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白の魔女の世界救済譚  作者: 月乃彰
第七章 暁に至る時
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7−92 善と悪は表裏一体

 セレディナの持つ加護、『魔王之加護』の効果は複数存在する。

 一つ目が全ての魔族の精神干渉。この対象には魔女も該当するが、同格の魔族への干渉力はかなり弱い。しかし従属魔族、例えば召喚した魔人などは例え格上であってもある程度の支配が可能である。

 二つ目が基礎能力の上昇。本来、どんな加護でも所持しているだけで基礎能力は上昇するのだが、この『魔王之加護』の上昇幅は『聖神之加護』を除けば類を見ないほどだ。

 三つ目が大罪魔人の無条件召喚。大罪魔人は個として現世に存在を可能とする将来性がある。故に召喚でさえ代償は大きく、従属は力とは異なる魅力か、もしくは圧倒的な力が必要だ。が、この加護は前者の方を無くし、後者の魅力の面での問題を解決する。

 そして最後、能力の開花及びあらゆる身体能力の成長速度上昇である。加護と能力を同時に所持するものは存在しないものの、この『魔王之加護』の所持者だけは例外となる。


「さてと、ほい、これ」


 エストはセレディナに真っ黒い表紙の本を渡した。セレディナはそれに見覚えがあったようだ。


「⋯⋯大罪魔人の召喚書」


「そう。大正解。これからキミにそれを使って、大罪魔人を召喚してもらう。そっちの方が良いでしょ?」


「まあ⋯⋯そうだが。しかし、私たちはどうであれ世界を救おうとしている身だ。国を襲おうものなら、お前が計画している国の乗っ取りは難しくならないか?」


 尤もな疑問である。エストの目的はあくまでもこの国で英雄となり、支配者となり、手駒を増やすことである。であればマッチポンプだと知られてしまうことは何より避けるべきことだ。


「はいこれ。私お手製の仮面だよ。八枚ある。効果は認識阻害と意識操作。仮面を被っている間は、誰に見られてもキミをキミだとは認識できないし、それ自体に疑問を持つこともできない。ついでに言うと一定の強さ──レヴィアとかカルテナぐらいの強さが基準ね。それで、かつ能力者ならこれら効果は無効化できるようにしたよ」


 つまりエストたちは認識できて、一般人は認識できないしおかしいとも思えない都合の良い仮面というわけだ。


「なるほどな。わかった」


 それからセレディナは大罪魔人の魔人を召喚する。方法は至って単純。ただ魔法の詠唱文を詠むだけ。一分にも満たない文章を読み上げたところで、地面に黒色の魔法陣が展開される。それもかなり大きく、人が七人入っても余りある程だ。大罪魔人を一度に全て召喚することは本来できないのだが、セレディナの母、ツェリスカが召喚魔法を改善したのである。

 その魔法陣の中には七人の大罪魔人が立っていた。彼らは一様に動揺しておらず、既に跪いてセレディナの方を向いていた。


「我ら七大罪魔人、新たなる御身の前に。魔王様、ご命令を」


 『傲慢』の名を冠する魔人、メラリスが大罪魔人を代表して挨拶した。エストの存在にも気づいているはずだが、彼女に殺気がないことを理解したのか触れようともしない。


「エストの能力に抵抗するな。⋯⋯で、いいんだな? 間違っても支配するなよ?」


「大丈夫さ。キミの加護の力は私の能力による支配を上回るからね」


 そういうわけでエストは大罪魔人一人一人に前回の記憶をインストールした。流石に彼らの人格まで前回に戻すことはできなかったものの、それは些細な問題である。


「今見せた記憶通り、キミたちは私の協力者だよ。過去のこと、キミらの前の主たるツェリスカの件は水に流そうね」


「⋯⋯それは我々、何よりセレディナ様の台詞だ。お前が言うべきものではない」


 答えたのは『憤怒』のサンタナだ。


「⋯⋯そう? なら、そうなんだろうね。⋯⋯嫌なの? それとも⋯⋯キミたちは私を従わせられるとでも思っているわけ?」


「お前のその上から目線が気に食わない。私たちは協力関係。同格だ」


「よく言うね、魔人。私がツェリスカを殺したことがそんなに許せないか。ま、気持ちは分かるよ。でもね、それでキミたちに同情するわけじゃないし、譲歩するつもりもない。⋯⋯でも、同格ではない。そのことを覚えておくと良い」


