用語解説
作者の迷子防止用です。ちょいちょい改稿する可能性があります。
本作の世界観をもっと知りたい方向けです。
霊力: 特定の家の人間または神様が使える固有の力のこと。霊力を扱える人間を霊力持ちと呼ぶ。霊力持ちは霊力が枯渇すると数時間苦しみ抜いて命を落とす。なお、他人の霊力を注がれることで死は回避できる。普通の人間よりも実は弱い存在。両親共に霊力持ちでないと子供は霊力持ちにならないので、霊力持ちの家同士で幼い頃から婚約者を持つ者も少なくない。
気質: 木、火、土、金、水、の何れかの霊力の総称。五行思想に基づき、木は火を生じ、火は土を生じ、土は金を生じ、金は水を生じ、水は木を生じる。このことを相生と呼ぶ。
それとは逆に、木は金に倒され、金は火に溶かされ、火は水に消され、水は土に飲み込まれ、土は木に貫かれるといった食い合う関係も存在する。こちらは相剋と呼ばれる。
神霊: 元々は霊体の意味があったが現在では専ら神様そのものをさす。九鬼家を始めとする神様の末裔は、何代かに一度神様の声を聞ける者が現れる。何故か女性だけなので、神様の声を聞ける存在を巫女と呼んでいる。
憑依: 神霊が巫女に降りた状態のこと。神霊が完全に支配して巫女の意識を追いやる憑依と、神霊が降りても巫女の意識がはっきりしている憑依の二つの形態が存在する。前者の方が霊力消費が少ない。基本憑依と言えば前者の意味で使われる。後者は真正憑依と呼ばれる。
顕現: 神霊が人から見えるように巫女の霊力で実体を得ている状態。霊力消費が激しく、巫女でもそれができる者は限られ、一度顕現すると丸一日は再び顕現できないほどである。幽子の場合は一日に二回顕現しても眠くなる程度だが、それは並外れた霊力持ちだから可能であり、彼女が規格外であることを示している。
術式: 相手に特定の条件で一定の効果をもたらすことのできる魔術の一種。主に罪人の拘束や、相手を守る用途がある。細かく条件を設定しなければ発動しないのでその習得は困難を極める。金行の気質を持つ者は術式と相性が良いので、術式を習得している者が多い。この国の帝が一番術式を多く持っているとされており、中には禁術や禁呪の類もあるのだという。
五行の性質について
水行: 生命の根源。最も本質的なエネルギーであり、一見停止しているように見えても、内側には高い生命力や潜在能力秘めている。柔軟で我慢強い者が多い。幽霊や亡霊はこちらに相当する。季節は冬、色は黒。時間は夜を示す。方角は北。
木行: 生命エネルギーそのものであり、何かから生じるものはこちらに分類される。生長、伸長、柔軟といった性質を持つ。束縛や自由にできない環境を苦手とする。優しくて力強い者が多い。怨霊や妖怪、付喪神はこちらに相当する。いわゆる闇属性も木行である。季節は春、色は青(厳密に言うと青緑)。時間は朝。方角は東。
火行: 具現化するエネルギー。燃え盛るような激情や熱情を持ち、苛烈な役割を担っていたりする場合もある。アイデンティティがしっかりしている者が多い。季節は夏、時間は正午。色は赤。方角は南。
土行: 包容と再生、変容のエネルギー。万物の母とも称される。生み出し、受け入れる側面も持つ。金、木、水、火は全て土の上に生じるので、土は五行の中で最も重要な要素と言われている。色は黄色、季節は土用、時間は午後。方角は中央。
金行: 純化させ、秩序を与える。普遍的な性質を持つ物もこちらに分類される。冷たく沈黙する者が多い。季節は秋、色は白、時間は夕方。方角は西。いわゆる光属性は金行の性質を持つ。天を統べる神や国を造った神もこちらに属する。
霊力持ちの家について
日本神話などの神様の末裔だったり、神社の神主だったり、帝を守る一族だったりとその有り様は多岐にわたる。霊力持ちすべてが帝と関わりがある訳ではなく、不可侵の家も存在する。帝自身も霊力持ちであり、皇族は全員が霊力を持って産まれてくる。
九鬼家: 大国主命の末裔。神様の末裔の家としては最大級である。木行の気質の者が産まれやすい。極めて低い確率で大国主命の声を聞ける者が産まれるが、昔は産まれてすぐに死亡したり、強大な霊力を持つ故に暴走して殺された経緯もあり、その者は金行の霊力持ちの家の人間が抑える仕組みになっている。幽子に武瑠があてがわれている理由はそこにある。
諏訪家(諏方家): 現人神(大祝)を代々務めている家系。断絶したと言われているがそれは表向きで、実際は血筋は続いている。かつて諏訪氏を名乗っていたが、江戸時代に領主の諏訪氏と祭主の諏方氏の2つに別れ、現在は諏方家のみが残る。依代を輩出している関係でこちらも木行や土行生まれが多い。九鬼家とも古くから親交がある。なお、幽子のことも昔から知っている数少ない家でもある。
出雲国造(千家家): 出雲大社の最高位の神官を代々務めている名家。通称裏の皇族。それもそのはずで、帝も出雲国造も元々は天照大神の子孫だからである。大国主命を祀るため、現在でも神官は世襲である。かつて大怨霊であった大国主命を鎮めるには相当な霊力が必要なようで、当主はめったに表に出ることはなく、大体は次男が当主の代わりに様々な仕事を肩代わりしている。
天野家: 出雲国造の分家の一つ。帝に仕える家でもあり、年に数回参内もしているようだ。金行の霊力持ちが当主を務めている場合が多いが、それは九鬼家の巫女を監視したり護衛したりするためである。巫女がいない代は当主の気質は問わない。天野家に似た役割を持つ家は複数存在する。理由は不明だが、長子は絶対に女児が生まれ、末っ子は必ず男児になる。
守矢家: 建御名方神と対抗した洩矢神(守矢大神またはミシャグジ様)の末裔で諏訪大社の神官。明治に入って神官の世襲制が廃止されたあともひっそりと世襲して今に至る。天野家とも親交があり、実は出雲国造の分家でなくともあの会議に出席できている唯一の存在である。それ故いつも会議では末席にいるが、守矢家を蔑ろにできる家は少ないことから守矢家は強大な力を持つと考えられる。幽子は気づかなかったが、あの時の会議で庇ってくれたのは守矢家当主本人である。
御影家: 帝の御影を意味し、もっとも家格が高い家系の一つ。帝の后(妃)を輩出している家でもある。常に参内できる特権があり、帝への忠誠心もどの家よりも篤い。帝の敵は容赦なく排除する思想を持ち、それに則り秘密裏に幽子を害そうとした家でもある。過激派とも称されるが、それは帝を守る思いが強いことへの裏返しなのだろう。
五行については私独自の解釈も含まれます(木行が闇属性とか金行が光属性とか)あまり気にしないで下さると助かります。昔の設定では光と闇の戦いにしていましたが、かなり陳腐な物に仕上がった経緯があり、五行思想に当てはめてみたら闇が木行で光が金行かな?という発想が舞い降りたのでそれを採用しました。