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偽善者とこぼれ話 番外月  作者: 山田 武


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偽善者と七夕 2023

※ややタイトル詐欺かも?


忘れた方への人物紹介

シャルル:『赤頭巾』、JS



 七夕。


 ……一年前の自分に裏切られ、何をすればいいのかと思う。

 前回は反物の品評会のようなことをしたのだが、それって子供は関われないからな。


 短冊の願い事はある意味、叶わなかったと溜息を吐きたくなる……いやまあ、毎度毎度の季節ネタでアイデアが尽きているから仕方ないんだけども。


 なお、国民たちが作った反物で、本当に眷属用の着物をいくつか完成させてある。

 全員分ではないが、眷属たちが選んだ柄の反物を着物にした形だ。


 まあ、その用途の一部が帯を引っ張ってやるあの遊びだったので、誰が着たか予想は付けやすいだろう。


  ◆   □   ◆   □   ◆


 第一世界 イベント会場


「ちょっと早いが……まあ、たまにはこういうのもいいかもな」


 甚平を身に纏う俺は、ある屋台を開いて今回のイベントを楽しむことに。

 結局、七夕らしいイベントは思いつかず、夏祭りという形でお茶を濁した。


 なお、普段から祭りは様々な形で開いており夏祭りもまた夏が来ればよくやっている。

 巨大な花火を打ち上げたり、みんなで盆踊りをしたり……だからネタが尽きるんだよ。


「あっ、メルスさん! こんな所に居たんですね!」


「おっ、シャルルか。どうだ、一つ買っていかないか?」


「えっと、それは……何ですか?」


 俺が居るのは屋台が並ぶ道筋から少し離れた、あまり人の来ない場所。

 この後予定している、花火を見やすい場所に屋台を用意していた。


 採算度外視、気分でやっている屋台。

 そこで用意している品もまた、赤頭巾を被る少女が首を傾げる通りあまり購入されないような物だ。


「これは見たことが無かったのか。俺の世界だと、思いのほか子供たちに人気があるんだよ。名前はよく分からんが、風船にタイヤが付いていて引っ張っていくんだ…………売れるかはともかくとして」


「へ、へぇ……」


「シャルル、これ要るか?」


「えっと、その…………要らない、かも」


 彼女は偽善の過程で、精神的に少し大人びたからな。

 こちらの世界に合わせ、魔物のデザインにした風船をわざわざ買いはしないか。


「うーん、やっぱりバルーンアートの方が売れるのかもな──こうほいっと、捻ったりして作るんだが……」


「わぁ、凄いです! あっ、それなら欲しいです!」


「了解、一つサービスするよ。どういうデザインがいいか──あちゃぁ、始まったか」


 手慰みついでに持ってきていた風船に、空気を入れてから複雑に捻り花を模した形に整えてみた──現実ではできなかったが、こちらの世界だと生産神の加護があるからな。


 これには喜んでくれたシャルルに、次なるデザインを……と思ったところで、空により大きな花が──花火が咲いた。


 次々と花火が打ち上がり、会場の方でも歓声が上がっている。

 スマイルマーク、ハート型、星型などその形も多種多様だ。


 シャルルもまた、そんな花火を見てうっとりとしている。

 とりあえず花の風船は縛って空気を閉じ、次の風船をまた準備しておく。


「──あっ、えっと、ごめんなさい!」


「いいよ、別に。むしろ、楽しんでもらった方が用意した甲斐があるからな……さて、何か欲しいデザインはあるか?」


「…………何でも、いいんですか?」


「ああ、加護があるから何でも問題ないぞ」


「じゃ、じゃあ、さっき見た花火の──」


 それから彼女が指定した形に、赤い風船を曲げて完成させていく。

 それを受け取った彼女は、打ち上がる花火のように大輪の笑みを浮かべた。



オンラインゲームでは、七夕と夏祭りが一緒の場合がありますしセーフセーフ……のはず

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