和食?
朝から、和食の数々ですよー。
なんとご飯も炊いちゃいました。
え、意味わかんない? 私もです。
クリスの<食料品>庫を開いてみたら、聞いたことがない名前の調味料がたくさん入ってました。
マメグーロが特に気になったので出してみると、なんと醬油だったんですわ~。
こうなると他の知らない調味料も俄然気になっちゃいまして、名前から推測して次から次へと出してみたわけです。
すると、アジアンな調味料が全部揃っちゃいました。アハハ。
後で出し過ぎたと反省しました。
ポケットに入ってるうちは時間停止になっているかもしれないけど、外に出したら冷蔵庫もないんだから、悪くなっちゃいますよねぇ。
この朝晩がまだ寒い時期が終わり、外気温が高くなってしまう前にポケットの収納接続問題が全面解決することを切に願います。
コシアブラは天ぷらにするのが一番美味しいんですが、朝、見たら籠の中でくったりしてたので、おひたしにしました。
オオイタドリのピンクの若芽は三杯酢を作って酢の物にしました。
そしてなんと魚が罠にかかってたんですよ!
これはもう「塩」焼きしかないでしょう。
先日のイワナ(仮)とは体の模様が違ったので、今度はヤマメ(仮)と呼ぶことにします。
これがもう涙がちょちょぎれるほど美味しかったです。
やっぱり塩をふった焼き魚は最高ですねー。
そしてふっくらと炊き上げた白いご飯!
ご飯を食べると日本人としてはみなぎってくるものがあります。
パンはクリスが旅行用に用意したのか、ポケットに大量に入ってました。でもお米は一袋しか<食料品>庫になかったんだよねぇ。もしかしたら、<仕事用商品>の中にあるのかもしれないけど、昨夜、クリスの思いを日記で知ってしまったから、切羽詰まるまでなるべくこの枠には手を付けたくないと思ってしまう。
さて、今日はこれから何をしようかな。
まだ昨夜の残り物の鴨肉があるので、今日はそれを食べることができる。
昼は鴨肉とクレソンを使って照り焼き鴨サンド、夕食は骨ごと鍋に入れてスープにでもしようかな。
野菜はジャガイモや人参、玉ねぎなどの基本的なものは全部ポケットの中に入っていた。
じゃあ今日は、食材採取はお休みだ。
そんなこんなで満足のいく朝ご飯をお腹いっぱい食べ、食料の心配から解放された由香里は、テントの中を掃除した後に思いたって洗濯に挑むことにした。
洗濯といっても服だけではない。
由香里自身も頭からつま先まで全身を磨き上げる予定だ。少なくともここに来てから三日経っている。その間、ずっと服は着た切りスズメですよ。身体も部分的に気になるところを川で洗った程度。
正直、頭が痒くてたまらない。
由香里は、なんだか懐かしい軽金属のタライと木で作られた洗濯板を取り出すと、川の水を汲み、洗濯洗剤をその中にぶち込んだ。ちなみに洗剤は液体だった。
次に物干し用のロープを木と木の間に渡して、しっかりと括りつける。
ん、準備ができたね。
由香里は、ポケットから<洗濯物>を取り出した。今着ている服を洗うついでにこれも洗濯しておこうと思った、のだが……。
ちょっと、どんだけ溜め込んでんのよ。
世界や人物が変わっても、ずぼらな魂は変わらないのだろうか?
うん、服の趣味も変わらない。
ズボンパンツを中心に、アースカラーの着心地の良さを優先したラインナップだ。
でも、ごてごてのフリフリした服じゃなくて良かった。ど派手な服を着てサバイバル生活をするなんて、悲しすぎる。
服も身体も春の陽光をたっぷり浴びてピカピカになった由香里は、適度な疲れを覚えソファに寝ころんだ。
そして午後のまったりした光の中で、再びクリスの日記を開いた。