 エストは大罪魔人たちと同格になるつもりはない。そうでなくては示しがつかない。そうでなくては魔女でない。


「⋯⋯魔女め。お前に従うなど──」


「──『止めろ、サンタナ』」


 やけに強いセレディナの言葉がサンタナを静止した。


「今は争う時じゃない。お前たちも視たろう? あの、最悪な未来を」


 セレディナ、大罪魔人たちが視た世界の終わり。そして純粋かつ狂気的に笑う黒の魔女の姿。マサカズという男の『死に戻り』がなければ、この世界は崩壊していた前回のルート。


「⋯⋯信用するのですか?」


「でなければ、今私たちに与えられている選択肢は何だ?」


 エストはやろうとすればセレディナを洗脳し、大罪魔人たちも同様にできたはずだ。しかしそうはしなかった。これが何よりも信用できる根拠となる。


「そうだよ。私はキミたちに自主的に協力してもらいたいのさ。そのために脅したりはするけど、結局決めるのはキミたち自身。⋯⋯なぜそんな回りくどいことするんだって顔だね?」


 あの自分のためならばどんな汚い手だって使う魔女、エストがわざわざ選択の余地を残す理由なんて皆目見当もつかない。セレディナさえそう思っていたのだが、


「⋯⋯? エストは、ワタシたちの自由意志を尊重しようとしているだけじゃないの?」


 黒のヴェールに包まれた少女、『嫉妬』のレヴィアが、そんなこと当たり前だとでも言うように答えた。


「洗脳なんてしたら、その人の意思を潰してしまう。そんなの面白くない。人形遊びは人形でやるから楽しいの。⋯⋯エスト、あなたはきっと、ワタシたちを『ワタシたち』として置いておきたいんでしょ?」


「⋯⋯大体合ってるよ、レヴィア。そう。私はキミたちに恨まれて然るべきだ。殺し合いになるべき関係だ。過去のことを水に流そうとは言ったけど、過去のことを消し去ろうとは思わない。⋯⋯私はキミたちを可愛そうだとは思わない。謝ろうとも思わない。でもね、それがキミたちを操って良い理由にはならない」


 エストも尊敬する人たちがいる。そんな彼女らが何かをして、結果殺されたとすればどうだ。エストは彼女らを殺した奴を憎み、復讐しようとする。実際にするつもりだ。だから、だ。エストがセレディナたちを洗脳しない理由は。


「キミらが選ぶんだ。キミらには権利がある。この私とここで争うか、協力するか。さあ、早く」


 大罪魔人たちはセレディナに服従している。おそらく最も忠誠心が低いであろう『強欲』のフィルでさえセレディナの決定には反発しないだろう。

 よって、決めるのはセレディナだ。彼女が、復讐か協力を今ここで決定する。


「私たちは──お前を()()


 その回答に、エストはニヤリと笑った。『倒す』と言ったのだ。『殺す』であるべきなのに。


「だが、世界が崩壊してしまえばそれも不可能だ。よしんばできたとしても、お前の悔しそうな顔を見ながら美味しい血は飲めない。何よりお前を倒したことを母様と父様のお墓の前で自慢できないだろう。⋯⋯だから、白の魔女、エスト。改めて、お前の同盟を魔王軍は受け入れる。それでいいな、お前たち」


 七つの了承の声が聞こえた。これにて、エストは今回のルートでも魔王軍の協力を得られたのだった。


 ◆◆◆


 エストの通う『ミルヴァン校』は貴族の学校だ。それ故か貴族たちの集会場になることもある。彼女がこの学校で情報が得られそうだと考えた理由だ。そして、これは襲撃を行い、最高の悲劇を生むことができる場所でもある。

 エストたちは話す場所を変えた。全員をエルティア公国に飛ばしてから、人が殆ど居ない草原に現れる。時刻は昼頃。風が草原を揺らめかせた。

 魔法により家を作り出す。人一人が住むに丁度良く、七人も寝泊まるには狭すぎる外見だが、中は百人までなら調整して居住できるスペースを確保できる、空間に干渉した建物だ。そんな家に備え付けられた大広間には現在、エストとセレディナ、フィルが机を囲って椅子に座っていた。他のメンバーはそれぞれ家の中でくつろいでいたり、風呂に入っていたり、鍛錬をしていたりする。

 この三人が集まった理由は一つ。これからのことについて話し合うためだ。


「貴族の子どもたち、貴族の奴らを殺せば、事件の規模としては十分。貴族たちはこれを解決しようと全力を尽くす。それを正面から叩き潰せば⋯⋯貴族共は絶望するよね」


 この国において貴族とは最も大きな力を持つ存在だ。彼らの戦力はそのまま国の軍事力である。その力でも解決できない事件となれば、当然だが貴族の力は失墜するだろう。平民らの貴族への印象も悪くなる。


