偽善者とホワイトデー 2024
※忘れた方への人物紹介
ウィー:赤色の世界亡国の姫、現『赤王』にして紅蓮都市の代表
ホワイトデー。
こちらもまた、日本の商社による闇……というアレはさておき。
日本では、一月前にチョコを貰った勝ち組が三倍返しを行う日でもある。
……ゼロに何を掛けてもゼロという負け組には、何ら無縁の話だったんだよな。
去年はたしか、ナックルのチョコ作りに付き合わされたんだっけ?
奥さんから連絡を受けていて、巨大チョコの阻止に動いた気がする。
◆ □ ◆ □ ◆
紅蓮都市 執務室
「そんなこんなでホワイトデーなんだが、何かやった方がいいことってあるか?」
「……やはりそういったことは、男性に聞くのが良いのではないか?」
「そもそもうち、男性の眷属なんて片手の指の数ぐらいしか居ないし。そりゃあランダムでやるってなったら、大半は女性の眷属になるだろうよ」
今日も今日とて、都市をより良くするために執務に励むウィーの下を訪問。
ちなみに彼女、元王家の血筋だしカリスマもあるしと男女問わず大人気。
女性からたっぷりチョコを貰っていて、ある意味返礼はする必要が生まれていた。
……だから男性陣よ、不要だから貰ってもいないのに返礼の品は要らないぞ。
「ちなみにウィーって、料理は得意?」
「野営食であれば、一通り可能だが……製菓は眷属になってからだな。我を出さず、レシピ通りにやるのであれば問題ない」
「その我を出すことを止められない人が、世の中には多いんだよ……」
野営食、もといサバイバルでそんな我を出せば死に繋がるからこそ、正しい調理法のみできちんとやっているのだろう。
何とも重い経験にほろりと涙が出そうになるのを堪えつつ話を戻す。
今回はせっかくなので、紅蓮都市でも何かチョコ関係の催し物をと考えていた。
「ウィーが作ったチョコを混ぜて、抽選会でもやったら儲けそうだな……うん、当たりが中に数個しか無くても、挙って参加して手に入れようとする気がする」
「そういったやり方は好ましくないな。そうだな……勝った者に与える、というのはどうだろうか?」
「勝つって……何で?」
「無論、これに決まっている」
ウィーさんや、そんな乙女が脳筋全開な発言をなさるな。
愛剣の柄を握り、満足そうな表情を浮かべる彼女にその言葉は届かない。
「…………部門分けしようか。子供たちでも楽しめるじゃんけん大会、そして腕に自信のある連中を集めたバトルロイヤル。勝ったらチョコ総取り、みたいな感じで」
「ふむ、それはいいな。参加自体にチョコを必要とし、それを別の形で配れば多くの者に届くことだろう……男女でそれぞれ別にするのか?」
「うーん、いっしょにしよう。性別で実力に差があるってわけでもないし、あくまでお遊びだからな。武器も制限を入れて…………ダメだぞ、その剣は使うと反則臭いし」
「……残念だ」
それから、俺たちは内政担当者なども交えて話し合い、最終的にチョコを保存した魔道具の奪い合いをすることに。
普通に戦うとウィーが、あるいは眷属や選ばれし者連中が無双してしまうとの意見が出たからだ。
そのためチョコを入れた袋型の魔道具を奪い、一定時間保有できればいいということになった……頑張れ男性諸君、ハードルがさらに高くなってしまったよ。




