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金剛天帝 Vajra Deva Indra  作者: クロイオウエンカ
第3兵品(つわものぼん)
34/34

33節 客人(まれびと)

 底國 暗寿は鍛錬(トレーニング)の一環として腹筋をしていた。

 うえは背心(タンクトップ)、したは短パンのカジュアルなスタイルだ。

 全身滝にうたれた後のように、汗でびっしょり濡れていた。

「258……259……260!!」

 暗寿はバタッと倒れた。

「お疲れ暗寿さん」

 暗寿の視界にニュッと女の子の顔が現れる。

 雪のように綺麗な白い肌……では、ありきたりなので、ここは『姫路城(ひめじじょう)の外壁のように綺麗な白い肌』と言おうと思う。

 そして、長い髪は肌と同じく綺麗な白色をしていた。

「レイさん」

 暗寿は女の子の名前を呼んだ。

「もう終わり? せめて264回まで頑張ればいいのに」

「某新聞社は関係ないでしょ⁉」

「某新聞社ってなによ⁉」

「私もわかりません‼」

 暗寿は起きあがる。

 白い女の子はレイ。数日前、暗寿の前に現れた幽霊だ。

「レイさん思ったのですが……」

 暗寿は空中に浮かんでいるレイの首から太もも(レイには足がない)までに目を向ける。

「なによ?」

 レイは訝し気に暗寿を睨んだ。

「なんですか、その恰好は⁉」

 レイはいつものブレザー姿ではなく、露臍上衣(ハーフトップ)を身にまとい、丈の短いステテコをはいていた。どちらも白一色、露出が多い。

「あぁ、これ? あたしの私服」

「私服⁉」

 レイ曰く、此岸(このよ)にくる際、彼岸(あのよ)から持ってきたのだと言う。

「なに、なんか悪いの?」

 レイの視線がさらに強くなる。

「いや、そういうわけでは……」

 暗寿は強く首を振る。

 悪いってわけではないのだが……。

 露出が強すぎてまともに見れない。

 暗寿が自分ではなく彼女(レイ)が助兵衛なのではないかと思いはじめたときだった。

 部屋の扉が大きく開け放たれた。

「暗寿ちゃん」

 そこに立っていたのはボブカットの人間だった。

 暗寿を下界で匿ってくれた人間、掛上 灯だ。

「どうしたんですか?」

「なんか、暗寿ちゃんの友達きてるで」

「友達?」

 下界にきてから友達なんか作ってない(天帝国でも作っていないが)。

「この前のお祭りの時会ったとか言うてるけど」

「お祭り?」

「多分、1か月前にあった制旬(せいしゅん)(下界の祟り神)祭のことやろ。けど、そん時、暗寿ちゃんはいなかったなぁ」

「はい、いませんね」

 暗寿がきて1か月もたっていない。

「暗寿さん」

 レイが話しかけてきた。

「もしかすると、明王衆かもしれないわ」

「明王……」

 明王は天帝の手先。下界を見張っている。

 暗寿がそいつらに見つかったら、かなり厄介なことになる。

「居留守するしか無いわ……」

 レイがそう言った時だった。

「おじゃまするでござる~」

 知らない黄色い声が聞こえてきた。

「あら、もしかして……」

 灯が廊下に視線をやった。

「ここでござるかっ‼」

 扉の脇からひょっこり女の子の顔が出てきた。

 長い桃色髪と赤い頬が特徴的だ。

「あ、あの……」

 暗寿と女の子の目が合う。

「会いたかったでござるぅぅぅぅぅ」

 女の子が暗寿に抱き着いた。

「ぐへっ」

 突然に体を圧迫されたので暗寿の口から悲鳴が漏れる。

「本当に会いたかったでござる、底國暗寿ちゃん」

 女の子は耳元でささやいた。

赤目の蛇ラールアンクヴァラサンプの倒し方を教えて欲しいでござる」

 はっとして暗寿は女の子の目を見た。

 渦を巻く目がギラギラと怪しく光っていた。


 皆様おまたせしてしまいすいません。

 35節です。


 次回からは諸事情で不定期の投稿になります。


 またおまたせする形になってしまい、すいません。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 久しぶりの投稿ですね。 待っていたでござる~。 独特のシュールさは、賛否両論で好みが分かれるところでもありますが、そこは気にし過ぎると物語が中途半端になってしまうので、クロイオウエンカさ…
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