「そこで救世主エストちゃんの登場ってわけさ。貴族ではどうにもできなかった問題を私が解決すれば、数の多い平民たちは私を支持するだろうね。そして私が新たな指導者となるのさ。エルティア公国改め、エルティア王国と命名でもしてやるんだよ。で、私の駒にする⋯⋯最っ高のアイデアだとは思わない?」


 エストはとても楽しそうにセレディナとフィルに語った。これだけ聞けば理想論で、問題は数多くある。そもそも魔女を支持するような人間がいるのか、などだ。だがエストの頭脳がそんな誰にでも分かる問題を見落として、何の解決法も考えていないなどあり得ない。


「⋯⋯で、私らがお前の敵役になれば良い、と?」


「そう。キミらは公国を襲った悪い集団で、私に退治されるために生まれた化物たち。でもキミらが魔王軍だとは誰も分からないのさ」


 仮面があればセレディナたちをセレディナだと認識することはできない。能力の行使をしなければ襲撃者とセレディナたちを繋げることはできないだろう。


「後で詳細は文書で見るとして、概要を聞いておきたい。エスト、私たちはどう動けば良いの?」


 魔王軍の頭脳担当、フィルはエストに作戦内容を訊いた。


「今私が寝られなくなった気がする。概要話す前に訊きたいんだけど、キミさえ分かれば良い文書で良い?」


「情報は共有するものってのはエストなら分かるはずよね?」


「⋯⋯仕方ない。分かりやすいように作るよ」


 エストの作業量が一枚の用紙から何十枚もの説明書になった。それから彼女はフィルとセレディナに作戦概要を話し始めた。


「まずキミらは『仮面の死神』だ」


 突然言い渡されたセレディナたちの仮称。微妙にダサい名称なのはエストの残念なネーミングセンスがよく反映されているということだ。しかし、ここで何かを言うほどでもないから気にせずに続けさせる。


「そして目的は公国の至宝の魔具、『殃戮魔剣(おうりくまけん)』の奪取及び人間の殲滅による力の確保。とかどう? 種族としての死神は魂魄を刈り取ることで力を増すし、殺しをする理由は十分にある」


「『殃戮魔剣』? 何だそれは?」


 唐突に出された魔剣の名をセレディナは知らなかった。彼女であれば知らないのも無理はない。何せこの魔剣の情報は公国内でさえ周知されていない。極一部のみが知る魔剣なのだから。

 それをエストが知っているのは、彼女が長生きで、特に魔法関連の知識の収集に時間をつぎ込んでいたから。時として国の中枢に潜入することだって、国一つの歴史を調べ上げることだってあった。


「触れたものを問答無用で崩壊させる魔剣だよ。物理的に粉々にするから蘇生魔法も無力化される。けど崩壊の力はあくまでも魔剣の所持者の魔法能力が適応される。私とか黒の魔女とかが持たなければ大した剣にはならないだろうし、同格相手に崩壊の力が通用するとは思えないね」


 これが黒の魔女の手に渡ればとんでもなく危険だと思われるが、彼女であれば自前で同じことができるからわざわざ奪うことはしなかったのだろう。もし奪ったことで、公国に潜入している黒の教団関係者が見つかると面倒だ。リスクとリターンがまるで見合っていない。


「でも壊滅能力としては非常に優秀⋯⋯死神が狙う得物としては上々ってことね」


「そう。あくまで逸脱者(私たち)が使うなら大した強さじゃないだけ。普通の魔女クラスが使うなら、そりゃもう異次元に強いよ」


 ではなぜこれまでこの至宝を誰も奪おうとはしなかったのか。前回より以前のエストの実力であれば奪うメリットしかなかった魔剣だ。しかしこれには勿論のこと奪わない理由があった。


「この魔剣はさっき言った通り、触れたものを問答無用で崩壊させる。勿論、柄の部分を触れたとしても崩壊させるのさ」


 崩壊の能力の出力には所持者の魔法能力が適応されると言ったが、正しくは魔剣自体の崩壊の魔法出力に所持者の魔法出力が上乗せされる。つまり、弱者だと魔剣の力に耐えきれずに触れただけで体が崩壊して死ぬ。しかし一定の強者同士の戦いでは抵抗(レジスト)できるため価値がない。丁度良い強さだとされている通常の魔女クラスでも、気を抜いたり他のことに集中すると自らを崩壊させてしまう危険性を孕んでいる。また、丁度良い強さだと言っても使えたらの話。そもそも剣術が得意な魔女はほぼ居ない。エストも剣の技能はそれなりにあるが、メインにできるほど戦えはしないだろう。何より保管方法が魔法的に真空中に停止させるというかなり面倒な手段なことが、この魔剣の厄介さを表している。


