↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
high tension  作者: 藤瀬京祥


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/39

第19話 追う者と追われる者

PV&ブクマ&評価&感想&誤字報告&いいね、ありがとうございます!!

「マサ、ぶっ殺すぞ!」


 朝から物騒なことを喚くなよ。

 もちろん喚いているのは清隆(きよたか)だ。

 何をそんなに怒っているのかと思えば……


「てめぇ、さっき見捨てやがったな」


 見捨てるも何も、邪魔しちゃ悪いと思って気ぃ利かせてやったんじゃないか。

 人聞きの悪いこと言ってんじゃねぇぞ、こら。

 おかげで俺は見知らぬおっさんとぶつかる羽目になったんだからな。


 ちょっと見た目はあれだったけど中身はそんなに悪い人じゃなくて、謝れば普通に許してくれたけどさ。

 やっぱ人を見かけで判断しちゃ駄目だよな、うん。


 とりあえず始業のチャイムに救われた俺はこの日一日、校内で清隆から逃げまくった。

 当然清隆は狭い校内で俺を探しまくったわけだけど、この勝負は俺が逃げ切って勝ち。

 家まで逃げ切った。


 やるときゃやるんだよ、俺も


 なんて勝ち誇ってたんだけどちょっと詰めが甘かったみたいで家で捕まった。

 結局帰るところは同じだから仕方ないんだけど。

 兄弟だし、同じ家に帰るのは当たり前なんだけどさ。


 不可抗力


 兄弟という抗いがたい運命に導かれて家に帰ってきたわけだ。

 そうしたら清隆が玄関で待ち伏せてたってわけ。

 なんかもう、俺の追っかけみたいなことしてんじゃねぇよ。

 学校でもさんざん追いかけ回されて、挙げ句に待ち伏せだよ。


 こんなことがクラスの女子どもに知られたらどんな目で睨まれるか、わかったもんじゃない。

 いや、校内で追いかけ回されていたことは知られていたから、チャイムが鳴ると同時に教室に戻った瞬間にスゲェ目で睨まれたけどな。


 勘弁してくれ


 男の嫉妬より女の嫉妬の方が怖いんだよ。

 それはもうドロドロのネバネバでしつこいのなんの。

 ってか俺、なんで弟のことで女子に妬まれなきゃならないんだよ?

 半分とはいえ、俺と清隆はちゃんと血のつながった兄弟なのにさ。

 ほんと世の中理不尽だよな。


 だいたい不公平なんだよ。

 そりゃ母親は違うけど父親は同じなのにこの出来の違いは何?


 この差は何?


「お前さ、手紙知らない?」

「手紙?」


 あとで思い出したけど、この時の俺は手紙のことなんて本当に綺麗さっぱり忘れていた。

 正真正銘のど忘れだったんだけど、これが功を奏するなんて誰が思うよ?

 普通はそう上手く運ばないものだけど、下手に誤魔化しもアドリブも出来ない俺にはこのど忘れは見事に功を奏する。

 おかげで下手に誤魔化すより見事に清隆も騙されてくれた。

 もちろん騙すつもりなんてミジンコほどもなかったけど。


 いわゆる天然ボケだ


 そうか、俺ってしっかり者のつもりだったけど実は天然だったらしい。

 新しい自分を発見して、正直ちょっと凹んだ。

 俺のど忘れに見事に騙されてくれた清隆は、珍しく大人しく引き下がる。


 つまり何?


 いつもは嘘がバレバレで怒ってたってこと?

 バレバレすぎて余計に腹が立ってたのか?


 マジかよ……


 俺はど忘れしたまま清隆をまたいで玄関を上がると、そのまま二階にある自分の部屋へ。

 鞄を下ろし、着替えながら何気なく窓の外を見たら……いや、見たんじゃなくて見えたの。

 本当に偶然見えただけ。

 絶対に見るつもりなんてなかったんだけど、清隆とあの子が話しているところが見えてしまった。

 見るつもりはなかったんだよ、俺は。

 本当に偶然、何気なく窓のほうを見たら見えただけ。


 恵子(けいこ)ちゃんにチクってやろうか……


 あ、恵子ちゃんっていうのは清隆の彼女。

 同じ学校の同級生で、清隆とは半年くらい前から付き合ってる。

 ちょっと背が低い子で、俺が知る限りじゃ結構声が大きくてうるさい。

 いつも大声で笑ってたり騒いでいたりしているイメージがある。

 正直、俺は苦手なタイプだけど清隆とは合うのかも。

 いや、合うから付き合ってるんだろうけど、その恵子ちゃんがあれを見たら……。


 ヤバくね?


 ひょっとして清隆って、変なところで親父に似ちゃったとか。

 顔とかもちょっと似てるけど、性格っていうか、あの悪い癖は似なくていいんだよ。

 ちょっと清隆君、お兄ちゃんの言うこと聞いてる?

 ってか、聞きなさいって。


 聞くわけないけどさ


 親子ってさ、どうしてこう変なところばっかり似ちゃうわけ?

 似なくていいところばっかり似ちゃってるんですけど?


 勘弁してよ。


 俺、絶対清隆の尻ぬぐいはしないから。

 そこんところだけはきっぱり宣言させてもらいます。

 だってさ、チクるどころか、こんなことがあいつの彼女にばれたら俺が殴られそうじゃ。

 理不尽以外何ものでもないけど、殴りそうな感じなんだよ、恵子ちゃんってさ。

 だからここはあれで。

 あれっていうのはもちろん触らぬ神に祟りなし。

 臭い物には蓋……は、ちょっと違うな。

 あ、あれだ。


 君子危うきに近寄らず


 俺にとっちゃ清隆もあいつの彼女も、ついでにあの女の子も鬼門だ。

 何も自分から地雷踏みに行かなくてもいいよな。

 ってか踏みたくねぇよ。

 なにが楽しくてそんなやべぇもの踏み抜かなきゃならないんだよ?

 だから今見たことは見なかったことにしたんだけど、夜遊びなんてするもんじゃないな。


 夜遊びじゃない


 ちょっとコンビニにジュースを買いに行っただけ。

 全然夜遊びなんてもんじゃないんだけど、運が悪かった。

 元々あんまり運なんていい方じゃないけど、今日は仏滅か? ……なんて思っちゃったよ、あの子の顔を見た時は。


穂川(ほがわ)さんのお兄さんですよね?」


 これは絶対に人違いで声を掛けてきたわけじゃない、確信ありだよな。

 はいはい、わかりました。

 俺が清隆の兄ですよ、それが何か?


「あの、あたし、雪緒(ゆきお)っていいます」


 その名前を聞いた瞬間に俺の顔が強ばった。

 なんか心臓とか速くなってるんですけど?

 すげぇ心臓がドキドキしてきて、でもそれを隠そうと必死になったら、いつもの俺らしくない態度を取ってしまった。


「どうも、穂川です」


 年下の女の子相手にこれはないよなっていうくらい無愛想になってしまった。

 でも仕方ないんだよ、不可抗力だから……なんて思ってたら、さらに心臓が速くなったんですけどっ?


 あ、でもこれ、トキメキとかじゃないから!


 絶対に違うから!                             ……つづく

穴があったら入りたい。


ついでに誰か、上から土を掛けて埋めてくれる?

でもほら、清隆に頼んだからあいつ、足とかで踏み固めてその上に石とか置きそうじゃん。

そう、墓石……って冗談じゃねぇよ!

この物語はフィクションだけど、冗談はやめてくれ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。