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偽善者とこぼれ話 番外月  作者: 山田 武


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偽善者とホワイトデー 2023

※忘れた方への人物紹介

ナックル:クラン『ユニーク』代表、迷宮好き

ハクアキ:ナックルの妻、恐竜好き



 ホワイトデー。


 前回は前回でいろいろとあって、どうにか『ウス・イ・ホン』的展開は回避した。

 ……そういう需要があろうとなかろうと、さすがに望まない絡みはちょっとな。


 基本的にホワイトデーは男から女へ、貰った物に対する返礼をする日とされている。

 ここで思うのは、バレンタインデーでよくある女性同士の友チョコ。


 アレ、女性同士のコミュニティなどもいろいろと関わっているのかもしれない。

 ただ重要なのは、女性と違って男はそうして友チョコをあまり作らないということだ。


  ◆   □   ◆   □   ◆


 始まりの街 クランハウス『ユニーク』


「……で、俺が教えればいいのか?」


「頼む……いや、お願いします!」


「まあ、ナックルにはお世話になっているからそれはいいんだが……何、この計画書」


 事前に眷属や国民たちに大量のチョコを生産し、一息吐いた俺に届いた連絡。

 緊急だと言うから急いで来たら、そこには土下座をする家主が。


 どうやら、こちらに[ログイン]するようになった奥さんに贈りたいそうだ。

 それ自体は普通に感心だし、別に良かったのだが……問題は──


「うん、趣味が恐竜系だってことは俺も聞いている。だから、チョコで恐竜を作るって言うのも分からなくもない……けどなあ、これはさすがにどうなんだろう?」


 ──1/1スケール、完全再現ティラノサウルスとでも呼べばいいのだろうか。

 そんな物を、しかも自力で作りたいと主張してきたのだ。


「なあ、できるのか!?」


「YESかNOか、だけならYES。けど、問題が多い。味は保証できないし、奥さんの理想通りになるかはかなり微妙だ」


「うぐっ」


「何より、そんなに大きいのを作って食べ切れるのか? 色んな意味で、嫌いになるかもしれないだろう」


 がはっ、と吐血……するような動きを見せるナックル。

 嫌いの対象が何なのか、説明を聞いていれば察するだろう。


「な、なら……どうすれば」


「まあ、こっちの世界ならってのは分からなくも無いんだがな。俺も最初の頃、大きいので愛情を……って暴走したことがあったよ。うちにはグラが居るからどうにかなったんだけど、普通は無理だな」


「じゃあ、小さくすればどうにかなるか?」


「まあな。どうせならその分、種類を増やしてみればいいだろう。手間も時間も掛かるけど、どれを食べようかって選んでもらえるのはいいと思うぞ」


 こちらと向こう、最大の違いは耐久値だ。

 気にする人は気にしてしまうかもしれないが、耐久値が0にならない限りこの世界において食べ物の味に変化はあまり生じない。


 なのできちんと保存さえしていれば、何年先でも同じ物を食べられる。

 一回の摂取で取れる量にしたうえで、それが何回も楽しめるようにすればと提案した。


「おおっ……さすがはメルスだ!」


「とりあえず、料理スキルと製菓スキルを付与したエプロンを用意してある。システム的な失敗は無くなるから、あとはお前さんの努力次第だ。俺もきちんと教えるから、ちゃんと間に合わせろよ」


「ああ……感謝する!」


 そして後日、ナックルの奥さんからお礼を言われた。

 ……さすがに巨大な物は、嬉しいが食べづらいと相談を受けていたからな。


 ナックルはナックルで喜んで貰えたし、奥さんは奥さんで多種多様な恐竜型のチョコを手に入れられる──これもまた、俺なりの偽善ということにしておこうか。



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