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偽善者とこぼれ話 番外月  作者: 山田 武


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偽善者とクリスマス 2022



 クリスマス。

 去年は聖夜でも性夜でもなく、生夜だったな…………詳細は振り返ってみてくれ。


 日本人というのは、かなりの拡大解釈をしがちだ。

 外国のイベントでも商業的に使えるなら何でも取り入れるし、定義だって歪める。


 そうでもなければ、どうして白髭を生やした老人がキャッピキャピの美少女に生まれ変わるのやら……そうか、転生と言う概念はここから生まれたのか(適当)。


 最近では血に染まった真っ黒なサンタなんかもいるし、サンタという概念そのものがおかしくなっているのだろう。


 だからこそ、俺もまたそうした新機軸サンタを生み出しても良いのではないだろうか?


  ◆   □   ◆   □   ◆


 第一世界 イベント会場


 いつものように、子供たちも集めてクリスマスツリーを設置した会場で盛り上がった。

 それが数時間前の話……子供たちも眠る深夜、俺は腕を突き上げている。


「第一回、サンタ体験イベント!」


『しーっ!』


「おっと、すまんすまん……さて、時間も無いし早々に始めようか。みんな、準備しておいた魔道具と衣装を着けてくれ」


 集まった大人たちに対し、用意していたアイテムを渡していく。

 赤を基本に白色を組み合わせた衣装、そして袋やら指輪などだ。


「指輪を子供たちに近づければ、何が欲しいかが分かる。その後に袋に指輪ごと手を入れれば、可能な限り願い事を叶えられるアイテムが出てくる仕様だ。その衣装を着ておけば普段の防犯機能はオフになるぞ」


 残念ながら煙突のある家は少ない。

 なのでサンタ役である大人たちには、堂々と家の玄関から入ってもらう。


 異世界ものあるあるである、サンタという存在への不信感は予め拭ってある。

 ……まあ、知らない人が防犯を無視して侵入して物を置いていくのだから怖いよな。


 なので帳尻を合わせ、サンタとはクリスマスの夜にのみ現れる妖精という設定にした。

 良い子の者に現れ、寝ている間に望む物を置いてくれる存在。


 妖精なので、防犯を無視されても仕方がない……という矛盾付きの設定のごり押しだ。

 事前に年齢制限を掛けており、その歳以降は貰えないということにしてある。


「これまでは目に見える形で渡していたが、一人ひとりに合わせていなかった分どこかで納得がいかなかった子も居るだろう。だが、今回は揃えるだけ揃えてあるからな。安心して子供たちを楽しませてやれ」


「……本当に、よろしいのでしょうか。プレゼントはすべてメルス様が用意した物。子供たちも、それだけで充分に喜ぶでしょうに。我々も、すでに子供たちに渡していますし」


「そうなんだよな……まあでも、子供的にはどれだけプレゼントを貰っても嬉しいだろうからな。いいことをしたらご褒美を、そう意識させるためとでも思ってくれ」


 業値やら、確認している日頃の行いなどでプレゼントの質が多少変動する仕様だ。

 その辺はまあ、いろいろと方法があるからな……学校はいろいろと学ぶ場である。


「さて、夜が明ける前に終わらせよう──総員、行動開始!」


『サンタ―!』


 特に意味の無い掛け声と共に、彼らは動き出す。

 そして翌日、子供たちの下には欲していた品々が並ぶのだった。



それでは、メリークリスマス!

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