偽善者と七夕 2021
7月7日──記念のSSです
七夕。
前回は過去に遡って踏襲してのイベントを行った。
穴に糸を通して、捧げるとかそんな感じで纏まったな。
しかしまあ、いろいろやればどんどんネタが尽きていく。
遺憾ながら、それらは有限でありどう使い潰していくのかが重要なのだ。
七夕と言えば、そう言われて今の若者であれば過去のことなんて気にしない……そう、今の流行りを組み合わせていこう。
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第一世界 イベント会場
「──第一回、七夕流し素麺!」
うん、今の流行りについていけている人間では無かったことを、後で思い出した。
それでもどうにか頭を捻り、辿り着いたのが……流し素麺って。
そんな内心の焦りを隠すように、捲し立てて説明を行う。
「去年は糸を通してもらったが、今年はその糸の代わりに素麺を用意しておいた! 細かいことが嫌いな奴も、食べるだけならシンプルでいいだろう?」
笑い声が上がり、こっそり拳を握る。
よしっ、掴みはバッチリだ……このまま続けていこう。
「俺の下に魔道具の管が何本もある。これは全世界に繋がっていて、それぞれの場所で素麺を流していく。麺の色ごとに味を変えているから、自分たちで好きな味をシェアするのもいいかもしれないな」
七色素麺とアイテム名にも記され、大量生産を可能としています。
商人たちを通じて、いずれは外でも売り捌く予定だ……文化侵略というヤツだな。
そんな素麺だが、五本の管にそれぞれ通していく予定だ。
第一、第三、第四世界、そして童話世界と赤色の世界にそれらは届けられる。
眷属たちも各世界の最後尾で待機し、共に楽しんでもらう予定だ。
なお、最後なのは途中だと総取りする可能性があるから……特にグラ。
「もちろん、七夕として短冊に願いを書くイベントも忘れるなよ? 素麺をお腹いっぱい食べて幸せになったら、その幸せを忘れないように願いを書いてくれ。民がそうして喜ぶ姿こそが、俺にとっての幸福だからな」
そう言って、素麺を管に載せて各世界の民たちへ配っていく。
実はこの過程も料理スキルに含まれているので、あえて俺が行っている。
手ずから、丹精込めて素麺を流していく。
神眼で眺める民たちも、時折奪い合いながら素麺を食べている。
「我ながら、いいアイデアを思いついたものだな。けどまあ、その分……ハァ、あとのことが怖い怖い」
楽しめんでもらえばもらうほど、さらに次のイベントを期待されてしまう。
そう考えると、一苦労だが……けど、それでも楽しんでもらえているからには頑張る。
「いいアイデアを思いつきますように。そう願うのもいいかもしれないな」
自身で生み出した人造の星に、そう願うのもまた一興か。
嗚呼、どうか叶えてください……そうじゃないと、大変な日々が続くんです。
皆さんの願いはなんでしょうか?
作者は……無難に生きたいです
 




