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最強馬爆誕


2032年2月11日午後11時40分、イギリス・ニューマーケットの近郊、で数年後に世界の競馬界に衝撃を与えるサラブレッドが生まれる。バンステッドマナーの場長によると、「驚くぐらいバランスの良い体」をしていて、「生まれた瞬間から、既に生後1週間が経過した馬」のようだったという。


レーシングマネージャーを務めるソープ氏は、本馬について「生まれて間もない頃から、これは特別な馬であると私たちは思っていました」と振り返っている。


父は、現役時代エプソムダービー、アイリッシュダービーという2か国のダービーおよびキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスに勝った大種牡馬ガリレイ。

母は、現役時代リステッド競走を2勝した繁殖牝馬マインド。


1つ上の半兄にクラシックトライアルを制したブラッドトレインがいた為、デビュー前から知られていた【マインドの2032】だったが、とにかく気性が荒く、調教師や助手など競馬スタッフは大変苦労していた。


本来であれば、リーディング上位の騎手でデビューさせたいところだが、どんな有力な騎手が調教しても全く馬が収まらず、まともな調教が出来なかった。


そんな中、当時まだ19歳の若手騎手のR.ムーアJr.を試しに乗せたところあっという間にマインドの2032を乗りこなしてみせた。

その光景を目の当たりにした調教師のオブライアンは若手ジョッキーに本馬の鞍上を任せることを決意した。


デビュー前に同馬は控えた追い切りで3歳馬に対して持ったまま20馬身先着する圧巻の内容を見せた内容から陣営は本馬に絶対的という意味の【アブソルート】と名付けられる。


これによって本馬は1番人気に支持されたデビュー戦を迎えた。本馬の単勝人気が7対4(2.75倍)と、圧倒的な支持に至らなかった理由は、J.ゴスデン調教師の新馬ナセバナルも同競走に出走していたからであり、そのナセバナルが3対1(4倍)で2番人気。


降り続いた雨によってSoft(重)まで悪化した馬場状態のなか、競走が始まるとまずドルトムントが緩いペースで馬群を先導し、やがて数頭が追い出されるにつれてペースが上がりだした。

残り2ハロン地点に入ってナサニエルとその後方にいるフランケルも追い出されると、優勝争いは2頭の勝負となり、残り1ハロン地点で先頭に立ったアブソルートが、最後まで食い下がったナセバナルを1/2馬身差抑えて勝利した。


その後の本馬の未来を知っていると物足りなくも感じてしまうかもしれないデビュー戦での勝利だったが、2着馬ナセバナルは後に勝ち上がってキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス、エクリプスステークスに優勝し、またナセバナルから5馬身離された3番人気の3着馬ジーニアスバーストも翌年のクラシックトライアルを勝利しているほか、8番人気の11着馬は後のゴールドカップ勝ち馬であった。



ーーーーーーーーーーーーーーー


デビュー勝ちを収めたアブソルート陣営の目標はイギリス3歳クラシックの2000ギニーだった。

その前哨戦のグリーナムステークスに出走したアブソルートは2着馬に馬なりで16馬身差を付ける圧勝劇を披露した。


その結果、2000ギニーでは断然の単勝1番人気で出走しここも4馬身差を付ける完勝。

続く英ダービーでも大本命に支持された。


しかし同馬の母のマインドは短距離馬で、兄弟も短めの距離で走っていた為、距離不安が囁かれていた。

だか、そんな不安な声を吹き飛ばすかのように、アブソルートは英ダービーでは2000ギニーの時より着差を広げ7馬身差で勝利して見せたのだ。


そして本馬は更に距離の伸びる3冠目のセントレジャーステークスも勝利し、1970年のニジンスキー以来の無敗の三冠馬となった。


この時点でも同年代には敵なしの状態であったが、秋の大目標にしていた凱旋門賞には現役世界最強馬が出走を表明していたーー。


この凱旋門賞がアブソルートにとってはじめての古馬との対決であった。



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