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偽善者とひな祭り 2024

忘れた方への人物紹介

※ガー:【慈愛】の武具っ娘、天使(いろんな意味で)




 ひな祭り。

 去年は流し雛をやってみた。

 願いを籠めて、というのが正直七夕と被っていたという子供からの感想が……。


 いやまあ、大人たちはもう少しオブラートに包んでいたが、そちらも同じ。

 偽善者として日々大抵のお願いは叶えているので、あんまり無用なんだよな。


 そんなこんなで、今年もまた何かそれっぽいイベントを考えることに。

 ……だが今回、俺にはそれなりに秘策があるのだ。


  ◆   □   ◆   □   ◆


 夢現空間 音楽室


「──演奏、ですか?」


「そう、ひな祭りと言えばそれだったんだ。今更なんだけど……うん、歌詞にそういえばそれっぽいのがあるなって思い出したから」


 と言っても、五人囃子ぐらいしか具体的な部分は思い出せなかったのだが。

 その後、知識持ち込み担当の祈念者に問い合わせて詳細な情報を貰ってある。


「お内裏様とお雛様、二人の結婚を祝う音楽集団が五人囃子だ。太鼓と大鼓、小鼓と笛の演奏、あと地謡って歌で盛り上げるんだ。いちおう男って設定だけど、まあその辺は適当な感じで──ガー、お前さんの出番だ」


「はい、それをメルス様が望むのであれば」


 ラッパの聖武具が基になった武具っ娘だからだろう、彼女は音楽に精通した能力を獲得している。


 聖武具が宿す音魔法だけではない、純粋な技量として演奏や歌唱なども獲得していた。

 他にも音楽が得意な眷属も居るし、みんなで演奏でもと提案してみる。


「ただまあ、元ネタ通り五人ってのも寂しいから数は増やすんだが……いっそのこと、演奏会としていろんな曲をやってもいいんだよな。今回は練習する時間もあんまり無いし、ひな祭りの曲だけにするけど」


「いえ、そちらはおそらく問題ないかと。魔法の詠唱にシステム的な補正としてカンペが使えるように、演奏スキルなどを所持していれば楽譜とそれに合わせた補正が付きます」


「つまり、高レベルのスキルさえあればなんとかなると……ご都合主義万歳だな」


「私のスキルを使っていただければ、一通りの楽器は問題ないかと。ただ、歌唱にはあまり自信が無く……」


 歌が上手い眷属を脳裏で挙げてみるが、童謡に似合う者が思いつかない。

 ……なぜだろう、賛美歌系が得意そうという認識しか浮かばないのだが。


「なら、そこを子供たちに手伝ってもらうとしよう。歌詞を渡してそのまんま読んでもらえば、ほっこりした感じになるだろうし」


「歌詞……言語の問題はどうしますか?」


「あー、それを言うとそもそも、ぼんぼりとかお内裏様お雛様も引っかかるからな。そういう単語自体はすでにひな祭りをやり始めた当初から説明してきたし、日本語で歌える子供たちに任せて、歌詞は会場で配ろう」


 俺の生まれ故郷ということで、なぜか人気な日本語の授業。

 お陰で簡単な単語などであれば、子供たちでも話せるようになっている。


 なのでそちらはそのまま、聞く側にその言葉の意味がどういったものなのか分かるように翻訳した紙か看板でも用意して、置いておけばいいだろう。


「みんなで楽しんで、合唱なんてしてくれたら面白いかもな」


「ええ、そうかもしれませんね」


 そんなこんなで、当日はひな祭りの演奏会で盛り上がりましたとさ。



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