォローする。

 まず電気が点かないと戦いにくい。先に非常用電力をどうにかする。


「そのお嬢の能力なんだが……蓮の能力を奪うやつとはまた別の能力なのか?」

「俺の能力は一族の能力だけしか使えない。お嬢は……能力者の……。なんて説明すればいいんだ?」


 蓮もどう説明しようかとお嬢に助けを求める。


  "当主 これ以上は隠し通せませんね 時間もありませんが皆様に少しだけご説明を願えますか "


 当主という聞き慣れない言葉に蓮は戸惑う。


「当主って誰のこと?」

「そりゃ、お前……。当主って言えば……なぁ、拓海。」

「類兄だ。」


5人は類がいる方向を見る。隠れているテーブルが邪魔をして類の姿は見えない。

 つまり、当主である類は全て知っていたことになる。お嬢のことや、蓮の能力のことも。

 

「え? じゃあ親父はお嬢のことや俺の能力も初めから全て知っていたってこと?」

「なんで俺達には話さなかったんだよ!」

「お嬢が知られてはいけない理由と関係あるのか?」


 類はしばらく黙っていた。だが……思っていた通りの非難の嵐で収拾がつかない。特に広海が。


「うるさい! お前ら! 前当主が決めたことだ。文句があるなら常夏でバカンスしてる親父達に言え。とにかく時間がない。説明するから静かに聞け。」


 お嬢は護身獣でもあるが、能力者の源だ。つまり護身獣の呪いも解放する事ができる。非常用電力の防御反応している物質も解放できるだろう。それ以上はここでは話せない。後で説明するとのことだった。


「そんな説明でわかるかー!」

「広海さん、今は時間がありません。落ち着いて。今後の行動をみんなで考えましょう。」


 凪紗のナイスなアドバイスで広海は冷静になった。


「後で、絶対説明しろよ。類。」

「わかってる。今は急ごう。」



 海星は機械室で防衛反応の物質に暴走がないか見張っていた。何かあれば無線で連絡し、もしCIPの能力者が来ても、あの物質には絶対攻撃するなと広海から言われている。

 広海と聖海夜は護身獣と融合して会場へと向かったが、特に問題もなく時間を過ごす。何も知らない海星は退屈で護身獣と話していた。


「父さん達が融合したの初めてみた。」


  "今まで俺達に頼らずに任務こなしてたもんな 普通は能力を自分のものにするのに護身獣の助けが必要なんやけど あの2人にはそれが必要なかったからな  今は意思疎通できるようになったんや あの2人はもっと強くなるんとちゃうか "


「これ以上に強くなったら、兄弟喧嘩の時手に負えなくなるよ。」


 "あの兄弟は俺が知ってる中でも能力はズバ抜けとるからな 今後は聖海夜もうちの弟もおるけど"


 2人で談笑していると、誰かが来る気配がした。

 炎の龍と背中には猫が乗っている。そして、聖海夜と蓮が現れた。


「海星は急いで、パーティー会場へ行くんだ!会場は広海さんしかいない!」

「え? 何? この状況よくわからないんだけど。とりあえず俺はパーティー会場へ行けばいいんだな。」

「俺達はここで非常用電力を解除してから向かう!」


 海星は蓮に言われ、何がおこっているのかわからぬまま全体を風に変化させ、パーティー会場へと急いだ。

 スピードが出ると風の勢いが増す。非常階段は地下駐車場へ降りる人で混雑していた。携帯電話のライトがイルミネーションのように輝く。突然の突風に人々は驚く。少々被害が出るが人には当たらないように上へと移動しながら進んでいく。

 非常用階段への入り口に付近に凪紗がいた。海星は能力を解き、母の側に駆け寄った。


「母さん。まだここにいたのか。会場からは離れていると思ってた。」

「海星は早く広海さんのそばに行って。足を負傷していて身動きができません。あの中に1人では心配です。あなたも気をつけて。」

「わかった、母さんも。何かあったら連絡して。」


 海星は凪紗から父が身動きがとれないほどの怪我をしてると聞き、急いでパーティー会場まで来る。

 会場の扉は閉まっており、壁には氷の刃が突き刺さっていた。中からドドドッ!と音がする。海星は現場を目の当たりし、思っていたより大惨事になっていることを知る。


「なんだこれ……。この中に父さん1人でいるのか。無事なのか? 扉を開けたら危険だな。」


 海星は父の心配をする。中の状況がわからない上、扉を開けて潜入するのも危険だと察知した。隙間から風になって入ることもできるが……実体だ。もしこの氷の刃が飛んできたら危険だろう。


 "俺と一緒になって中へ入った方が良さそうやな"


 海星は護身獣と融合しネズミになる。実体ではない為、扉をすり抜けて中へ入った。テーブルで攻撃を防いでいる父を見つけ駆け寄った。広海は海星の護身獣に気づく。


「その姿のままでいろ。ここのテーブルが破壊寸前だ。移動する。」


 広海は自分達がいる離れたテーブルに移動しようとするが、テーブルから出ようとした瞬間に氷の刃は集中的に攻撃し始める。


「うーん。敵はやっぱり俺の居場所が視えているか。」


 広海は小さな電気の玉を大量に作り出し、会場全体へと投げる。


「なんだ? この光は?」


氷の能力者は刃を電気の玉に放つが、全て壊すことはできなかった。


 電気の玉は振動しながらバリッと弾けて花火の様に線を描いた。会場が明るくなる。広海の視線に氷の能力者の姿を捉えた。すかさず能力者に向かって大きな電気の玉を投げつける。

 

 顔の辺りで電気の玉はパァーンッと弾かれ、装着していた暗視スコープは破壊された。軽度の火傷を負い、急な明るさに眼はチカチカして開く事ができない。


「クソっ! 電気の能力か!?」


掌から氷が飛び出す。出入口の付近の壁面全体に防御反応のある氷に覆われた。これでは能力を使って外には出られない。


「これで外に出る事はできないぞ! 出てこい! 相手になってやる!」


 思いがけない襲撃で暗視スコープを壊された氷の能力者は怒りを露わにする。暗闇の中、闇雲に氷の刃でテーブルを壊し始めた。



「なんか、中でめっちゃ騒いでるな。」


「父さんの花火攻撃に怒り心頭してるね。ていうかさ、始めからそれすれば良かったじゃん。」


「お前な! 簡単に言うなよ! 現場には凪紗もいたんだ! 作戦通り行くかわからないだろ。あの能力はコントロールと集中力が必須なんだ。下手したら相手を殺しかねない。これを生み出すのにどれだけかかったことか。」


"3日ぐらいだろ"


「そこは黙ってろよ。 トラオ。」

「3日!? 父さん凄いな。」

 

 広海と海星は氷の能力者に電気の玉が当たった瞬間に、護身獣の姿でパーティー会場の外へと脱出していた。

 だが、電気がつくまでのただの時間稼ぎに過ぎない。中に誰も居ないと知ったら相手は会場の外へと出るだろう。


「4階へ行くぞ。あいつらの狙いは総理だ。中にいる奴が来てくれればいいんだけどな。」


 広海と海星は拓海と類がいる4階へと向かう。




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