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転生つぎはぎキメラの冒険譚  作者: ぐみうみさんば
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冒険のために

ちょっとずつ、更新していきます。

「ほら、もっとしっかり腰を入れて振るんだ!もう一回!」

「は、はい!!!」

あの後も必死に駄々をこね、二人は一晩悩んだ末に条件付きでOKしてくれた。その条件というのが、

『一ヶ月訓練をして、二人のテストに受かったなら認める』というものだった。

そしてエピのテストというのが、『エピに一撃を入れる』だったのだが…

「遅い、もっと先を読んで動け!魔物共は今の間にお前を食い殺せるぞ!!」

「は、はいっ!!」

木剣をいくら振るっても、エピの身体のどこにも当たる気がしなかった。速い、俊い。単純なスピードだけじゃない、細かい動きに様々なテクニックが詰まっているのだ。フェイントをかけられ、誘われた場所にまんまと攻撃してしまう。

「こんなわかりやすい動きに騙されているようじゃ一人で冒険だなんて夢のまた夢だぞ!」

「は、はいっ!!もう一回お願いします!」

「来いッ!!!」


________

__

「…じゃあ、次の問題っ!魔王種ってなぁんだ?」

「えっと、確か…」

エピの出すテストが力を試すテストであれば、リューのテストというのは、一般常識や冒険者としての知識などを求める学力テストだ。

「世界で数種しか確認されていない、あまりにも異常な強さを持つ魔物でしたっけ」

「うん、正解!じゃあ、現状確認されている魔王種達の名前を答えてみて!それと、特徴とかも答えられたら答えてね。」

「はい、えっと___」

これでも前は中堅大学生だったんだ、このくらいの暗記問題なら飽きるほどやってきた。

「____って、感じですか…?」

「すごい、完璧じゃん!まだちっちゃいのにすっごく賢いねぇ!将来は学者さんかなー?」

えらいえらいとこねくり回される。いつまでも、いたたまれなさと恥ずかしさは変わらなかった。


________

「ふぅ…」

宿の自室に戻って、肺に溜まった息を吐く。

ここ数日、あまりにも色々ありすぎた。まだ、今自分がいるここは夢なんじゃ無いかと思ってしまう。

「だけど…」

大蟻に噛まれた痛みも、今の腕の不思議な感覚も、ここがなんの間違いもなく現実であると言うことを教えてくれていた。

…そう、そこだ、問題は。

「どうしよう腕…」

エピもリューも、右腕が無いことは気にせずにいてくれた。しかし、急に右腕にあの大顎がくっついてるとなったらそうもいかないだろう。まだこの世界のことはよく知らないけどれど、でも絶対に普通じゃ無いことだけはわかる。だが…せめて接業(ツギ)のことだけでも打ち明けるべきだろうか…

「むむむ…」

…せめてエピにだけでも言おうか。


_______

「おぉ、来たか。…って、どうした?そんなもん持ってきて」

翌日、エピとの稽古の場に大顎を持ってきた。

「その…い、今から起こること、すごく驚くかもしれませんが…誰にも言わないでくれますか…?」

「ん?あ、あぁ。」

訝しげにこちらを見るエピの前で深呼吸をする。

「ふぅ…いきます。…『異形技(キメラ)接業(ツギ)】』」

グニュと音を立てて、右腕の断面が蠢いたかと思えば、大顎に向かって伸び、掴み、一体化する。…キモい…

「?!…な…なんだ…それ…!?」

「その…僕のスキルです。きっと、これのせいで、追い出されちゃって…」

と言う事にしておこう。

「…そうか…いやしかしこれは……どうなってるか見せてくれるか?」

「は、はい…」

おずおずと腕を差し出す。

「…すごいな、本当に一体化している…動かせるか?」

言われた通り、ガチガチと動かす。難しい顔をしてずっと腕の様子をみていたエピは、しばらくして顔を上げる。

「…これはあまり人には見せないほうがいいな、変なやつもいる。」

「ですよね…わかってます」

「だよな。で、何で俺には見せてくれたんだ?」

「これ付けてたほうが、つよいので。」

「…なるほど。そいつが付いてんのが本調子か。わかった…じゃ、やるか。」

随分軽く流してくれた。まあ、こんなものかとも思う。気を取り直して、木剣と“右腕”を構えた。

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