異世界
二話です
背中に伝わる、固くひんやりとした感触に眉をしかめ目を覚ます。
「…ここは」
暗い、石造りの部屋だった。中央には同じく石造りの祭壇のようなものがあり、そこに俺は寝ていたようだ。苔むしていて、しばらく放置されていることが分かる。出入口からは、光が漏れている。どうやら外につながっているようだ。
「本当に俺、生まれ変わったのか。」
あまり実感がないな…とりあえず外に出てみよう
「…ん?」
体の感覚が少し変だ。違和感の正体は、すぐ目に入ってきた。体が小さくなっている。まるで8歳かそこらの子供のように。
「マジか。動きづら…」
慣れない体を動かしながら、出口を目指す。
「うぉっ…!!すげえ!!」
この部屋は崖の上に建っていたようで、部屋を出た瞬間、広大な森、山脈が目に入る。その景色は、どこか幻想的で。確かにここが異世界なのだと感じさせてくれた。興奮が隠し切れないな…!!
「っし…ここから俺の物語が始まるんだ。」
はじまりの景色を目に焼き付けて、一層気合を入れる。これから先、どんな出会いや冒険があるんだろうか。期待に胸を膨らませながら、俺は歩みを進めていった。
「ぜえ…ぜえ…__なんにもねえ!!!!!!」
絶叫。
森を舐めてた。進めど進めどなにもない。歩幅が小さくて歩くのも遅いし、道なき道を進んでいるせいで体力の消耗も早い。これからどうしよう。都合よく果物や水場なんてないし、そもそも何が食べれるかもわからない。だってここ異世界だから。
「これからどうしよう…このままじゃ物語が始まる前に終わっちまう!!そ、そうだ。そういえば神様がなにか贈り物をくれたって言ってたな」
さきほどの部屋には何もなかった。服のポケットにも何も入っていない。あの神様は俺に一体何をくれたというんだ。
もしかしてなにかの能力だろうか。例えば、ありふれているが
「…鑑定!」
_________
種族:異形の混ざり者
固有名:なし
性別:♂
状態:疲労
年齢:生後0日
〈技能〉
鑑定Ⅰ
適応Ⅱ
〈種族技能〉
異形技【接業】
異形技【剥業】
混沌技【失楽園】
_________
「っぐ…!?」
脳を揺さぶるような痛みと共に情報が流れ込んでくる。どうやら、神様からの贈り物は能力で当たりらしい。付け足すなら、その種族も贈り物なのだろうが…
「あらやだ…明らかに、どう考えても悪の種族名なんだけどこれ。っていうか種族技能ってやつも相当物騒…」
俺の冒険は、悪の道を進んでしまうのだろうか。心配は絶えないが…
「なによりも、これからどうしよう…」
これらの技能とやらは、今何か役に立つのだろうか…
試してみるしかないな。