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偽善者とこぼれ話 番外月  作者: 山田 武


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偽善者と七夕 2020



 七夕。


 これはもともと中国の行事だったものが、日本に伝わったとされる。

 乞巧奠という催しなのだが、針の穴に綺麗な糸を通して捧げものをしていたんだとか。


 しかしまあ、七本の糸を通していったいどうしろという話だ。

 まあ、針仕事を行う者たちの間で行われていたことで、祈る内容も針仕事関連である。


 こっちの世界で言うところの、裁縫術のスキルレベルのアップを祈っているのだ。

 あまりに範囲が狭すぎる……さて、今年はいったい何をしようか。


  □   ◆   □   ◆   □


 少々重々しい雲が天を覆う中、俺はイベント会場の舞台上で民たちに語り掛ける。


「前回は一人しか恩恵にあやかれないイベントだったが、今回は違う。みんな、それぞれに糸を通す七つの穴が付いた魔道具が配布されたと思う」


 今回の七夕イベント用に、大量生産を行った魔道具だ。

 複製魔法が無かったら、たぶん根を上げていただろうな。


「この会場の至る所に、糸の素材となる七夕にちなんだアイテムを並べてある。そこには糸の効果が記されているから、みんなは好きな糸を選んで穴を繋いでいくんだ」


 宇宙……星海にも行けるようになった今の俺は、そこで素材を集めることができる。

 さすがに地球と星座は違うので、七夕関係の星からには行けないけどな。


 それでも星に関するアイテムや、その他大自然から集めたアイテムなどもある。

 他にもさまざまな補正効果をもたらすアイテムを、糸にして用意した。


「その魔道具は、その糸を通す順番などで効果も変わるからな。正直、狙ってやらない限りその効果が被るとは思わないな。まさに自分だけの願いを込めて、創られた魔道具になるわけだ」


 それを創り上げるために、多少の苦労をしたわけだが……それはまあ、喜んでくれている民たちの表情を見れば、報われたと思えるからいいとしよう。


 ちなみに糸の通し方と言っても、本当に七つの穴をどこから通して行くかというだけなので、子供が適当に通すだけで完成できる単純な構造だ。


 システム的な話をすると、穴を通す魔道具自体の効果はあんまりない。

 そこに糸を通すことで、リソースが入って素材に合った効果を発揮するという感じだ。


「今回は何かを競うわけじゃない。綺麗な色で決めるのではなく、どんな願いを込めるのかが重要だ。一年続く祈りだ、肌身離さず持つものだからしっかりと考えてくれよ」


『はい!』


「いい返事だ。さて、当然だがこの祭りは一日限りのモノだ。しかし、忙しいモノも居ることを考慮し、一月後の今日もまた行う。家族の分も作ろうとか、そういうことは思わなくていいぞ」


 ただし、今日作ったヤツは次回作ることはできない。

 願いを書き換える……なんてことは、あんまりしてほしくないからな。


「さぁ、祭りを開催しよう! 魔導解放──“移りゆく天なる意気”!」


 魔導を使い、雲を一気に払う。

 すると夜空に輝くのは、満天の星空と鮮やかな天の川。


 本来、AFOの世界では見られない代物だが……ここは俺の世界だからな。

 いろいろと迷宮や世界の設定を弄り、本日限りでやってもらいました。


「俺も楽しもうか……今回は、サポートとしてだけどな」


 どんな糸にどんな効果があるのか、それぐらいは教えていくつもりだ。

 みんながどんな願いを紡いでいくのか、今から楽しみだな。



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