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弱虫の剣  作者: 望月 まーゆ
第3章: カンバーランドの亡霊
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現状報告

〈帝国ノイシュバンシュタイン城〉


「陛下、エリーナ姫の最新情報が届きました」


王の間に足早に入って来たのは、執事のアレフレッドだった。


「誠か? 今エリーナはどこにおるのじゃ?」


「現在、エリーナ姫様は、〈帝国〉領土内の〈アルデリア連邦国〉に滞在しております。今後は〈ローチェ国〉を経由して〈カンバーランド〉に向かうか、そのまま直接〈カンバーランド〉に向かうようです」


アレフレッドの言葉に眉間にシワを寄せる陛下。


「なぜわざわざ、魔物が住みついている〈カンバーランド〉に行く必要があるのじゃ」


「陛下……〈カンバーランド〉は【壊滅した】のは、皆知っている情報ですが、【魔物が住みついている】事は一般的には知られていない情報なのですよ」


「…………」


「〈カンバーランド〉に行く目的は同じパーティーメンバーに〈カンバーランド〉出身者の家系がいるようです。それと……あの〈イデア〉の狐が〈世界大戦〉についてエリーナ姫に情報を与えたそうです」


「そうか……エリーナに……」


何かを諦めたような、複雑な表情を浮かべる陛下。


「〈カンバーランド〉の中心部に行けば一つ目の〈英雄譚〉に辿り着きます。少なからず疑問を抱くことになると思います」


「うんんん……無理にでも連れ戻すか?」


陛下は王の間で、玉座に座る事なく、顎に手を当て落ち着きなく、行ったり来たりしている。


「エリーナ姫は〈エールダンジュ〉のパーティーメンバーに任せておいて大丈夫です。☆4アイナ・アウグスタ・ロレーヌは健在でした。〈爆炎の剣姫〉がいるだけで帝国兵の百人分以上の強さがあります」


「……そんな兵士に守られてる〈帝国〉は不安しかないな……」


「…………」






「アレフレッド……お前はこの戦いどう思う?」


「……相手側はかなり積極的に動いているのは確かです。すでに〈変装〉出来るスパイのような存在を確認しています。陛下もご存知の通りです」


「ああ、見た目は完璧だが中身までは完全に把握してなかったようだな。見た目だけで〈シュナイデル〉と言う人間を判断してしまったようだな」


「ええ。〈シュナイデル〉は現在〈リベリオン牢獄〉への移送が完了したようです。このまま放っておいて良いのでしょうか?」


「エリーナの護衛にと思っていたが、当てが外れたな。事が済むまで大人しくしていてもらうのが良いだろう」


「御意」


「……アレフレッド……戦争になるかもしれないが覚悟してくれ」


「……仰せのままに……」




* * * * * * * * * * * * *



《 リベリオン牢獄 》


罪の償い方は、その国によって様々である。この国では、犯罪者が罪を犯すのは社会的環境にあるとし、「誰が犯罪をおかしてもおかしくない」「自分と犯罪者は同じ人間に過ぎない」という考え方から人道的で寛容な処置が取られるが、一方で、運が悪ければその場で命を落としてしまうような過酷で危険が牢獄が公然と運営されている。


〈水の国サザンビート〉の砂漠の真ん中にある〈リベリオン牢獄〉世界一過酷な牢獄として名を馳せている。



「ーーだから、やってないつーの!

本当に記憶がないんだって」


青い瞳、サイドを綺麗に刈り上げ斜めに流した金髪の前髪の男の手には手錠がかけられている。足には枷と鉄球の重りが付けられている。


「何を言ってやがる! 世界新聞にデカデカと一面にお前の顔が載ってたじゃねーか!」


もっと真面な嘘をつけと、男の発言に呆れる看守。


「本当に知らないんだって。気付いたら血だらけになって、死にかけていたんだって!」


「はい、はい……ほれ、中に入れ!」


男は看守に背中を押され、蹌踉めきながら牢の中に入れられる。


「ちょっ、ちょっと……ねえ、ちゃんと聞いて下さいよ!」


バレバレの嘘に、付き合ってられんとため息を吐く看守。牢に鍵をかけると、さっさと男に背を向けて立ち去ってしまった。



「ねえ、看守さん‼︎ ちょっとーーーー」



鉄の扉の閉まる冷やかな音が牢に、響き渡ったーー。

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― 新着の感想 ―
[一言] え!? シュナイデルさん、誰かに操られてた? ワンチャン復帰ある? エリーナも勇者に関係が!?
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