「⋯⋯それってかなり扱いづらい魔剣じゃないか? それを盗もうとする奴、馬鹿じゃないか?」


「だね。でも例えば、剣そのものを空中で飛ばして、自由自在に操れる者がいたとしたらどうなる?」


 それはとてつもなく難しい技術だ。魔法により創造した武器を、手で握らずに空中で動かす。エストは重力操作魔法により可能だが、単純な動きしかできない。それ単体で見れば、超人的な筋力を持った素人が剣を振り回しているのと同然。確かに危険だが、技術がないから対処が困難というわけでもないのだ。


「フィルをここに呼んだのには二つの理由がある。一つは私と同じぐらいの頭脳があって、作戦の立案、修正ができるから。そしてもう一つ⋯⋯キミはこの『殃戮魔剣』を使いこなせるポテンシャルがある。だからここで確かめるのさ。私が作った『殃戮魔剣・改』でね」


 そう言うとエストは空中に展開された黒い靄のような所から二本の刀を取り出す。禍々しい漆黒の刀で、柄は黒色と赤色から成る布で巻かれただけのものだ。


「刃渡り九十八センチメートル、全長百三十三センチメートル。重量は二キロ弱。素材は魔鋼鉄に高純度の魔力石の溶解液を混ぜたもの。まさか第十階級魔法の炎で作業することになるとは思わなかったよ」


 『殃戮魔剣』を改良したこの魔剣は、従来の欠点でもあった問答無用の崩壊能力を制御可能とし、刃の部分のみで魔法能力は発動する。刀そのものに莫大な魔力を持たせることで刀自体の魔法威力の一時的な底上げに成功した。更には触れることが崩壊の発動条件ではなく、刃で斬ることを発動条件にし、『縛り』を設けることで所持者の格上はともかく、同格や多少の差であれば崩壊能力を押し付けることができるようになっただろう。本当は格上相手にも通じるようにしたかったが、これ以上魔力石を魔鋼鉄に混ぜると強度が足りなくなり、武器としての性能が格段に落ちるのだ。そうなれば刀身は容易く折れてしまう。


「本物は見ただけだけど、これは本物の上位互換の偽物さ。フィル、これをキミには操ってもらう。キミが、この魔剣を奪う理由になってもらうのさ」


「⋯⋯どうやって? 私は刀の扱い方なんて知らないし、勿論空中で操るなんてできないよ?」


「だから私の能力があるし、キミはキミ自身の能力で人格を作れる。その人格に重力魔法を通じて刀を操らせるんだ。そりゃそれでも難しいだろうね。でも、刀を空中で扱うのが難しい理由の大半は意識が割かれることなんだ」


 普通に自分が剣を持って戦うだけでも色々と考えないといけないし、戦い方を意識しないといけない。それを並行で二つも三つもできるわけがない。だが、フィルの能力、『強欲の罪』で人格を形成することは仮想の脳を、処理機構を作るも同然。並列演算をすることで前回は魔法の同時展開数を大幅に上げることに成功した彼女であれば、今回この、普通ならば無理難題となる事を行えるかもしれない。


「⋯⋯分かった。私にしかできないのなら、私がやるしかないね。それがエスト、君の考えであるなら正しいはず。それに、お嬢様は私ができないと言ってもやらせるでしょう?」


「当然。お前が無理だと言っても、私はできると言う。命令だ。やれ」


 ツェリスカもそうだったが、セレディナも中々無茶苦茶な命令をしてくる。

 フィルは彼女に絶対の忠誠を誓っているわけではない。彼女ならば自分の願いを叶えてくれると信じているから忠誠を誓っているだけだ。

 しかしフィルは元主のツェリスカへは絶対の忠誠心を持っていた。その娘となれば、その娘の命となれば、護らねばならないものだ。この命令に従うことは即ち彼女の命を護ることになる。だからフィルは拒否しない。元より拒否する気もなかったが、命令されたとなれば答える義務がある。


「それが我が主のご命令とあれば。御心のままに」

 書いてて思うことは、やっぱりエストは善人ではないということです。むしろ性悪では? 

 私の好きをぶち込んでキャラメイクしたらこうなったので好きは好きですが、主人公らしくないですね!

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